なめらかなゲルインクボールペン
ゲルインクボールペンにおいて、ペン先がスムーズにすべる順位は、次のとおりである
※[裏抜け〔裏移り〕]とは、紙面の裏側までインクがしみ通る〔浸透貫通する〕という意味である。
【なめらか第1位/裏抜け第1位】:〔インクドボドボ〕ぺんてる・エナージェル〔Pentel ENERGEL〕:ゲルインクボールペンにおいて、エナージェルが最もスルスル書ける
- 【エナージェルのエコシステムでは、C-300系替芯を、キャップ式でもノック式でも共通して使える】:替芯の管理上、これは便利である。
- エナージェルの替芯の線幅は[0.3mm/0.4mm/0.5mm/0.7mm/1.0mm]である。
- エナージェルの替芯は[0.3mm/0.4mm/0.5mm]がニードルチップである。 ニードルチップは、細字を書くときの視認性が高い。
- エナージェルの替芯は[0.7mm/1.0mm]が砲弾チップである。
- ノック式エナージェルの口金〔チップを出すための穴があいた部分〕は、膨らみをもった三角錐であるため、ペン先の視認性が悪く、せっかくペン先の視認性が高いニードルチップの良さが生かされていない。
- エナージェル・キャップ式の口金は、えぐれた三角錐であるため、ペン先の視認性が良好であり、ペン先の視認性が高いニードルチップと相まって、ペン先が見やすい。 エナージェルは、キャップ式が使いやすい。
- エナージェル・キャップ式で使用するのは、C-300系替芯である。
つまりエナージェルのエコシステムでは、C-300系替芯を、キャップ式でもノック式でも共通して使える。
- エナージェル・キャップ式の本体に、C-300系替芯であるuni-ball SigNo〔ノック式〕の替芯を入れると、uni-ball SigNoのチップとエナージェル・キャップ式の口金の穴とが、ややきつめにフィットして、ペン先にまったくガタ・ブレが生じない。 このとき、C-300系替芯であるuni-ball SigNo〔ノック式〕の替芯の後端にマスキングテープを巻いておくと、替芯と本体との接触によるビビリ音が出なくなって、完全静音になる。 この[エナージェル・キャップ式+uni-ball SigNo〔ノック式〕の替芯]のペアが、1つの正解であろうと思う。
- uni-ball SigNo〔キャップ式〕は、どれも口金が金属製で、素速い筆運びにおいて、いちいち慣性抵抗が発生するので、速く書くのには向いていない。
- エナージェルは、インク・フローを豊富にして〔インクがドボドボと過剰に出ることを通じて〕、細い線幅でもペン先がスムーズにすべる書き味を演出をしている。 そのため、エナージェルで素早く線を引いて止めると、インクだまりができて、このインクだまりが浸透して、[点]として裏抜けしやすい状態になる。 またエナージェルは、インクがドボドボと過剰に出るため、線がにじんで線が太めに出るとともに、[点]だけでなく[線]も、よく裏抜けする。
- エナージェルは、紙への浸透を加速する薬剤によって速乾性を実現しているため、紙の表面のザラザラ具合に、インクが乾燥した跡である筆跡が負けてしまい、やや発色の悪い、マット調の筆跡になってしまう。
例えば、エナージェルのインクが黒であった場合、その黒い筆跡は真っ黒ではなく、濃い灰色になってしまう。
これは、珪藻土のプレートに、水彩絵の具で描いても、珪藻土のプレートが絵の具をグングン吸い込むため、発色が悪く、淡い色合いになってしまうのに似ている。
- [紙の表面のザラザラ具合に、インクが乾燥した跡である筆跡が負けてしまい、やや発色の悪い、マット調の筆跡になってしまう]という傾向は、サラサ・ドライ〔ゼブラ〕とも共通している。
- インクが乾燥した跡である筆跡がクッキリしており、発色の鮮やかさを感じさせるのは、三菱鉛筆のuni-ball SigNoが一番である。 ノートの視認性の高さを重視する場合には、エナージェルよりもuni-ball SigNoが適任であろう。
- 左手で書く人は、書いた直後に、その筆跡に掌外沿〔しょうがいえん:手の小指側の側面〕を当てるので、インクをこすって紙面や掌外沿を汚してしまう。 したがって、左手で書く人の場合、速乾性である[エナージェル][サラサ・ドライ]が必須であろうと思う。
