しゃかいしん〔depth of field〕とは、ピント面の厚みのこと

  • カメラから見た、[手前/奥行き方向]において、ピントが合っているように見える範囲を被写界深度という。
  • 被写界深度はピント面ともよばれ、被写界深度が深いことをピント面が厚いといい、被写界深度が浅いことをピント面が薄いという。
  • イメージセンサーが小さいほど被写界深度が深い〔ピント面が厚い〕傾向があり、マイクロフォーサーズのカメラで写真・動画を撮影すると、わりと背景までクッキリとピントが合った写真・動画が得られる。
  • 逆にイメージセンサーが大きいほど被写界深度が浅い〔ピント面が薄い〕傾向があり、背景ぼけを打ち消そうして絞りすぎると、小絞りぼけ〔回折現象〕が出てしまう傾向がある。
  • したがって、撮影目的に応じたイメージセンサーを選択するのが適切である。
  • しゃたいを英訳するとき、芸術的な文脈ではsubjectと英訳され、技術的・物理学的な文脈ではobjectと英訳される。
  • 被写体という表現がもつニュアンスは、どちらかというと技術的・物理学的な文脈でいうobjectに近いものであろうかと思う。
  • 被写体とは、結局、撮影対象である。
  • [×被写体深度]という表現だと、[被写体=撮影対象の奥行き方向の長さ]という意味になると思うけれども、写真・動画の撮影では、[被写体=撮影対象の奥行き方向の長さ]を直接的に問題にすることはないと思う。
  • [被写体=撮影対象の奥行き方向の長さ]が問題になるとしたら、例えば、マクロレンズを使用した接写を駆使したぶつりにおいて、被写体の奥行きのすべてに対してピントを合わせたいことが多い。
    • この場合の被写体になりやすいのが、商品であり、飲食物のサンプル、腕時計、ジュエリー〔宝飾品〕、筆記具、模型〔フィギュアも含む〕などである。
    • この場合の被写体になりやすいのが、学問の対象であり、自然物一般、とくに植物、昆虫、鉱物などである。
  • 被写体の奥行きのすべてに対してピントを合わせたい場合、[フォーカスブラケット撮影+深度合成]という[撮影手法+写真編集手法]を併用することがある。
    • フォーカスブラケットとは、[ピント位置を少しずつ変えながら連続で10枚以下程度の写真を撮影する、カメラがもつ一機能]のことである。
    • たいてい、フォーカスブラケット撮影は、フォーカスブラケット撮影に対応したレンズと、フォーカスブラケット撮影モードをもつカメラボディとの連携によって、自動的に連写として行なわれる。
    • 深度合成とは、[ピント位置を少しずつ変えながら連続で10枚以下程度の写真を撮影したデータを合成することで、手前から奥までピントの合った一枚の写真に仕上げる写真編集ソフトがもつ機能]のことである。
  • OM SYSTEMの現行のカメラで、[フォーカスブラケット撮影+ボディ内深度合成]を搭載した機種として、OM-1・OM-3・OM-5があり、フォーカスブラケット撮影に対応したレンズを使うことにより、物撮りを効率よく行なうことができる。
    • OM SYSTEMのカメラは、手ぶれ補正の機能が強力〔写真向きの手ぶれ補正である〕であり、物撮りを効率よく行なうための条件である、[手持ちで〔三脚を使用せずに〕撮影可能]というカメラである。
    • ただし物撮りの場合、同じシリーズの商品を、同じように撮ることが求められるので、微細な角度調整までできる雲台と、安定な三脚を用いることが多いため、手ぶれ補正が活躍する場面は限定される。
    • しかし自然物をさくさん撮影する場合などには、強力な手ぶれ補正が強い味方になってくれる。
    • マイクロフォーサーズの場合、イメージセンサーがやや残念なので、OM SYSTEMレンズの中でも、高級硝材を使った高額なレンズのみが、商業写真としても使える、クッキリとした写真・動画が撮れると考えてよいと思う。
    • OM SYSTEMレンズは、最高級レンズ以外は、買うと損をするので、最高級レンズだけを買うように注意を促したい。
    • 他方、Nikonの場合、安いレンズでも、キレキレの写真・動画が撮れる傾向はある。
    • OM SYSTEMとNikonは、いわゆるカリカリの解像感の高い写真が撮れるという傾向で一致している。
    • ただし、Nikonのレンズ交換式カメラは、APS-Cまたはフルフレームなので、パンフォーカス〔奥までピントが合った状態〕を得る能力としては、マイクロフォーサーズの能力に劣る面がある。
    • マイクロフォーサーズは、イメージセンサーが小さいのでパンフォーカスが得やすい割に、1型のイメージセンサーより面積が大きいので、けっこうきれいな写真・動画が撮れる。
    • 自社で商品写真を撮影する場合には、OM SYSTEMのOM-1・OM-3・OM-5のどれかがおすすめである。
    • [フォーカスブラケット撮影+ボディ内深度合成]は、接写やマクロ撮影において被写界深度が非常に浅くなりがちな状況で、手前から奥までピントの合った〔パンフォーカスの〕画像を得るための強力な手法である。
    • [フォーカスブラケット撮影+ボディ内深度合成]の弱点は、動く被写体には不向きだという点である。
    • つまり[フォーカスブラケット撮影+ボディ内深度合成]は、原則として、静物を被写体とする撮影に限定されると考えてよい。
    • なお[フォーカスブラケット撮影+ボディ内深度合成]は、接写やマクロ撮影による物撮り〔とくに小物〕だけでなく、風景写真にも使われる。
    • マクロレンズは、接写にも、通常撮影にも使えるので、マクロの単焦点レンズは、一本ぐらい所有しておくのもいい考えである。
    • [フォーカスブラケット撮影+ボディ内深度合成]は、被写界深度を最大限の深くするための撮影手法だといえる。