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もくじ
■英文法と古典文法|もくじ · ゆきんこの勉強法 | 自修人
品詞転換
品詞転換がなぜ大切か
ここでは、この項目の直後にある「単語についての接頭辞・接尾辞による品詞転換(派生語)」を除いて話を展開します。
つまり、話を「句を単位とする品詞転換」「節を単位とする品詞転換」の範囲に限定します。
「句を単位とする品詞転換」「節を単位とする品詞転換」について知らなければ、文中での実質的な品詞がわかりません。
例えば、「前置詞の付いた名詞(句)」が「形容詞句」または「副詞句」になることを知らなければ、正しい意味解釈はできません。
例えば、従位接続詞が導く節(のほとんど)が副詞節であることを知らなければ、正しい意味解釈はできません。
語学が得意な人というのは、見かけ上の品詞ではなく、「品詞転換」と「語形に表れない事実上の品詞」が本能的にわかるのです。
けれども、語学が得意でない人は、**「品詞転換」と「語形に表れない事実上の品詞」にかんして「いちいち指摘されないと気がつかない」**のです。
このサイトのGrammarの中の記事に登場する整理のための表の一部は、「品詞転換」と「語形に表れない事実上の品詞」を整理しているのです。
「品詞転換」と「語形に表れない事実上の品詞」が帰着する先(結末)は、
(1)名詞相当になる(名詞化)、
(2)形容詞相当になる(形容詞化)、
(3)副詞相当になる(副詞化)、
のどれかです。
「品詞転換」と「語形に表れない事実上の品詞」とは「文法的な品詞転換」のことでであり、「文法的な品詞転換」には、名詞化、形容詞化、副詞化の3パターンしかありません。
英文法書において 「名詞的用法」=「名詞用法」とか、 「形容詞的用法」=「形容詞用法」とか、 「副詞的用法」=「副詞用法」などが書いてありますよね?
あれらはみな、 「名詞相当になるナンチャラ」 「形容詞相当になるナンチャラ」 「副詞相当になるナンチャラ」 という意味でしかありません。
例えば、「不定詞の名詞的用法」は、「不定詞が名詞相当になるケース」という意味です。
単語|接頭辞・接尾辞による品詞転換(派生語)
接頭辞・接尾辞を「語源」という場合もあります。
『ニューヴィクトリーアンカー英和辞典』の巻末に接頭辞・接尾辞などの「語源」が整理されている補遺が載っています。 この部分を覚えておくと、派生語に強くなりますし、英単語の暗記の助けになります。
接尾辞による品詞転換とは、
名詞化する場合には「-ness」「-sion」「-tion」「-ment」などを付けるとか、
形容詞化する場合には「-ble」「-ical」「-ic」「-ive」「-ous」などを付けるとか、
副詞化する場合には形容詞のウシロに「-ly」を付けるとか、
動詞化する場合には「-ate」「-fy」「-ise」「-ize」を付けるとか、
そのようなことです。
ニューヴィクトリーアンカー 英和辞典 第4版|学研プラス|羽鳥博愛|4053048826
句を単位とする品詞転換
前置詞
前置詞は名詞(句)に格を与える品詞です。
前置詞が名詞(句)の直前に前置される。 それによって格を帯びた名詞(句)は、「形容詞句」または「副詞句」へと品詞転換されます。
「前置詞+名詞(句)」が「形容詞相当」や「副詞相当」になるわけです。
つまり前置詞は、名詞(句)を品詞転換させる職能をもつ品詞なのです。
前置詞によって名詞(句)が帯びた性質が格(case)です。
例えば、「my book」と「a book of mine」は、同じ意味です。
「of mine」の「mine」は所有代名詞〔mine、yours、his、hers、ours、theirs〕であり、名詞(句)にあたります。
代名詞というのは、「その代名詞が指し示す体言〔名詞相当〕を代入することができる名詞」=「代入可能名詞」=「代名詞」だと覚えるといいです。
その代名詞が指し示す体言〔名詞相当〕のことを「代名詞の先行詞(せんこうし:antecedent)」といいます。 「先行詞」という用語は、関係代名詞のところでしか出てこないのがふつうですが。
