動詞の図解分類〔draw.ioで作図しています〕

※V-enは、一般的な英文法用語では、過去分詞といいます。ただしV-enの中には、《1》[完了相分詞]《2》[受動態分詞]という2種類のものが、ごちゃ混ぜになって混入しています。 [過去分詞]という用語のどこがマズいのかというと、[過去分詞]に《1》[完了相分詞]《2》[受動態分詞]という2種類のものが含有されているからです。

※さらにいえば、《1》[完了相分詞]の[完了相]〔perfect aspect〕という用語も実態を表していません。 [完了相]には、[完了][継続][経験][結果]といった意味があるとされますよね?  [完了相]には、[継続][経験][結果]といった、[完了]以外の意味もあるのに、[完了相]という名称ではおかしいでしょ?  [完了相]は、実際には、[履歴保持相]=[the aspect of “holding one’s history of something”]=[何らかのその主体の履歴を保持しているアスペクト〔相〕]です。 凝縮して言い換えれば、[完了相]は、[履歴相]〔historical aspect〕です。 いわゆる完了形で表現される内容は、[haveに続くV-en(句)が表す内容の履歴を保持している〔have〕]という原義から、[完了][継続][経験][結果]といった意味が派生しているだけです。 完了形つまり[完了相]は、[履歴の保持]=[have one’s history]という原義をもち、そこから[完了][継続][経験][結果]といった意味が派生しているだけなので、[完了相]は、[履歴相]〔historical aspect〕と言い換えたほうがわかりやすいし、正確なのです。

Perfect aspect | LearnEnglish

※一般の文法用語でいう[動名詞〔V-ing〕][現在分詞〔V-ing〕][過去分詞〔V-en〕][不定詞〔to-V〕]を[準動詞]と総称します。 [準動詞]が表す時〔time〕を、過去方向にシフトさせたいときには、[having V-en][to have V-en]のように[履歴相]〔historical aspect〕を用います。 [法助動詞]が表す時〔time〕を、過去方向にシフトさせたいときには、[will have V-en][would have V-en][may have V-en][might have V-en]のように[履歴相]〔historical aspect〕を用います。 このように、V-enは時〔time〕を過去方向へとシフトさせるときの表現でもあるわけですから、[履歴の保持]を意味する[履歴相]という名称のほうが、[完了相]という名称よりも、実感がわきやすいことでしょう。

