トランプ政策で円はドルと共倒れ?資産暴落危機を乗り越える防衛術とは!? 吉田繁治氏 #558|2026年にかけて米国は巨額の国債償還と発行を乗り切るために、同盟国への投資要求や関税引き上げ、AIバブルの維持を強行するが、その無理な政策は中間選挙でのトランプ政権弱体化と共に崩壊し、世界的なインフレとドルの暴落、そして円キャリートレードの巻き戻しによる日米株価の同時暴落を招く。トランプ政権の誘導するドル安インフレ政策とBRICs連合によるドル離れの動きが加速しており、米ドル基軸通貨体制の弱体化と世界的なインフレの長期化が予測される。日本は実質金利のマイナス状態が続く中で円安とスタグフレーションのリスクに直面しており、個人はAI関連株の過熱を警戒しつつ、金やスイスフラン、積立投資を通じた実物資産へのシフトによる資産防衛を徹底すべきである。
■トランプ政策で円はドルと共倒れ?資産暴落危機を乗り越える防衛術とは!? 吉田繁治氏 #558
莫大な米国債の残高と利払い費の増加が米国の金融政策の足かせとなる
米国は返済不可能な38兆ドルの公的債務と、26兆ドルの対外純負債を抱えている。 債務残高は社会保障費や軍事費、金利支払いの増加により、毎年2兆ドルずつ拡大する。 2025年のトランプ政権の政策は、これら膨大な負債への対応が根本的な原因である。
2026年に集中する米国債の償還が12兆ドルの新発債発行を強要する
2026年にはコロナ禍で発行した5兆ドルの短期債を含む計10兆ドルの米国債が満期を迎える。 米国は借換債と新規発行分を合わせ、2026年度に12兆ドルの米国債を発行しなければならない。 巨額の発行を支える資金の確保が、米国の喫緊の課題である。
トランプ政権は輸入関税の引き上げにより政府収入の確保を狙う
トランプ政権は世界平均で15%から25%の輸入関税を課し、5000億ドルの政府収入を得る方針を掲げる。 関税の引き上げは米国内の物価上昇を招き、国民の負担を増大させる。 トランプ政権は減税を公約するが、減税は政府収入が相殺されることを意味する。
米国は日本とEUに対して巨額の対米投資と軍事費の増額を要求する
米国は日本に80兆円、EUに85兆円の対米投資を要求し、資金を国家ファンドである米国SWFの出資に充てる。 投資対象はAI関連であり、利益の9割を米国が確保する不平等な条件を提示している。 日本にはGDP比5%の32兆円の軍事費を求め、米国製兵器の購入を迫る。
ステーブルコインの発行により米国債のマネタイゼーションを推進する
2027年1月から2兆ドルのステーブルコインが発行され、認定金融機関が米国債を担保に通貨を供給する。 これは事実上の米国債の現金化であり、市場に過剰な流動性を供給してインフレを誘発する。 米国は暗号資産を利用して、滞る米国債の消化を強引に進める。
AIデータセンター建設のための電力確保が原発開発を促進する
AIデータセンターの運営には1拠点につき原発一基分に相当する1ギガワットの電力が必要である。 トランプ政権は世界40箇所から50箇所で原発建設を計画し、海外からの資金調達を狙う。 原発開発計画が、マグニフィセント・セブンの株価高騰を支える源泉となっている。
トランプのマネー政策は貿易赤字の削減とドル安による輸出拡大を目指す
トランプ政権の目標は、あらゆる手段を講じて貿易赤字を減らし、米国債の買い手を確保することである。 パウエル議長の退任後に金利を1%まで下げる方針を掲げているが、金利低下はドルの暴落を招く。 2026年にかけてドルの増刷と世界的なインフレが進行し、ドルの価値は下落する。
日本の財政赤字と利払い費の増大が金融政策を迷走させる
日本の国債発行残高は1300兆円に達し、利払い費だけで20兆円規模となっている。 社会保障費の不足により毎年22兆円の赤字が増大し続けている。 政府が積極財政で円安を容認する一方で、日銀が利上げを模索しており、政策の不一致が市場の混乱を招いている。
高市財政の積極財政路線は実質賃金の低下と家計の負担増を招く
