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参政党・神谷宗幣代表「NISAで集めたお金を国内のインフラ投資に使うべき」

参政党・神谷宗幣代表「NISAで集めたお金を国内のインフラ投資に使うべき」

神谷氏によるNISA資金の国内投資案の提起と否定の経緯

神谷氏は、NISAによって集めた資金を国内のインフラ投資などに活用すべきであると提案したが、この主張は否定された経緯が存在する。 現状、NISA制度下で集まる資金の多くは、S&P500や全世界株式といった海外株に向けられており、国内に十分な資金が回っていないとの指摘がなされている。 プラチナNISAを利用して高齢者から資金を集め、毎月配当を実施するという運用案についても、実際には元本の切り崩しとなるため持続性がない制度であると判断されている。 日本には2000兆円規模の家計金融資産が蓄積されているものの、その大半が国内投資に十分活用されていない現状が継続している。

国営ファンド創設案とかつての財政投融資制度の比較

国営ファンドの創設に関して、従来の郵便貯金や年金資金を十分に機能させていた過去の財政投融資制度と同じしくみを復活させればよいという考え方が示されている。 財政投融資制度では、郵便貯金や代理店制度を通じて集められた資金を国が公共事業や長期的利益のある分野へ投資していた。 かつて日本は、世界最大規模の国家ファンドを有していた時期があり、そのシステムは諸外国の政策担当者からも高く評価されていた。

政党公式動画での神谷氏NISA発言と過去の炎上事案

神谷氏のNISAに関する具体的な発言は、賛成党の公式YouTubeチャンネルにて1ヶ月強前〔収録日は5月23日〕の動画内で行われた。 この発言の他にも神谷氏は2023年3月16日の財政金融委員会でNISAに関する発言をした際、NISA制度の本質に対する認識不足がSNSやマスメディアで指摘され炎上した過去が存在する。 その後、神谷氏自身がSNS等で訂正を行う場面もあった。

NISA発言を巡る誤解・社会的反応・訂正の履歴

神谷氏の過去の発言内容は、マスメディアおよびSNSで断片的に切り取られて拡散され、[賛成党は危険][陰謀論的思想がある]とする印象や批判が強まった。 神谷氏自身は過去の誤認や不適切な発言を認識し訂正を表明している。 さらに、アジア版NATOに中国を含める構想に関する過去の発言についても、のちに自身の誤りを公式に認めている。

NISA制度についての神谷氏の理解不足の指摘

NISAは個人が自ら金融機関を通して株式や投資信託を購入し、その運用益や配当に対して非課税となる制度である。 この枠組みでは国が直接資金を集めて運用主体となることは制度上不可能であり、国営ファンドとは異なる仕組みである。 しかし、神谷氏はNISAにより集まる資金を官民連携で国内インフラなどへ政府が関与して運用すべきとする趣旨の主張を行ったため、NISA制度の主旨に対する誤認が疑われている。 その後、神谷氏はSNS上で誤解や訂正を繰り返している。

NISAでの投資先偏在と日本株投資専用非課税制度の必要性

現在のNISA利用者は、S&P500やオールカントリー〔全世界株式〕のような海外株投資を中心に資金を振り向けており、結果として日本の膨大な資産が国内で十分循環していない。 多くの利用者が日本株よりも海外株に投資を集中させる要因は、相対的なリターン〔経済合理性〕が海外株を上回っている現実にある。 日本株投資専用の非課税口座という制度改革が国内資産循環には不可欠である。

郵便貯金・財政投融資の歴史的意義と民営化後の変化

かつて郵便貯金で集められた資金は、長期間にわたり金利付きで調達・運用され、公共インフラ、鉄道・新幹線や高速道路など国家の基礎を支える投資に活用されてきた。 この仕組みは、日本の経済成長を支え、税負担の過度な増加を抑制する効果ももたらした。 民営化と特別会計の変遷によってこれらの公共的なスキームは縮小もしくは廃止され、国際金融資本の影響やグローバリストの圧力といった背景から国家主導型資金運用の意義が失われていった。

神谷氏の姿勢と日本の政治環境についての評価

神谷氏は財政投融資や郵政民営化などの国家資金運用に歴史的・構造的な強い関心を持っている。 自身が誤解している部分があるとしても、日本を良くしたいという思いは突出しており、政治家としての誠実さも際立つ。 本人のみならず、賛成党や政策ブレーンが正しい知識と現実認識に基づいて議論を深め、国家の戦略的資産活用策について冷静かつ客観的に判断していく必要があると評価できる。