「of mine」という表現では、前置詞ofがmineという名詞(句)に「所有格」という格を与えています。
結果として、mineという名詞(句)が「所有格」という格を帯びて、形容詞相当(形容詞句)へと品詞転換されます。
所有格(=属格:ぞっかく)を表すのに、「my」でも「of mine」でも同じなのです。
「my」は語形として所有格(属格)を表し、「of mine」は前置詞によって所有格(属格)を表す。 こういう表現の形式がちがうだけで、表現したい内容(名詞(句)に「所有・所属」という意味の格を与える)は同じなのです。
準動詞が導く句
準動詞が導く句は、従位節(従属節)を圧縮したものです。
つまり準動詞が導く句は、従位節相当(従属節相当)なのです。
準動詞が導く句と、従位節(従属節)との違い。
(1)準動詞が導く句には主語(S)がない。
ただし、「It~for~to構文」の「for+目的格」で表現されるものが意味上の主語になる。
ただし、「所有格〔my、your、his、her、its、our、their、your brother’s、Tom’s……〕+動名詞」の「所有格」で表現されるものが意味上の主語になる。
(2)準動詞が導く句には時制(テンス)がない。 準動詞が導く句の中で過去の時(タイム)を表すためには 「to have+過去分詞」 「having+過去分詞」 など、完了相を使う。
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さて、準動詞が導く句というのは、下表(「もくじ」にあたる記事に出ている表)そのものです。
動名詞が単独でも名詞相当だし、 動名詞が句を導いていても句全体で名詞相当(名詞句)になります。
形容詞相当の現在分詞が単独でも形容詞相当だし、 現在分詞が句を導いていても句全体で形容詞相当(形容詞句)になります。
副詞相当の現在分詞が単独でも副詞相当だし、 現在分詞が句を導いていても句全体で副詞相当(副詞句)になります。
形容詞相当の過去分詞が単独でも形容詞相当だし、 過去分詞が句を導いていても句全体で形容詞相当(形容詞句)になります。
副詞相当の過去分詞が単独でも副詞相当だし、 過去分詞が句を導いていても句全体で副詞相当(副詞句)になります。
名詞相当の不定詞は、 名詞相当の不定詞が単独でも名詞相当だし、 名詞相当の不定詞が句を導いていても句全体で名詞相当(名詞句)になります。
形容詞相当の不定詞は、 形容詞相当の不定詞が単独でも形容詞相当だし、 形容詞相当の不定詞が句を導いていても句全体で形容詞相当(形容詞句)になります。
副詞相当の不定詞は、 副詞相当の不定詞が単独でも副詞相当だし、 副詞相当の不定詞が句を導いていても句全体で副詞相当(副詞句)になります。
定形 ・ 非定形 |
分類 |
名詞相当 |
形容詞相当 |
副詞相当 |
|
動詞 の 定形 の 品詞転換 |
従属節 |
【
名詞節 】: 疑問詞 〔 間接疑問 〕 WIT〔whether、if、that〕 wh-ever |
【
形容詞節 】: 関係詞 〔 関係代名詞 + 関係副詞 〕 |
【
副詞節 】: 従位接続詞 wh-ever |
|
動詞 の 非定形 の 品詞転換 |
準動詞 が導く 句 |
不定詞 |
【
名詞句 】: 名詞相当の不定詞 |
【
形容詞句 】: 形容詞相当の不定詞 |
【
副詞句 】: 副詞相当の不定詞 |
-ing |
【
名詞句 】: 動名詞 〔 前置詞の目的語 になる -ing 〕 |
【
形容詞句 】: 現在分詞 |
【
副詞句 】: 分詞構文 |
||
現在分詞 |
【
名詞句 】: 過去分詞の導く句 が have の 目的語 になったものが 完了 形 |
【
形容詞句 】: 過去分詞 自動詞由来= 完了 【 have 系】 他動詞 由来= 受動態 【 be動詞 系】 |
|||
―― | このタテの系列は ニュアンスの違い こそあれ 「同じもの」です。 |
このタテの系列は ニュアンスの違い こそあれ 「同じもの」です。 |
このタテの系列は ニュアンスの違い こそあれ 「同じもの」です。 |
節を単位とする品詞転換
「節を単位とする品詞転換」とは従位節(従属節)のことである。
従位節(従属節)については、前の項に掲載した表(「もくじ」にあたる記事に出ている表)そのものです。
