低認知被害

2018.3.10 07:08更新
【東日本大震災7年】
原発被害「低認知」に注意 宇都宮大・清水准教授「風化に危機感」
おすすめ記事を受け取る
PR
 東日本大震災に伴う福島第1原発事故で県内も放射性物質が拡散した。福島県の被害が大きく注目された一方、県内の実態が広く議論されることはなかった。県内などの「低認知被害」や風化が進む原発被害の問題を指摘する宇都宮大国際学部の清水奈名子准教授(42)に、現状や課題について聞いた。
 --震災から7年。県内の課題は
 「県境で止まるわけもない放射能汚染の問題が、福島県だけの問題とくくられて議論されてきた感じがある。栃木だけでなく周辺の県でも低認知被害の問題があるが、住んでいる人も知らないことが多い。放射能の影響は長期にわたる。7年たったから終わるという問題ではなく、これからも取り組む必要がある」
 --放射性物質の拡散の問題は被害が見えにくく、沈静化している。現状をどう見るべきか
 「自分が暮らす地域に影響が続いているかどうか、文部科学省が出した汚染マップで確認するか、または自分で測るしかない。(核燃料としてウランから生成される)セシウム137は半減期30年。徐々に減っていくが、7年たっても土壌に残っているかは計測可能。自分の住む地域の汚染が深刻と思ったら、事故当時の初期被曝(ひばく)が最も深刻なので、当時の行動を振り返る必要がある。外にいることが多かった、汚染の可能性のある食品を食べたなどの経験があれば、リスクを負っている可能性があるので、甲状腺検査を受けるなど健康状態を確認することを考えてよいのでは」
 --健康状態は現在、変調がないとして検査の費用負担を考える人が多い。行政ができることは
 「原発事故で拡散した放射性ヨウ素131は半減期8日と短く、初期被曝の状況はシミュレーションで推測するしかない。ヨウ素は甲状腺にたまりやすく、細胞分裂が活発な若い世代は特に影響を受けやすい。甲状腺がんの発症は確率的には一部の人ではあるが、不安を持つ人は多く、福島県では国の予算で甲状腺検査を実施している。県内も放射性物質が拡散したのだから、検査は国の責任で行われるべきだと思う」
 --甲状腺検査はやはり必要か
 「県内では日光市と塩谷町で希望者を対象に実施している。既存の検査機器で検査可能だ。子供を持つ世代にとって、7年前の影響がどう残っているのか不安でも検査を受けられれば、被害の有無を早期に確認できる。放射能汚染の心配はあるが、必要な対策があれば、子育てをしていこうという気になるかもしれない。被害に向き合い、住民の不安に応えることが子育て支援、地域活性化にもつながるのでは」
 --震災後、県内では早期に風評被害を払拭すべきだという論調に傾いてきた
 「風評被害を助長するとして、議論自体をタブー視する動きがある。実際に放射能汚染がありながら、なかったことにするのが良い対策とは思わない。議論を封じ込めるのは、不安を持つ住民や他県の人々がますます疑心暗鬼になる。向き合いたくない“不都合な真実”としてはいけない」

引用元: 【東日本大震災7年】原発被害「低認知」に注意 宇都宮大・清水准教授「風化に危機感」 - 産経ニュース

 
comments powered by Disqus