- エナージェルは、紙への浸透を加速する薬剤によって速乾性を実現しているため、裏抜けが激しいので、安価なノート〔紙質が悪い〕では片面しか使えないことがある。
- エナージェルは、紙への浸透を加速する薬剤のせいで筆跡がにじむため、筆記した線幅よりも太い線幅で仕上がってしまう。
したがってエナージェルを選択する場合は、[0.5mmの線幅が必要なら0.4mm表記の替芯を選ぶ]などの[1段階細めを選ぶ]という工夫が必要となる。
- エナージェルの0.5mmは、uni-ball SigNoの0.7mmに近い線幅の筆跡となる。
- エナージェルの0.4mmは、uni-ball SigNoの0.5mmに近い線幅の筆跡となる。
- エナージェルは、インク・フローが潤沢であるため、インクが減るスピードが速い。ただし[エナージェル黒0.5mmの替芯][エナージェル黒0.4mmの替芯]はヨドバシでは安い。
- 問題を大量に解く勉強〔大量演習〕では、[エナージェル黒0.5mmの替芯]または[エナージェル黒0.4mmの替芯]を使うのが適切かもしれない。
- なお問題を大量に解く勉強〔大量演習〕では、[JETSTREAM〔低粘度油性インク〕0.5mm|三菱鉛筆]や[bLen〔エマルジョンインク〕0.5mm|ゼブラ]を検討してみてもいいかもしれない。
問題演習では、小さい字で書いたほうが速く大量に書けるので、線幅は0.7mmよりも0.5mmのほうが好ましいかもしれない。
- しかし[JETSTREAM〔低粘度油性インク〕0.5mm]は[同0.7mm]に比べて、ややペン先のガリガリが気になる。 [JETSTREAM〔低粘度油性インク〕0.7mm]は、線幅は太いけれども、ペン先がなめらかにすべる。
- [bLen〔エマルジョンインク〕0.5mm]は、ペン先でインクが固まるので、書き出しで必ずかすれるけれども、書き続ければ、0.5mmでもペン先はなめらかにすべる。
- ■エナージェル 替芯
- エナージェルは、少ない筆圧でもインクがドボドボ出るし、ペン先がよくすべるので、書いていて疲れにくい。 長時間の勉強・大量の演習に、エナージェルは向いていると私は思う。
- エナージェルは、講義を聞きながら文章を書き起こすような詳細なノートを取るなど、速記用・メモ用として使うのが最も適していると私は思う。 じっくりと見やすいノートを仕上げるには、uni-ball SigNoが向いていると思う。
【なめらか第2位/裏抜けしづらい】:〔インクはそこまで出ないがなめらかで発色がよい〕三菱鉛筆・ユニボール・シグノ〔uni-ball SigNo〕:細い線幅でもペン先がスムーズにすべる。
- 【uni-ball SigNoのエコシステムでは、C-300系替芯はノック式専用、キャップ式本体にはキャップ式専用の替芯が必要となる】:替芯の管理上、これは不便である。
- [キャップ式のuni-ball SigNo]には、本体・替芯ともに[ロング]と[ショート]がある。
- [UM1-51-28][UM1-51][UM1-51-05]がショートな本体で、ショートな本体には、ショートな替芯しか適合しない。
- [UM-100][UM-100 EW][UM-153]がロングな本体で、ロングな本体には、ショートな替芯とロングな替芯の両方が適合する。
- [UM-153]という太字1.0mmの大型キャップ付きの本体は、短いように見えるけれども、ロングな替芯が収まるだけの内部長をもつ。
- [UM1-51-28][UM1-51][UM1-51-05][UM-100][UM-100 EW][UM-153]は、[口金〔金属製〕]と[替芯の先端部]の規格が共通であるから、ロングな替芯のインクが減ってきたところで、ロングな替芯の後端を断ち切り、ショートな本体に装着することも可能である。
- [キャップ式のuni-ball SigNo]は、口金が金属製であり、先端が重いこと〔=低重心である点〕に賛否がある。
- ペンを速く動かして、たくさん速く書きたい場合、口金が金属製だと、先端が重いので慣性抵抗が強くなる。
- これはちょうど、FF駆動の自動車が、先端が重いので回頭性が悪く、アンダーステアが出やすい〔コーナーでコースが外側に膨らみやすい〕のに似ている。