高市政権が掲げる積極財政は名目GDPを増やすが、物価上昇率が賃金上昇率を上回る。 実質賃金はマイナスとなり、住宅ローンの利上げ負担が重なって家計の可処分所得は減少する。 政府の円安メッセージが市場に伝わり、金利を上げても円安が止まらない状況が生じる。
過去30年のゼロ金利政策が236兆ドルのドル超過を生み円安を定着させた
日本の30年にわたるゼロ金利により、1308兆円の資本が海外へ流出した。 海外からの還流額を差し引いても236兆円がドルの超過状態にあり、1ドル157円水準の円安の主因となっている。 日本円の流出が続く限り、輸入物価の上昇によるインフレ圧力は解消されない。
2026年に円キャリートレードの巻き戻しによる株価暴落のリスクが浮上する
日米の金利差縮小に伴い、200兆円規模の円キャリートレードが解消される懸念がある。 キャリー取引の巻き戻しは急激な円買いを誘発し、円高進行とともに日米の株価が暴落する。 2024年8月に起きたブラックマンデー級の混乱が、2026年に再現される可能性がある。
マグニフィセント・セブンの株価高騰はAIへの過剰期待によるバブルである
2023年以降の米国株の上昇は、AI関連の7社のみに依存しており、他の銘柄は停滞している。 S&P 500の35%を占める7社の時価総額は3200兆円に達するが、実態は過剰な期待によるバブルである。 資産の偏在が進み、上位10%の世帯が株式資産の9割を独占している。
エヌビディアとオープンAIの循環取引が収益実態を不透明にしている
エヌビディアはオープンAIに出資し、その資金でオープンAIがエヌビディアの半導体を購入する循環取引を行っている。 AIデータセンターは莫大な経費がかかる一方で、収益化には数千万人の有料会員が必要である。 2兆円の投資が数千億円の価値に減じるリスクがある。
日本の株価上昇は一部の半導体・通信銘柄に依存しており脆弱である
日本市場でも東京エレクトロンやアドバンテスト、ソフトバンク等の4社が日経平均を押し上げてきた。 これら4社が下落に転じれば、日経平均全体も強い調整を余儀なくされる。 世界のAI事業に対する収益懸念が強まる2026年7月以降、日本株も危機的な状況を迎える。
トランプ政権が中間選挙で弱体化すればAIバブルが崩壊する
2026年11月の中間選挙で共和党が敗北すれば、トランプ政権の政策実行力は失われる。 トランプ政権と密接な関係にあるAI企業やソフトバンクの株価は、政権の弱体化と共に売られる。 選挙前の6月頃から米国の金融相場が大きく崩れるリスクに備える必要がある。
投資家はAI関連銘柄を避け世界分散投資とドルコスト平均法を徹底すべきである
変動の激しい日米のAI関連株を避け、事業実態のある個別株やトピックス、オルカンへの投資を推奨する。 短期売買や信用取引は損失を拡大させるリスクが高いため避けるべきである。 年利10%程度の安定した利回りを目指す投資信託を、長期的な積み立てで購入することが賢明である。
実質金利がマイナスの日本円は世界の主要通貨に対して下落し続ける
米ドルやユーロ、スイスフランは実質金利がプラスまたはゼロを維持しているが、日本円は大幅なマイナス状態にある。 物価上昇に対して政策金利が低すぎるため、円は通貨安から抜け出せない。 金は国際通貨として中央銀行が買い増しており、今後も価値の上昇が期待できる。
トランプ政権はインフレとドル安を誘導して実質的な債務削減を狙う
トランプ大統領は利下げと通貨増発によるドル安およびインフレ政策を推進する。 インフレは米国が抱える5500兆円の公的債務の価値を実質的に目減りさせる。 3%のインフレが発生すれば計算上は150兆円の借金が返済されたのと同様の効果が生じる。 トランプ政権の政策はインフレ税として国民や日本などの国債保持者に負担を強いる。
日本の実質金利は大幅なマイナスであり円安圧力が継続する
日銀は2025年12月19日に利上げを行ない日米の政策金利差は0.5%縮小した。 しかし日本のインフレ率を考慮した実質金利はマイナス2.25%と極めて低い水準にある。 名目金利が0.75%であっても物価上昇率が3%であれば預金価値は実質的に目減りする。 実質金利の低さが円売りの主因となり円安傾向を助長している。