※[単独のV-en(句)]とは、[その直前にhaveもbe動詞もないV-en(句)]=[直前にhave・beのないV-en(句)]のことです。

  • 1つの[見出し語としての動詞]の中に、《1》[自動詞用法]《2》[他動詞用法]の別があるのが一般的です。
    • 例えば、[単独のV-en(句)]としてのbrokenがあったとして、そのbrokenがhave broken〔壊れた=自動詞用法〕と等価なのか、そのbrokenがbe broken〔壊れされた=他動詞用法〕と等価なのか、そのどちらかは、そのbrokenが用いられている文脈から判断するしかありません。
  • したがって、[doは他動詞だ]という言い方はできず、[ここでdoは他動詞として用いられている][ここのdoは他動詞用法である]などと説明するのが自然でしょう。
  • 他動詞用法で用いられている動詞は、SVO・SVOO・SVOCのうち、どれかの文型になります
    • S=Subject〔主語〕〔主格〕〔1格〕
    • V=Predicate Verb〔述語動詞〕
    • O=Indirect Object〔間接目的語〕〔間接目的格=与格〕〔3格〕
    • O=Direct Object〔直接目的語〕〔直接目的格=対格〕〔4格〕
    • SVO文型の[O]は〔直接目的格=対格〕〔4格〕です。
    • SVOO文型の[最初のO]は〔間接目的格=与格〕〔3格〕です。
    • SVOO文型の[2番目のO]は〔直接目的格=対格〕〔4格〕です。
    • SVOC文型の[O]は〔直接目的格=対格〕〔4格〕です。
    • ※1格=主格、2格=属格、3格=与格、4格=対格というのは、ドイツ語文法の考え方です。
    • ※英文法は、オランダ語文法やドイツ語文法を背景〔背後〕にもっているものが、崩壊して、現在の英文法のような惨状〔崩壊したスフィンクスのような状態〕になっているので、ドイツ語文法の考え方で補ったほうがわかりやすい場合もあります。
  • まとめると、[直接目的語〔【直接目的格=対格】を帯びた名詞類〕]を1つ以上とる動詞を[他動詞用法で用いられている動詞]と定義します。
    • [目的語をとる]とは、[目的語を必要としており、実際に文型の中に目的語を実装している]ということです。
  • 逆に、その動詞が展開している文型の中に、[直接目的格=対格]=[4格]を帯びた名詞類がなければ、その動詞は[自動詞用法で用いられている動詞]という定義になります。
  • じゅどうたい〔[~される]など受身の表現〕とは、のうどうたい〔=じゅどうたい〕の文の中身を操作して、《1》[主語と直接目的語とを入れ替えた表現]《2》[主語と間接目的語とを入れ替えた表現]と定義されます。
  • したがって、SVO・SVOO・SVOCのうち、SVO文型・SVOC文型からは、1種類の受動態表現が生成され、SVOO文型からは、2種類の受動態表現が生成されます。
  • V-enは、一般的な英文法用語では、過去分詞といいます。
  • ただしV-enの中には、《1》[完了相分詞]《2》[受動態分詞]という2種類のものが、ごちゃ混ぜになって混入しています。
  • ほんらいであれば、《1》[完了相分詞]の語尾と、《2》[受動態分詞]の語尾を、別々の語尾にするのがよかったのですけれども、英語は[管理せずに放置された言語]ですので、そのような工夫がなされていません。
    • [have + V-en]は[完了相]を意味する。
    • [be動詞 + V-en]は[受動態]を意味する。
  • 以上のように、V-enの直前にhaveまたはbe動詞があれば、そのV-enが[完了相]を意味するのか、[受動態]を意味するのかは、一目瞭然です。
  • しかし、その直前にhaveもbe動詞もない、単独のV-en(句)〔その直前にhaveもbe動詞もないV-en(句)〕がある場合、それが[完了相]を意味するのか、[受動態]を意味するのかは、わかりません。
  • そのとき、そのV-enという語形をとっている動詞が、自動詞的な意味として使用されていれば完了相を意味し、他動詞的な意味として使用されていれば受動態を意味すると、文脈に依存して判断するしかありません。
  • さらにやっかいなことに、規則動詞に分類される動詞では、過去形とV-enが同形〔同じ語形〕です。
    • 例えば、I’ve played the guitar for twenty years.:[playedはV-enで完了相]
    • 例えば、The guitar hasn’t been played for years.:[playedはV-enで受動態]
    • 例えば、I played (the) guitar today.:[playedは-edつまり過去形]
    • 同じ-edという語形を使い回しているから、英語はわかりづらいんだよ。
    • こういうのは、英語・英文法の制度的欠陥であり、これを解消しないのは、英国・米国というものが、本質的な意味において、文化を軽視しているからだと思う。
  • 規則動詞とは、V-en〔完了相分詞・受動態分詞〕と-ed〔過去形〕とが、[-ed]という同じ語形〔同形〕になっている、という[語形変化が崩壊してしまった状態]なのです。
  • こういった状態では、英語は話し手・書き手にとっては、変化形を暗記する手間が省ける、ラクな言語ですけれども、聞き手・読み手にとっての英語というのは、語形つまり文法からは判断できない要素がある、あやふやな・曖昧な言語だということになります。
  • そして、英語の語形変化を復活させていくとオランダ語やドイツ語になります。あるいは、フランス語になる部分もあります。
  • ですので、もしも西欧語を学ぶ必要があるのだとしたら、もしも選択できる場合には、フランス語かドイツ語を学ぶのが、本来的なのかもしれません。
  • 私は英語に、言語としての美学や整頓されたイメージを、まるで感じません。