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受験英語の学び方

「設問が解ける程度に英文が読めれば十分でしょうか?」

質問 設問が解ける程度に英文が読めれば十分でしょうか? それとも、全文を和訳できるようにならないと不十分ですか? 

大きな誤解があります

(1)「英文をいったん日本語に訳して、日本語を読んで英文の内容を理解する」という読み方は、漢文教師が英語教師を兼ねていた時代に始まった、正しくない読み方です。 「(すべての)漢文教師が中国語で作文できるか?」と問われればNoです。つまり漢文は語学ではありません。 同様に考えて、「英文を和訳する」のは「英語を語学としてとらえていない証拠」だといえます。 「英作文ができるようになるためのトレーニング」にならない英語学習は、本質的ではありません。 英作文ができる範囲の英文は、英文を見て、意味がそのまま映像として思い浮かんでくるぐらい、直感的に読むことができます。 そのようにして直感的に読める英文の難易度を高めてゆくことが、本質的な英語学習法であり、それ以外の英語学習法はおすすめしません。 英文を見て、意味がそのまま映像として思い浮かんでくるようにすることが基本です。 つまり「英文を訳す」という発想から脱却しなければ、「本質的な英語学習にならない」のと同時に、「受験英語の実力としても不十分」だと思います。

(2)「英作文ができるようになるためのトレーニング」をする範囲は、センター試験レベル(英単語1500語程度、英熟語600語程度)までを目安にするとよいでしょう。 それ以上の難易度の範囲について「英作文ができるようになるためのトレーニング」をするのは、高校の3年間では難しいです。 要は、センター試験レベルまでの英語構文、英熟語、英単語を、英文の中に組み込んだかたちで、英文を覚えることです。 和訳ができるように練習するのではありません。 日本語を見て、英文が口から出てくるように練習するのです。 そういう範囲の英文なら、リスニングをしても即座にわかるし、読み上げられるパッセージの内容を「映像化して覚えておく」ことができるのです。 「英文を訳して理解する」というやり方をしているみなさんは、リスニングにおいて、完全にお手上げになるでしょう。 結局、センター試験レベルまでの英語構文、英熟語、英単語を、「日本語を見て、英文が口頭で言える」ように練習するのが、たぶん「正解」でしょう。 最もそれに見合った印刷教材は、中高6年間の英語構文、英熟語、英単語を凝縮した『SOEL ―Sentence-oriented English Learning』(ASIN: B077RRFD5V)あたりだと思います。 この本を買えば、音声もウェブサイトからダウンロードできます。

(3)質問者さんは「設問が解ける状態」が、「英文全体が概略的にでも読めている状態」よりもレベルの高い状態だということを見落としているのかもしれません。 「英文が読めていなくても設問が解ける」と思っておられる点から、英語の実力が不十分であろうことが推察されます。 いくら英文が読めていても、選択肢は「all、always、no、never」などの形容詞・副詞で引っかけになっているものです。 英文が読めており、かつ、引っかけをかいくぐってはじめて正解に至るわけです。

マーク式の試験で「引っかける」ためには、どの科目の問題も、似通ってくる面があります。 例えば、「all、always、no、never」などの形容詞・副詞で引っかけることで有名なのは原付試験、自動車学科試験です。

英語で点数が安定すると、文系でも理系でも、有利です。 「英語を本格的に勉強せずに点数だけ取ろう」という考え方を捨てたほうが、受験戦略としても「要領がいい」のです。