SHURE SM63シリーズは、騒音環境下で語りだけを収録するためのマイク

  • SHURE SM63シリーズは、環境騒音の激しい現場での会話収録に向いている。
  • SHURE SM63シリーズは、環境騒音をうまくカットして、会話の音声だけを選択的に収録するのに向いている。
  • SM63シリーズは、アコースティック〔音波的〕なノイズ・リダクション〔雑音提言〕機能をもっているということになる。
    • SHURE SM63シリーズが向くTPO:
      • コンサート会場・見本市会場など[ざわめきと残響が極端に多い環境]での会話収録。
      • 自動車の多い道路のそば、鉄道のそば、工事現場、工場内など、[ざわめきと残響が極端に多い環境]での会話収録。
      • デスクトップPCのファンノイズ、エアコンの排気音〔通常はローカットフィルター=ハイパスフィルターで音響処理する〕等、低域ノイズがある環境での会話収録。
        • ちなみに、デスクトップPCは、空冷の範囲でまかなえる性能に抑えたほうがよい。
        • 簡易水冷でも、水冷でも、水漏れはPCにとって致命傷になるからだ。

SHURE SM63シリーズには3種類ある

SHURE SM63シリーズ

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コンデンサーマイクは、騒音環境下で語りだけを収録するためのマイクではない

  • 多くのマイクはコンデンサーマイクである。
    • コンデンサーマイクは、経験上、振動板〔ダイアフラム〕が大きいほど敏感で、環境騒音を敏感に拾う。
    • 語りの収録において、コンデンサーマイクは、ピンマイク以外はおすすめできない。
      • ショットガンマイクもコンデンサーマイクであり、おすすめできない。
    • 家庭やスタジオなど、環境雑音・残響音が多い場所での収録に向くのは、ダイナミックマイクである。
    • ダイナミックマイクは低感度であるため、環境雑音・残響音を拾いづらい。
      • ダイナミックマイクは、低感度であることで、自然にノイズカットをしているのである。
      • 逆にコンデンサーマイクは、とくに振動板〔ダイアフラム〕が大きいコンデンサーマイクは、高感度であるため、吹かれ〔息や風がもたらすノイズ〕に弱く、環境雑音・残響音をよく拾う。
    • コンデンサーマイクは高域がとんがっている。
    • ダイナミックマイクは高域が丸まっている。
    • だからダイナミックマイクは音が悪いといわれる。
    • しかしFM局のマイクとして、ダイナミックマイクを使っている場合もある。
    • ダイナミックマイクのほうが聞き疲れしにくいからだ。
    • コンデンサーマイクの音は、歯擦音が強く収録される〔サシスセソが耳に刺さる〕ため、ディエッサーというエフェクトで特定の高域をカットする工程が必要になる。
      • 音響の知識が少ない人は、ピンマイク以外のコンデンサーマイクは、まず使わないほうがよい。
      • 自分では音がいいと思っているかもしれないけれども、コンデンサーマイクで肉声を録ると、高域が耳に刺さることになる場合が大半である。
      • 耳に刺さる高音について、[これだ]と直感できない人は、音声に無頓着なので、ピンマイク以外のコンデンサーマイクは、まず使わないほうがよい。
      • [高音質を目指している]という動画投稿者は、たいてい高音を上げすぎて、高音が耳に刺さる音色を[高音質]だと思っていることが多い。
    • しかしダイナミックマイクは、最初から高域を拾いづらいため、ディエッサーというエフェクトが必要ない。
    • またコンデンサーマイクは高感度なので、リップノイズ〔口腔内ノイズ:唾液・舌・唇が織りなすヌチャ・ペチャなどのノイズ〕をとても拾いやすい。
      • 通常、語りを収録するには、マイクを口に近づける必要がある。
      • その一方で、コンデンサーマイクは高感度ゆえにリップノイズとブレスノイズをともに拾いやすい。
      • ポップブロッカーを使っても、ブレスノイズを軽減するだけで、リップノイズはコンデンサーマイクだと、入りやすい。とくに口をマイクに近づけると。
    • ダイナミックマイクの高域不足は、イコライザーで増幅してやればよい。
  • コンデンサーマイクは、振動板と連動するコイルにあらかじめ電気を通しておくことで、微細な信号までよく拾う、感覚が鋭敏で神経質なマイクだといえる。
    • 【1】エレクトレット・コンデンサーマイク:エレクトレット・コンデンサーマイクは、φ3.5mmのミニプラグであることが多く、それを受け止めるジャックは、プラグインパワー対応ジャックであることが求められる。
      • ピンマイク〔ラベリアマイク〕は、ほぼ例外なくコンデンサーマイクである。
      • φ3.5mmのミニプラグを端子とするピンマイク〔ラベリアマイク〕は、ほぼ例外なくエレクトレット・コンデンサーマイクであり、プラグインパワー対応ジャックを必要とする。
    • 【2】コンデンサーマイク:コンデンサーマイクは、XLRコネクタであることが多く、それを受け止めるXLRコネクタには、DC+48Vファンタム電源の機能をもつことが必要である。
      • 多くのオーディオミキサー、オーディオインターフェイス等は、ファンタム電源の機能をもつなら、DC+48Vだけをもつ。
      • ファンタム電源の用途:
  • YouTubeの音声収録用マイク、ZOOMのトーク用マイクとして最も適任なのは、意外なことにSHURE SM63シリーズである。
    • SHURE SM63シリーズは、残響の多い、また環境音が多い自宅の環境であっても、PCがゴーゴーと排気音を出していても、エアコンをボーボーつけっぱなしであっても、マイクに口を近づけて話せば、かなりノイズの少ない音声が収録できる。