また■従属節 · ゆきんこの勉強法 | 自修人も参照してください。
―― | 品詞別 | 疑問詞 | 関係詞 | 複合関係詞 | 従位接続詞 |
従位節 (従属節) |
名詞節 =名詞相当の節 |
導く 〔間接疑問〕 |
「導く」 ※先行詞コミで 考えた場合 |
wh-ever 特別な疑問詞 とも解釈できる |
WIT 〔whether、if、that〕 |
形容詞節 =形容詞相当の節 |
―― | 導く | ―― | ―― | |
副詞節 =副詞相当の節 |
―― | ―― | wh-ever 特別な従位接続詞 とも解釈できる |
導く |
格(case)
格とは、体言〔名詞相当〕が副詞化または形容詞化される仕組みをいいます。
体言〔名詞相当〕が格を帯びていることを表現する方式には、次の3つがあります。
(1)語形として表現する。
格が語形として表現される語句としては、次のケースがあります。
(2)語順として表現する。 文型というのは、述語動詞の周囲に語句を置く順番(語順)によって格を表示するシステムです。
英語の文型は下記のようになっています。
[第1オペランド][オペレータ][第2オペランド][第3オペランド]
[S][V][X][X]
直説法の平叙文において[第1オペランド]は常に主語(S)=主格を帯びた体言〔名詞相当〕と決まっています。 ですので、文型を表すときは「SVXX」と一般形で表記します。 文型として一般的に語られるものは、この「SVXX」という4員構造(four membered structure:これは化学用語からきています)の語群をいいます。
オペランドというのは被演算子ということです。 これはコンピュータ言語の書式からきています。
オペレータというのは演算子という意味であり、そこには述語動詞として機能する動詞か助動詞が最大で5つまで詰め込めます。 「Apples will have been being eaten by me.」には、動詞と助動詞が5員満員の状態で詰め込まれています。 ただし、been beingのようにbe動詞の重複は不自然と見なされ、実際に使われることはまれであるようです。
(3)「前置詞+体言〔名詞相当〕」として表現する。 「前置詞+名詞(句)=前置詞句(副詞句または形容詞句に相当する)」や「従位接続詞+名詞節=従位接続詞が副詞節を導いている姿」というかたちのことです。 ここで「従位接続詞は名詞節に対する前置詞」と解釈していることに注意してください。
第1オペランド | オペレータ | 第2オペランド | 第3オペランド | ―― |
主語(S) | 述語動詞(V) | ―― | ―― | 第1文型 |
主語(S) | 述語動詞(V) | 補語(C) | ―― | 第2文型 |
主語(S) | 述語動詞(V) | 直接目的語(O) | ―― | 第3文型 |
主語(S) | 述語動詞(V) | 間接目的語(O) | 直接目的語(O) | 第4文型 |
主語(S) | 述語動詞(V) | 直接目的語(O) | 補語(C) | 第5文型 |
格というのは、以上のように、体言〔名詞相当〕を副詞相当または形容詞相当に品詞転換する仕組みです。
とくに名前の付いているもので、述語動詞をなす動詞・助動詞に直接係る(=動詞・助動詞を直接修飾する)ものは「主格」「与格(間接目的格)」「対格(直接目的格)」「所格(whereに関連)」「時格(whenに関連)」「態様格(how)に関連」「理由格(whyに関連)」 であり、動詞類を修飾することからわかるように、これらの格は「体言〔名詞相当〕を副詞化する格」です。
英語では与格と対格が同じ語形なので、両者を合わせて「目的格」といいます。
体言〔名詞相当〕を形容詞化する格で、名前が付いているのは、「属格(所有格)」だけで、これは前置詞ではof(of属格)で表現します。
「属格(所有格)」は限定用法の形容詞相当ですけれども、叙述用法の形容詞相当になるのが「of + 抽象名詞 = 形容詞」というものです。
of + 抽象名詞 = 形容詞
例:be of importance=be important(両方とも補語(叙述用法の形容詞)として「重要である」という意味)