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■英文法と古典文法|もくじ · ゆきんこの勉強法 | 自修人
前置詞の目的語
「前置詞の目的語」というのは、英文法の方言で、「for me」を例にとると、「人称代名詞meが前置詞atの目的語になっている」と(英語教師が説明のために)表現する。
「前置詞の目的語」というのは、学習者を混乱させる表現であり、廃止するべきだと思うけれども、伝統的に使われているくそ用語である。
「前置詞の目的語」(object of the preposition)とは、「前置詞の補部」(prepositional complement)という意味であり、「前置詞+オペランド」の「オペランド」に置かれる名詞(句)を意味する。 この名詞(句)には代名詞も含まれる。
「前置詞の目的語」という用語の名称の由来は、たぶん「前置詞の補部」には、「for me」の「me」のように目的格の名詞(句)を置くことからきているのだと思う。
「前置詞の補部」=「前置詞の目的語」と、「他動詞の目的語」とは、文法上、まったく関係がない。
「前置詞の補部」として、たまたま語形として目的格を使うことから、「前置詞の目的語」と呼ばれているようだ。
しかし、こんな紛らわしい用語は使ってほしくない。
ドイツ語には前置詞の格支配というのがあって、「前置詞の補部」の語形として「前置詞の格支配」というものがある。
2格支配の前置詞の「前置詞の補部」には、2格の名詞(句)を置く決まりになっている(他の格についても同様)。
英語の前置詞は、どの前置詞も例外なく「目的格支配の前置詞」だということになる。
英語教師が「前置詞の目的語」という用語を使ったら「前置詞の補部」だと思えばよい。
英語の中で「目的格の語形として独自の語形をもつもの」は、人称代名詞〔目的格:me、you、him、her、it、us、them〕とwho(whom)とwh-ever(whomever)だけである。
だから「前置詞+補部」を具体的に示せば、to me、to you、to him、to her、to it、to us、to them、to whom、to whomeverなどのかたちになる。
もちろん、to Tokyoなど広く名詞(句)全般が「前置詞の補部」になることができる。
目的語というのは、「他動詞がとる間接目的語(与格を帯びた体言〔名詞相当〕)」と「他動詞がとる直接目的語(与格を帯びた体言〔名詞相当〕)の2つを合わせた概念である。
つまり「与格+対格=目的格」であり、「間接目的語+直接目的語=目的語」なのである。
いいかえれば、「目的格は、与格と対格に分類され、それ以外を含有しない」「目的語は、間接目的語と直接目的語に分類され、それ以外を含有しない」ということ。
いいかえれば、「目的格とは、与格と対格の総称である」「目的語とは、間接目的語と直接目的語の総称である」ということ。
意味は分からなくて、音だけで覚えておいてください。 そうすると、あとから「あっ、それ知ってる」となって、暗記がぐんぐん進みます。