小林製薬の紅麹サプリメント問題は、科学的因果関係が不明な段階での過熱報道と異例な行政対応によって株価を暴落させ、その隙に外資ファンドが筆頭株主の座を奪取するという、設計された買収構造の一例である。
創業100年を超える小林製薬の筆頭株主が香港系ファンドに入れ替わった
創業100年を超える日本企業である小林製薬の筆頭株主が、1年前に香港系ファンドに入れ替わった。 香港系ファンドの持ち株比率は13%から19%へと増加している。 小林製薬創業家の社長は退任して保証担当へ降格した。 紅麹サプリメントと死亡の因果関係は、問題発生から1年が経過した現在も医学的に確定していない。
過熱したメディア報道と行政の異例な対応が株価の暴落を招いた
当時のメディアは健康被害や死者多数という情報を連日報じた。 報道により小林製薬の株価は32%暴落した。 行政は異例のスピードで動き、創業家は責任を問われて退陣した。 2025年になり、当時の報道が過熱していた可能性を検証する記事が出始めている。 同様のパターンは他の日本企業でも繰り返されている。
アクティビストファンドは株価急落時に介入し利益を確定させる
アクティビストファンドは株価が本来の価値より安価な企業を探し出す。 アクティビストファンドは株式を買い集めて経営に介入し、株価が上がった段階で売り抜ける。 アクティビストファンドが参入した企業の株価は平均で37%上昇する。 アクティビストファンドが退出した後は株価が12%下落するというデータがある。
企業が外資に渡る過程にはスキャンダル発生から始まる3つの段階がある
企業が外資に渡る過程には、3つの段階が存在する。 第一段階はスキャンダルの発生である。 因果関係が科学的に確定する前から、メディアによる断定的な報道がなされる。 テレビや新聞、SNSで情報が一斉に拡散される。 拡散された情報は、あたかも確定した事実であるかのような印象を社会に与える。
メディアと行政が異常な連携を見せて経営陣への集中砲火を行う
第二段階ではメディアと行政が異常なほど連携して動く。 通常よりも早い行政対応や、刺激的な見出しによる経営陣への批判が起こる。 メディアは消費者を守る立場として振る舞い、行政は国民の安全という大義名分を掲げる。 しかし、騒動によって利益を得る存在についての視点はほとんど報じられない。
株価暴落のタイミングで外資が安値になった株式を買い集める
第三段階で株価が暴落し、外資が買い集めを開始する。 個人投資家が手放した株を、ファンドが買い進める。 気づいた時には筆頭株主が外資に入れ替わっている。 筆頭株主の交代後も株式の買い増しは継続される。 スキャンダル、行政対応、株価暴落、外資参入がすべて偶然に揃う確率は極めて低い。
日本の市場は外資規制が緩く意図を持った買収に対して無防備である
日本における外資規制の緩さが、買収構造を成立させている。 中国は外国人による企業買収を厳しく制限している。 対して日本の市場は開かれており、意図を持った買収に対して無防備である。 メディアが不正を追及する形を取ることで、報道内容に対する批判を封じ込める仕組みが機能している。
2024年3月に紅麹サプリの自主回収が発表され株価は32%暴落した
2024年1月に6,866円の高値を付けていた小林製薬の株価は、3月22日の紅麹サプリの自主回収発表により急落した。 3月26日には年初来安値の4,700円を記録し、約32%の暴落となった。 死者1名という報道が出た直後、厚生労働省と大阪市による立ち入り検査が実施された。
週末に行われた異例の立ち入り検査が月曜日の売り殺到を招いた
厚生労働省による立ち入り検査は、土日の連日体制で行われた。 週末の検査は行政対応として極めて異例である。 週末に立ち入り検査を行うことで、土日のニュース番組で繰り返し報道される。 報道は国民に強い印象を与える。 結果として、月曜日の株式市場が開いた瞬間に売りが殺到する状況が作られた。
オアシス・マネジメントが株式を取得し創業家経営が終わりを告げた
2024年7月22日にオアシス・マネジメントが5.2%の株式取得を発表した。 発表の翌日に小林製薬創業家の会長と社長が辞任した。 12月22日にオアシス・マネジメントは筆頭株主となった。 2025年1月には、小林製薬の歴史上で初めて創業家以外から豊田則一氏が社長に就任した。
オアシス・マネジメントは旧経営陣に対し135億円の損害賠償を提訴した
2025年2月の臨時株主総会では、オアシス・マネジメントの提案は否決された。 しかし少数株主の40%以上が提案に賛同した。 4月にはオアシス・マネジメントが旧経営陣に対して135億円の損害賠償訴訟を提起した。 訴訟が旧経営陣の負担となる間も、オアシス・マネジメントは持ち株比率を19.1%まで増加させた。
1年が経過してもサプリメントと死亡の因果関係は確定していない
厚生労働省の最終集計では死亡疑い404件という数字が出た。 しかし1年経った現在も因果関係は医学的に確定していない。 プベルル酸の関与も証拠不足の状態である。 2025年になり過熱報道の検証が始まった。 しかし結果として創業家は退陣し、外資の持ち株が増えたという事実が残った。
小林製薬は中国市場で神薬12選に選ばれるほどの高いブランド価値を持つ
小林製薬が標的となった理由は、中国における高いブランド価値である。 中国の消費者が選ぶ[神薬12選]に、小林製薬の製品が5つランクインしていた。 インバウンド売上の7割は中国人観光客によるものであった。 2018年には中国の医薬品メーカーを買収し、現地生産体制を整えていた。
特定分野に絞り込んだ堅実な戦略で圧倒的な市場シェアを獲得している
小林製薬は、大手が参入しない専門的な分野で圧倒的な強さを持つ。 熱さまシートの市場シェアは53%である。 言語に依存しないパッケージデザインは、海外展開において有利に働く。 小林製薬は独自の製剤技術と評価技術を保有している。 外資による株式取得は、これらの資産を安価に入手することに繋がる。
2021年に発表されたヨウ素研究の抗ウイルス効果が将来の価値を持つ
2021年7月に小林製薬は、0.5%のヨウ素水溶液が各種ウイルスを99.9%不活化するという研究結果を発表した。 将来パンデミックが発生した際、ウイルス不活化技術を持つ企業は大きな価値を持つ。 将来性のある技術を持つ企業を確保したいという動機が、買収の背景にあると考えられる。
日本の資産が報道という装置を通じて外へ流れる構造を見抜く必要がある
本質的な問題は、日本の技術やブランドという資産が国外へ移動している構造である。 因果関係が確定しなくても、1年の間に小林製薬創業家は退陣し、外資の支配力が強まった。 この事象は、日本各地で見られる土地買収や水源地取得と同様の、資産が流出する構造を象徴している。
構造を知り観察者としての視点を持つことが同じパターンを防ぐ力になる
買収の構造を知ることで、報道に流されない視点が生まれる。 企業スキャンダルが報じられた際、誰が利益を得るのかを問い、1年後に起きる事象を予測することが重要である。 感情に左右されず客観的に事象を見ることで、同じパターンに巻き込まれることを防げる。 意識の変化が防衛に繋がる。
2026年も構造を注視し感情ではなく事実に基づいて事象を観察する
2026年も様々な事象が発生する。 表面的な情報ではなく、事象の構造を見続ける姿勢が求められる。 一人一人が客観的な視点を持ち、誰が利益を得るのかを問い続けることが、日本の資産を守る防衛策となる。 日常の言葉を丁寧に使う行為も、日本固有の資質を保持することに寄与する。