農協は悪くない。小泉進次郎に改革させてはいけません。[三橋TV第1026回] 三橋貴明・菅沢こゆき
■農協は悪くない。小泉進次郎に改革させてはいけません。[三橋TV第1026回] 三橋貴明・菅沢こゆき
三橋TVの開始
三橋TVの時間である。 キャスターは菅沢小氏と三橋貴明氏である。
参議院選挙と佐也加氏の立候補
2022年7月の参議院選挙において、佐也加氏が東京選挙区から立候補を表明した。 佐也加氏は[日本の政治に足りないのは財源ではなく国民への愛]と訴えている。 支援はホームページから可能である。
農協〔JA〕のイメージと実態
農協〔JA〕について、国営だと思われがちだが、実際は共同組合である。 JAは国が運営しているわけではなく、農家や労働者などが自ら出資し、組合を作って大資本に対抗するための組織である。 これは産業革命期にイギリスで始まった生活協同組合が原型であり、個人では弱い立場の農家や労働者が協力して力を持つための仕組みである。
農協の役割と仕組み
農家が個別に大企業と取引すると、買い叩かれるリスクが高い。 そのため、農家が組合費を出し合い農業協同組合を作ることで、大企業に対抗しやすくなる。 また、運送や資材の共同購入によりコストを下げることができる。 農協は利益を追求せず、消費者と生産者の双方にとって有利な仕組みとなっている。
農協の利用は任意
農家は必ずしも農協を通さなければならないわけではなく、直接取引も可能である。 農協を利用する義務はないが、都市伝説的に[農協を通さないとビジネスができない]と誤解されている。
2015年の農協改革
2015年に農協改革が実施された。 農協には正組合員と准組合員が存在し、農家以外でも組合費を払えば准組合員になれる。 農協は都道府県ごとに存在し、JA中央会や全国農業協同組合中央会〔JA全中〕が政治力を持っていたが、改革により中央会の指令系統が切り離され、政治活動が制限された。
JA全農と経済事業
JA全農〔全国農業協同組合連合会〕は農産物の流通や販売を担っている。 経済事業は基本的に赤字で運営されており、農家から高く買い取り、消費者に安く提供することで成り立っている。 黒字化は簡単だが、それでは農家や消費者が損をするため、赤字で運営されている。
JAバンク・JA共済と株式会社化の動き
JAバンクは信用事業〔銀行業務〕、JA共済は保険事業を担っている。 アメリカの穀物メジャーであるカーギルなどは、JA全農の海外子会社〔全農グレイン〕を買収したがっているが、共同組合のため買収ができない。 前回の農協改革では、全農の株式会社化が議論されたが、これは外資による買収を容易にするための動きであったと考えられる。
農協解体と株式会社化のリスク
農協を株式会社化すると、利益追求型の企業となり、消費者や農家が損をする可能性が高い。 特にJA共済のような巨大な金融・保険事業が分割・株式会社化されると、外資による買収リスクが高まる。 小泉進次郎氏などが金融事業の分離を主張しているが、これも農家や消費者に不利益をもたらす恐れがある。
減反政策と米不足問題
1970年代から続く減反政策は、もともと米価の暴落を防ぐために始まったが、50年以上続けられている。 2018年には小泉進次郎氏が減反廃止を打ち出したが、実際には主要作物への転換を補助金で促す政策に変わっただけで、実質的な減反は続いている。 米不足が問題となっても政策が見直されないことに疑問を感じる。
米不足の予見と政策の問題
米不足は突然発生した事態ではなく、徐々に生産量が減ってきたため、早い段階で予測できたはずである。 1995年の米不足とは異なり、今回は明らかに減少傾向が続いていた。 にもかかわらず、十分な対策が取られなかったのは問題である。
準組合員とJA共済の改革
準組合員がJA共済やJAバンクなどのサービスを利用できなくする方向で改革が進められている。 これは、準組合員が他の民間保険会社に流れることを狙ったものであり、アメリカの大手保険会社が日本市場をターゲットにしていることも事実である。 組合費を払えば准組合員になれるが、農業に直接従事していなくてもサービスを受けられる仕組みであった。
JAバッシングと米政策の矛盾
JA〔農協〕が米の備蓄を買い占めて市場に出さず、価格を釣り上げているといった批判があるが、実際にはそのような能力はJAだけでなく、どの企業にもない。 備蓄米の放出は段階的に行うべきであり、急に大量に市場に出すことは現実的ではない。 正しい政策は、例えば米の価格を5kg2000円と決めて赤字分を補填することであり、電気やガソリンと同様に補助金を出すことも可能である。 しかし、財務省が新たな補助金を認めないため、実現していない。
米消滅の危機と新書籍の案内
このままでは10年後に日本の米が消滅する危機に直面している。 米農家の平均年齢は70歳を超え、10年後には80歳となる。 農家の時給は10円を超えることもあり、持続可能とは言えない。 スーパーでの米価格も高騰し、5kgで4000円を超えることもある。 米価高騰の原因はJAや農家ではなく、自民党の減反政策と財務省の緊縮財政である。 食料危機はすでに始まっており、今後10年で米が消滅する可能性が高い。
新書籍『米消滅』の内容と販売案内
新書籍『米消滅』では、米価高騰の真の理由や、自民党と財務省の政策による米消滅の危機について解説している。 安倍政権が2018年に減反政策を廃止したとされるが、実際は食用米を減らすための補助金を増やしており、米の生産を減らす政策が続いている。 欧米と比較しても、日本の農家は保護されているどころか、見捨てられている現状である。 食料が兵器として使われてきた歴史的事例も紹介し、現在の日本の状況がいかに危機的かを示している。
書籍購入の案内
『米消滅』は375ページに及ぶ書籍で、通常販売価格は2970円である。 6月6日までに限り20%オフの2376円、さらに送料550円も無料で提供している。 書店では販売していないため、公式サイトからの申し込みが必要である。 米消滅の危機を広めるため、1冊だけでなく複数冊の購入を推奨する。