中立金利に達しない日本の低金利政策が円安の原因になる
日銀総裁は会見で日本の金利が中立金利の加減に達していないと言及した。 中立金利は経済を刺激も引き締めもしないインフレ率と同等の金利を指す。 日本のインフレ率が年3%である以上は金利も3%であるべきだが国債問題で実現は困難である。 金利とインフレ率の乖離が円安を招き、海外旅行費の高騰や不動産への外資流入を招いている。
円安は輸出企業に利益をもたらすが家計にはマイナスの影響を与える
円安は輸出企業や海外事業の換算利益を押し上げ株価を上昇させる要因となった。 企業は物価上昇に伴う売上増加と利益率向上を享受し日経平均を牽引した。 一方で家計にとっては実質賃金の低下を招く非対称な効果をもたらしている。 1985年のプラザ合意以降の円高経験から、日本では円安を是とする風潮が根強く残っている。
日本の長期金利は将来のインフレを見越して上昇傾向にある
日本の短期金利は日銀が制御しているが長期金利は市場原理で上昇している。 現在30年債金利は3.6%に達しており、市場が長期的なインフレを予測した結果である。 30年後の国債価値の目減りを補うために金融機関は高い金利を要求している。 長期金利の上昇は2026年6月頃に予測される株価のリスクシナリオに関係する。
円キャリートレードの解消が米国債の下落と株価暴落を招く恐れがある
米国系ファンドは低金利の円を借りて米国債に投資する循環取引を巨額に行なっている。 円キャリートレードの推定残高は200兆円に達し10倍から100倍のレバレッジがかけられている。 日米の金利差が縮小に転じると円キャリートレードの解消が急速に進む。 解消の動きは米国債の売却とドル安を誘発し、世界の株式市場を混乱させる可能性がある。
ブリックス連合はドル離れを加速させ金準備の積み増しを継続する
ウクライナ戦争後に米国がロシアの外貨準備を差し押さえたことでドルへの不信が広がった。 BRICs連合の中核20カ国はドルの制裁リスクを避けるため国債を売り金を買い増した。 金価格は1オンス2400ドル水準まで急騰した。 1980年のイラン革命時と同様の構図であり、ドルの基軸通貨としての地位が揺らいでいる。
ブリックス連合は独自の貿易決済通貨の導入を目指す
BRICs連合は2028年までに世界の貿易決済の60%を占める可能性を秘めている。 BRICs連合は金やコモディティバスケットにリンクした独自の共通暗号通貨を構想している。 中国中央銀行が金を1000トン単位で買い増している背景には裏付け確保の狙いがある。 経常黒字国である中国を中心とした新たな貿易通貨圏が形成されつつある。
金と銀の現物資産は供給の限界から長期的に価値が上昇する
金の採掘可能な埋蔵量は5.4万トンであり現在のペースでは15年で枯渇する。 年間の金生産量は3600トンが限界であり、現物需要の増加が価格を高騰させている。 金不足を補う形で銀への投資も活発化しており、ボラティリティを伴いながら上昇している。 BRICsによる買い増しが続く限り2026年以降も金価格の上昇は続く。
不動産投資は人口動態と実需に基づいた慎重な選択が必要である
日本の不動産は人口密度が高まる東京などの都市部で住宅価格の上昇が続いてきた。 投資目的での購入は節税や相続対策に限定されるべきであり、賃貸収益の確保は厳しい。 一方で高齢化に伴い郊外から都市部や温暖な地域へ移住する傾向が強まっている。 今後は沖縄やリゾート地の不動産が需要増加によりチャンスとなる可能性がある。
資産防衛の戦略として投資信託や金およびスイスフランを選択する
今後の投資戦略としてはAI関連株を避け、幅広い投資信託や金を選択することが賢明である。 通貨としては安全資産とされるスイスフランの一部保有が有効な防衛策となる。 金投資はドルコスト平均法を用いた定額積み立てによるリスク分散を推奨する。 トランプ政権の政策変化や中間選挙の結果を見据えたリスク管理が求められる。