漢字を書かずに覚える|使用教材

『高校入試 出る順中学漢字スタートアップ |現文舎』〔全2冊〕の問題点をいくつか指摘しておきます。

漢字を取り扱う学習参考書は、原則として、教科書体で組まないといけません。 とめ、はらいなど、文字の形成が採点の対象になりますので、「人間が文字を書くときどうするか」を、フォントが忠実に再現している必要があるからです。

次の改訂では、手持ちのフォントで代用せず、新しく教科書体のフォントを買って、組み版し直してください。

漢字教材は教科書体で組め


『高校入試 出る順中学漢字スタートアップ |現文舎』〔全2冊〕は、問題文の例文が「教養を感じさせない」例文です。 ちゃんとしたライターにリライトしてもらったほうがいい。

『高校入試 出る順中学漢字スタートアップ 』は、解答である漢字の文字サイズが小さすぎます。 もっと大きな文字でないといけません。

横組みにして、漢字の表示に2列分を使って、「左欄」「半行下げ」「右欄」「半行下げ」「左欄」「半行下げ」のように組んでいけばいいのです。

『高校入試 出る順中学漢字スタートアップ 』は、縦書き(縦組み)なので、人間工学的にダメダメです。

縦書き(縦組み)なので、人間工学的にダメダメ (1)視野の観点から
(2)赤シートを動かす「手の運動」の観点から

漢字を学習するからといって、読者に縦書き(縦組み)を強要するべきではありません。

(1)視野の観点から

人間の目が左右に2つ付いていて、「上下の視野」よりも「左右の視野」のほうが広い。 だからPCやテレビの画面でも、横長のアスペクト比を採用しているわけです。

「上下の視野よりも左右の視野のほうが広い」ことから、組み版としては、横組みのほうが眼球運動が少なくて、目が疲れない(目がラクな)のです。

しかも現代人はウェブサイトの閲覧によって、日常的に「横組みのレイアウト」に慣れきっています。

縦組みの何がマズいのかというと、「上下の視野よりも左右の視野のほうが広い」ことから、上下の眼球運動を繰り返すことによって、目が疲れやすい。 そのため、速く読めないのですよ。 新聞が廃れた遠因も、そこにあります。 縦組みだから読みづらいんですね。

どうして段組(2段組・3段組など)をするのでしょうか?  眼球運動をしなくても、行頭から行末まで目に入ってくるようにするためです。

「目の視野の中に、行の全体を入れる」という場合、人間の目が「上下の視野よりも左右の視野のほうが広い」ことから、横組みのほうが有利であることは自明です。

漢字問題集といえども、英単語集、一問一答問題集のように、横書きにして、表組み的にタブレーションをしっかりときかせて「位置をそろえる」ことが、学習効率上、とても重要です。

それを守っているのが、河合出版の英単語集、英熟語集です。

(2)赤シートを動かす「手の運動」の観点から

赤シートを動かす場合、タテの運動はラクでも、ヨコの運動は苦しいです。 やってみてください。

縦組みだと、赤シートをヨコに動かすことになり、運動として苦しいです。

だから、赤シートを活用して暗記する印刷教材は、原則として、縦組みにしてはいけないんです。

赤シートを活用して暗記する印刷教材は、横組みが原則

高校入試 出る順中学漢字スタートアップ 基本漢字1400

高校入試 出る順中学漢字スタートアップ 受験漢字1900

中学入試・高校入試・大学入試・就職試験で問われる漢字の知識は大差なし

中学入試・高校入試・大学入試・就職試験の漢字は、互いに、ほとんど同じ「常用漢字の訓読み」「常用漢字を使った熟語」が出題されると見なしてよいです。

逆に問うけれども、どうやったら「中学入試レベルの常用漢字」「高校入試レベルの常用漢字」「大学入試レベルの常用漢字」「就職レベルの常用漢字」を区分けするの? 

小学漢字の学年別漢字配当表にだって、不自然な面が多々ありますよ。

口を勉強したら、口偏の漢字も同時にまとめて勉強すればいいのに。

いずれにしても、高校入試の漢字問題集が、最も需要が高いと思います。 そして、高校入試の漢字問題集の中で、最も人気の高い2冊を、以上で紹介しました。 私も買いましたよ。 1冊700円なんて、安いですね。 2刷とも赤シートが使えるので、効果的に活用してください。

書かないで覚える

「書かないで覚える」とは、次のようなことを意味します。

(1)文字を画像として目に焼き付ける。 その文字の画像を、何もない状態から脳裏に思い浮かべることができるように練習する。 写真記憶を鍛える。 ここの部分は、「軽く」書いていますけれども、ものすごく重要で、これを身につけるためには、かなり練習がいります。 しかし、この写真記憶を手に入れれば、いわゆる勉強が「ちょろい」「お茶の子さいさい」になります。

(2)問題文を見たとき、漢字の画像が思い浮かんでくれば「正解」として、即座に次の問題に移る。 けっして書かない。 書かないことによって、時間・体力のムダを防ぐことができる。

(3)それでも、定期的に、書けるかどうかを試す必要はある。 しかし、それを漢字学習をするごとに毎回やるのは時間・体力のムダ。 そこは目だけでやる。

(4)「読みが問われる漢字」も、書ける段階(再生記憶レベル)までしっかり記憶したほうが、記憶が消えてしまいにくい。

「読みが問われる漢字」も書けるように練習すると忘れない。