神谷宗幣氏によるNISA制度への誤解点

  • NISA資金の運用主体について誤解
    • NISA〔少額投資非課税制度〕で集まった資金を[国が運用できる][国が主体的に使える]と考えていたが、実際にはNISA資金は各個人のものであり、政府や行政が直接運用したり特定の事業に充てることはできない。
  • NISA資金で官民連携プロジェクト実現が可能という誤解
    • NISAを利用して集まったお金で国産SNSの開発など、特定の官民連携プロジェクトやインフラ投資に回せると認識していたが、NISAは[個人が証券会社等を通して選択した金融商品への投資を非課税にする制度]であり、集めた資金を政府や国が再配分する仕組みではない。
  • NISA資金の国内循環保証への誤解
    • NISA制度の資金が自動的に国内企業や国民の利益のためだけに使われると捉え、政府主導で国民の資産を国内循環させる役割がNISAにあると考えていた。しかし、現実にはNISAの投資先は投資家個人の判断に委ねられ、海外投資が多くなれば資金は海外に流れる。
  • 非課税配当の根拠についての誤解
    • NISAによる投資の利益が[国営ファンドのように国民に非課税で分配される]という認識を示したが、NISAにおける非課税は“運用益や配当”に対して発生するものであり、[分配]はあくまで個人の保有資産に基づくもので、国による再分配とは異なる。
  • 制度本来の目的との乖離
    • 神谷氏はNISAを[国家の戦略的資産活用装置]として捉えていた節があるが、本来NISAは[個人投資の裾野拡大]を目的とし、政府が資金を統制・活用する国営基金ではない。
  • これらの誤認に対し、神谷氏本人はSNS上で誤解があったことを認め、訂正を行っている。

小口化国債による国民参加型国家事業ファンドの構想

  • 神谷宗幣氏によるNISA制度への誤解を逆手に取った、高配当の個人向け国債の構想をPerplexityが考えてくれた。
  • 国民が国家事業へ幅広く参加し、一定の利回りを享受できるようにする仕組みは、既存の個人向け国債制度を発展させた新しい国家プロジェクトとして十分に構想可能である。
  • この構想は、既存の個人向け国債の信頼性を土台に、国民の資産が直接国家事業の推進力として活かされる仕組みを追求するものである。
  • 高配当型やプロジェクト連動型など、魅力的かつ社会的意義のある枠組み作りが重要となる。

既存制度の強みを活かした枠組み設計

  • 個人向け国債の小口販売の特徴
    • 購入単位は1万円からと、一般の個人も容易に参加できる。
    • 半年ごとの利子受け取り・元本保証の仕組みにより安全性が高い。
  • 国債購入資金の用途限定案
    • 国債発行段階で使途を特定〔例:インフラ整備・災害復興・デジタル国家プロジェクト等〕。
    • これによって、購入した国民が[自分の資金がどの事業に使われるか]を可視化でき、共感や納得、参加感を強化できる。

高利回り付与の現実的な条件

  • 現状の金利と課題
    • 個人向け国債の最低金利は年0.05%、基準金利の66%を下限として設定されている。
    • 安全性重視のため、通常[高配当]は想定しにくいが、事業の収益性や社会的意義に応じて、一定のインセンティブ上乗せが政策的に可能。
  • 高配当化へのヒント
    • 特定事業の収益や経済波及効果をもとに利子上乗せを政策的に設計する。
    • たとえば、国民参加型[プロジェクト債]として、地方創生やグリーンエネルギー、先端技術開発等で成果を挙げた場合は追加利払いも検討可能。

実現に向けた具体策

  • 商品タイプの多様化
    • 異なる満期〔例:3年・5年・10年〕の小口国債を複数用意し、用途ごとに選択肢を持たせる。
    • 募集時にWebサイト等でプロジェクトの進行状況や資金用途を公開。
  • 国民へのPR・透明性の確保
    • 国家プロジェクトへの直接的な参加意義や社会的リターンを明示し、単なる[投資]以上の納得感を提供。
    • 発行・運用状況や使途を定期的に可視化し、寄附文化とも連動させて運営。

留意点

  • [高配当]にする場合、国の財政健全性や信用維持とのバランスが重要である。
  • 政策的優遇〔税制優遇・利上げ〕は財政負担や市場の健全性への配慮を要する。
  • 民間活力や既存市場との競合を適切に整理し、新たな公共投資モデルとして社会的理解を得る必要がある。

【元動画】:【神谷宗幣 × 松田学 対談】失われた30年とは何だったのか⋯ 郵政民営化で貧しくなった日本

【神谷宗幣 × 松田学 対談】失われた30年とは何だったのか⋯ 郵政民営化で貧しくなった日本

郵政と財政投融資の基本構造

郵政は郵便局やゆうちょ銀行などの金融機関であり、日本において長年、国民の預金を大量に集めてきた存在である。 一方、財政投融資とは、国が金利付きで調達した資金を公共目的のために運用する制度である。 日本では、第2の予算とも呼ばれる財政投融資が長く活用されてきた。 税収や国債による第1の予算とは違い、財政投融資は郵便貯金や年金など国民の貯蓄を主体とし、金利が付いたまま自主運用する仕組みである。

郵便貯金と財政投融資の連関

郵便貯金が発展したことで、日本には莫大な資金が国に集まった。 この資金は当然金利を伴うものであったため、国はその金利を支払える範囲で運用し、高速道路建設やインフラ整備、中小企業向けの融資など、各種公共的な目的に用いてきた。 こうして集められたお金を財政投融資という形で運用し、日本の高度経済成長期には財政投融資が税金に代わる役割を果たして経済発展に貢献した。