- ペン先の回頭性をよくするには、先端を軽くすることが大切である。
- [キャップ式のuni-ball SigNo]は、先端が重いので回頭性が悪く、実用的にはやや不便である。
- 同じ三菱鉛筆なら、[uni-ball SigNo RT]の本体、あるいは、[JETSTREAMスタンダード〔ノック式〕]先端が軽いので、回頭性がよく、実用面ですぐれている。
- 同じ三菱鉛筆の[uni-ball SigNo RT1]の本体は、口金部分の形状が膨らみをもった三角錐であるため、ペン先の視認性が悪い。 これはノック式エナージェルの口金と同じ欠点である。
- ノック音については、[uni-ball SigNo RT1]よりも[uni-ball SigNo RT]のほうが静かであり、[uni-ball SigNo RT1]は高くてペン先の視認性が悪く、ノック音がうるさいという、欠点の多い本体である。 [uni-ball SigNo RT1]の替芯は、ペン先が面取りしてあるだけで、たしかに寝かせて書いても、ある程度はすべりがいいけれども、エナージェルのすべりには完全敗北している。
- エナージェルのペン先のすべりやすさは、uni-ball SigNoのペン先のすべりやすさを、大きく凌駕している。
- ペン先のすべりやすさにおいては、油性インクでは[JETSTREAM|三菱鉛筆]が一番であり、ゲルインクでは[エナージェル|ぺんてる]が一番である。
- エナージェルのインクドボドボが好みでない場合、C-300系替芯であるuni-ball SigNo〔ノック式〕の替芯を、エナージェル・キャップ式の本体に装填するのも1つの方法である。
- エナージェル・キャップ式の本体に、C-300系替芯であるuni-ball SigNo〔ノック式〕の替芯を入れると、uni-ball SigNoのチップとエナージェル・キャップ式の口金の穴とが、ややきつめにフィットして、ペン先にまったくガタ・ブレが生じない。 このとき、C-300系替芯であるuni-ball SigNo〔ノック式〕の替芯の後端にマスキングテープを巻いておくと、替芯と本体との接触によるビビリ音が出なくなって、完全静音になる。 この[エナージェル・キャップ式+uni-ball SigNo〔ノック式〕の替芯]のペアが、1つの正解であろうと思う。
- ■ゲルインクボールペン替芯|商品情報|三菱鉛筆株式会社
- C-300系替芯であるuni-ball SigNo〔ノック式〕の替芯は、インク色の[黒][赤][青]を基準とした場合、[0.28mm][0.38mm][0.5mm][0.7mm]の4種類がある。
- [0.28mm]:ペン先がガリガリするので、ストレスがたまる。
- [0.38mm]:ペン先のガリガリが減って、実用的なペン先のすべりになる。小さい文字でも、文字がつぶれずに書けるので、実用的である。
- [0.5mm]:この線幅から、ペン先のすべりがよくなる。
- [0.7mm]:C-300系替芯であるuni-ball SigNo〔ノック式〕の替芯には、ブルーブラックの0.7mmがないので、ブルーブラックの0.7mmの替芯としては、[SARASA|ゼブラ]用などを使うしかないと思う。
- エナージェルが[インクを紙に速攻で浸透させて「乾いてます感」を演出する]のとは対照的に、uni-ball SigNoは、紙面の浅い部分で乾燥して鮮やかに発色する手法がとられている。
- エナージェルとuni-ball SigNoとを比べて、パッと見で視認しやすいのは、uni-ball SigNoの筆跡である。
- じっくりと見やすいノートを仕上げるには、uni-ball SigNoが向いていると思う。
問題点を抱えたゲルインクボールペン
〔替芯の形状互換性に問題がある|インクだまりがやや多い〕パイロット・ジュース〔PILOT JUICE〕
- 【パイロットのC-300系替芯は独自規格になっており、他社のC-300系本体との互換性が不完全になっている】:替芯の管理上、これは不便である。
- ■Pilot Juice Upをキャップ式にする|尊いブログ:Rebooted