SHURE SM63シリーズにノイズゲートを加えれば完璧だ

以下のすべてが、録音技術・音響分野における[マイキング]という概念に含まれる要素である

マイキングに含まれる要素

  • 【設置位置】:どの場所にマイクを置くか
  • 【距離】:マイクと音源との距離
  • 【角度】:マイクの向きや音源に対する角度
  • 【使用マイクの種類・選定】:どのマイクを使うか〔ダイナミック、コンデンサーなど〕
  • 【設置方法・セッティング】:どのような方法でマイクをセッティングするか〔マイクベース+グースネック、マイクアームなど〕
  • 【ステレオ技法】:XY方式、オフアクシス、オンアクシス、Decca Treeなどのステレオマイキングの手法の利用
  • 【目的と意図】:どんな音質や空間感、臨場感を得たいかという録音の目的や狙い
  • 【環境対策】:余計な反響・雑音の混入を防ぐための工夫

派生する具体的テクニック

  • オンマイク〔音源から近距離〕、オフマイク〔音源から遠距離〕
  • アンビエンスマイキング〔部屋鳴り・空気感の収録〕
  • スポットマイク〔特定パートのみ集音〕
  • 指向性・マイクの位相管理〔ステレオ幅・定位創出〕

その他の留意点

  • 楽器・ボーカル等、収録対象の特徴も加味する
  • マイキングの違いによる音質・録音結果の変化を理解する技術
  • レコーディング以外の用途〔効果音制作やPA現場など〕でも重要

マイキングで最も重要なこと

【1】マイクと音源とを近づける

  • 口をマイクに近づけることが、語りを収録するためのマイキングで最も重要である。

【2】音軸〔おんじく〕を合わせる〔射撃でいう狙い(エイム)を定める〕

  • 人間の口は、ラッパだと考えてよい。
  • ラッパは円錐状であり、円錐の頂点と底面をなす円の中心とを結ぶ線分、つまり、円錐の軸を、音源の音軸と定義する。
    • 口を円だと仮定すると、円の中心から延ばした垂線が、口の音軸である。
  • マイクの振動板〔ダイアフラム〕を円とみなした場合、円の中心から延ばした垂線を、マイクの音軸と定義する。
  • [音軸を合わせる]とは、[音源の音軸]と[マイクの音軸]とを、同一直線上に配置することである。
  • 音軸を合わせていないマイキングでは、言葉をハッキリ・クッキリと録音するために必要な中高域の音量が少なくなり、モゴモゴ何を言っているのかわからない状態になる。
  • マイクを観察して、音軸がどの方向・角度へ延びているのかを確認する必要がある。

XLR配線済みグースネック

動画撮影で、マイクを写したくない場合のマイキング

  • ショットガンマイクを天吊りするのがよい。
  • ただし、マイクブームという長い竿が必要になる。
  • ショットガンマイクというのは、鋭指向性という細く鋭い指向性をもつので、音軸が合わせづらい。
  • ショットガンマイクというのは、基本的に、音響さんがヘッドホンでリアルタイムのモニタリングをしながら、音軸を手動で合わせ続けることによって、ようやく使い物になるマイクである。
  • ただし、縁者が固定された位置にいる場合には、音軸を一定とみなして、縁者の口から前方斜め上から、ショットガンマイクで、口を狙ってマイクを設置する。
  • 米国の映画学校では、ショットガンマイクの天吊りを教えるけれども、日本のYouTube界では、天吊りショットガンマイクは、なぜか一般的ではない。