国営ファンドとしての財政投融資

かつては郵便貯金と簡易保険が財源となり、360兆円から370兆円規模の資金が日本全体で動いていた。 この規模は国営ファンドといえるものであり、現在のソブリン・ウェルス・ファンド〔国家ファンド〕の祖型である。 年金基金も同様に集めた資金が国内運用されていたが、現在はその規模が減少し、資金の一部は海外運用に回っている。

グローバル化と財政投融資改革の経緯

かつて日本は世界最大の国家ファンドを保有していた。 だがグローバルな銀行勢力や金融界から[競合するのはけしからん]といった批判が続き、財政投融資悪のイメージが拡大した。 その結果、行政改革の対象となり、一部の公共機関が肥大化しているとの議論も発生した。 この流れの中で、日本の大きな資金運用は分割・縮小されていき、外国勢力の意向が反映されやすくなった。

財政投融資と特別会計の位置付け

財政投融資は特別会計に属し、一般財源とは異なる会計管理となっている。 特別会計の運用を巡っては闇や癒着が指摘され、政治的な批判も集中した。 例えば、塩川正十郎財務大臣の時期には、特別会計のあり方が問題視され、叩かれることが多かった。 しかし実際の運用は贅沢や不透明なものではなく、公共目的のために厳格に行われていた。

誇りと期待を支えた郵政システム

郵便局やゆうちょ銀行の職員は、自らが集めている預金が国のために用いられることを誇りにしていた。 また、国民も長に預ける預金が公共目的に活用されるとの信頼を持ち、それが社会に広く浸透していた。 しかし、郵政民営化などの改革でこのシステムは否定され、従来の信頼性が大きく損なわれた。

郵政民営化と投資資金の流出

近年、NISAなどの新たな投資制度を通じて資金が集められているが、欧米に比べれば規模は依然小さい。 しかも、多くの資金が国内投資ではなく海外ファンドなどに回っている。 そのため、日本国内のインフラ投資等へ資金が回らず、国民の資産が国外に流出してしまっている。 かつてのゆうちょや年金資金による国内運用が見直される必要が挙げられる。

郵政民営化の制度的転換と背景

郵政民営化は、従来国営で実施されていた郵政事業を、段階的に民間企業へ移行する大規模な制度改革である。 2004年9月10日に閣議決定された[郵政民営化の基本方針]に基づき、日本郵政公社の主要機能〔郵便・郵便貯金・簡易生命保険・郵便局窓口〕は、それぞれ独立した株式会社へと分割された。 その上で各社を統括する持株会社を設けるという四分社化モデルが採用された。 2005年には郵政民営化法が国会で成立し、2007年10月1日から日本郵政グループが発足した。

郵政民営化推進の政治的経緯

郵政民営化は小泉純一郎政権における[構造改革]の中心課題であり、[民間にできることは民間に][改革なくして成長なし]といったスローガンのもと推進された。 法案は2005年に衆議院で可決されたが、参議院で一度否決され、その後衆議院解散・総選挙を経て、再び国会で可決された。 この過程で国民的な議論と支持の波が生じ、最終的に郵政事業は民営化へと大きく舵が切られた。

郵政民営化後の事業構造と変化

民営化により、郵政事業は

  • 日本郵便株式会社〔郵便事業〕
  • ゆうちょ銀行株式会社〔郵便貯金業務〕
  • かんぽ生命保険株式会社〔簡易生命保険業務〕
  • 郵便局株式会社〔窓口業務〕 として分社化された。 各社は日本郵政株式会社の傘下で運営され、これまで三事業一体で行われてきた郵政事業は解体された。

民営化による効果と課題

民営化の狙いは、経営の自由度拡大、民間との公平な競争条件の確立、各事業間のリスク遮断などにあった。 サービス水準の維持と地方の郵便局ネットワークの維持も重視された。 だが、従来の公共性や国民生活への利便性、安定的な資金運用に関する課題も露呈し、一部では[郵政民営化による公共性の低下]や[利益追求によるサービス低下]が指摘されてきた。

郵政民営化のその後と現状

民営化開始から数年後の2012年には、改正郵政民営化法が成立し、その後の体制見直しや民営化の進捗状況も議論されてきた。 一方、国民の資産が国内のインフラ投資に十分活用されず、海外流出や本質的な投資先の問題が残る点への指摘が続いている。

郵政と財政投融資改革の本質的影響

郵政民営化および財政投融資改革によって、日本の公共投資資金循環が大きく変化した。 以前のように国家規模で長期的な視点からインフラ整備や中小企業支援が難しくなり、民間的手法や利益優先の流れが強まり、結果的に国内経済や地域社会への影響も大きく現れている。 今後も公共性と効率性、国民資産の最適活用をめぐる政策課題が続いている。