- ■30円でC-300系の「ブレン化」 無印良品 「ボールペンキャップ式本体」: 弘法よ、筆は選べ
- ■BP替芯適合表2023_FN - BP_kaeshin2023.pdf
- [パイロットのC-300系本体]には[パイロットのC-300系替芯]も[パイロット以外のC-300系替芯]も適合する。
- [パイロット以外のC-300系本体]には[パイロットのC-300系替芯]は適合しない。
- [パイロット以外のC-300系本体]には[パイロット以外のC-300系替芯]は適合する。
- 結局、[パイロットのC-300系替芯]には、[ペン先部分]と[半透明パイプ]との間に[余計な出っ張り]があるので、替芯の形状互換性が不完全に、つまり、以下のようになっている。
- そのため[パイロットのC-300系替芯]を、[エナージェル・キャップ式][エナージェル・エス][エナージェル・ノック式][エナージェル・インフリー]の本体で使うことができない。
- そのため[パイロットのC-300系替芯]を、[uni-ball SigNo〔ノック式〕|三菱鉛筆]の本体で使うことができない。
- したがって、[パイロットのC-300系本体]であれば、どんな[C-300系替芯]でも受け入れられる、という状態になっている。
- パイロットの高級軸で、どの[C-300系替芯]でも受け入れ可能なのが[カスタム 74]である。私は[カスタム 74]を所有しており、そのことを確かめてある。
- ■カスタム 74 | 製品情報 | PILOT
- 結局、[パイロット以外のC-300系本体]つまり[ぺんてる][三菱鉛筆][ゼブラ]の[C-300系本体]と[C-300系替芯]は、大筋において、互いに交換可能〔interchangeable〕である。
- ということは、替芯の形状互換性を重視する場合、パイロット・ジュース〔PILOT JUICE〕など、[パイロット]の[C-300系替芯]は、自分の文房具エコシステムに入れないほうがいいかもしれない。
〔ガリガリ引っかかる〕ゼブラ・サラサ〔ZEBRA SARASA〕
- サラサの線幅には[0.3mm/0.4mm/0.5mm/0.7mm/1.0mm]があるけれども、[0.3mm/0.4mm/0.5mm]は、線幅が小さいほどペン先がガリガリ引っかかる。
- サラサの問題点は、[0.4mm/0.5mm]という[ノート作りの主力]となる線幅の替芯において、ペン先がガリガリ引っかかる点である。 0.5mmでもペン先がガリガリ引っかかるので、これは不便である。
- サラサの線幅のうち[0.7mm/1.0mm]は、ペン先がガリガリ引っかからず、なめらかに書くことができる。
〔ガリガリ引っかかる〕サクラクレパスのボールサイン〔SAKURA CREPAS BALLSIGN〕
- 【サクラクレパスのボールサインのC-300系替芯は直径が他社よりも細い独自規格になっており、ボールサインのボディに[ボールサインのC-300系本体]に[ボールサイン以外のC-300系替芯]を取り付けることができない】:替芯の管理上、これは不便である。
- 結局、[サクラクレパスのボールサインの本体]は内径が小さいので、[ボールサイン以外のC-300系替芯]は適合しないため、注意が必要だということである。
- サクラクレパスのボールサインで、0.4mmの[緑っぽい黒][赤っぽい黒]などの替芯を買ったけれども、ペン先がガリガリ引っかかり、相当なストレスだったので、替芯を捨ててしまった。
- サクラクレパスのボールサインは、買った当初は、そこまでペン先がガリガリ引っかかることはなかったと思う。
- サクラクレパスのボールサインは、ボールが錆びてしまいやすいのかもしれない。
- そして、サクラクレパスのボールサインでは、インクが残っているのに、ボールが回らなくなるトラブルを何度か経験した。 そのトラブルとは、チップ先端のボール、バネなどのメカニカルトラブルである。
- サクラクレパスのボールサインは、まず避けるべきゲルインクボールペンではないかと思う。
- ボールサインは、そもそも、実店舗では入手が困難である。どこにも売っていない。
- サクラクレパスのボールサインの[黒]は、発色が真っ黒であり、色彩的には素晴らしい。