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これは私が自分のために書いたメモなので、正しいとはかぎりません。

正の整数という用語がある以上、正の整数と同じ意味である自然数という用語はムダではないか?

日本の数学教育では、高校課程はでは、自然数に0を含めません。 したがって、日本の数学教育では、自然数と正の整数は、まったくの同義語なのです。 用語は1対1対応にしておくことが、混乱を生まない重要な方法だと思います。 自然数に0を加えるのは、日本の数学教育では、大学に入ってからです。 そういう意味で、自然数という用語には、定義の揺らぎがあることになります。 こういう揺らぎのある、曖昧な用語は、いっそのこと淘汰したほうがいいと思います。 負の整数、0、正の整数というように、左右対称の形式になっていることから、負の整数、0、正の整数という分類法が好きです。 以上のことから、自然数という用語はムダではないか? いや、自然数という用語なんか消えてしまえばいい、という発想に至りました。

日本の高校数学教科書では、多項式に整式という別名を与えてきました。 しかし、現行の高校課程からは、[多項式のことを、整式ともいう]というふうに、整式という用語を廃止する方向へ向かっています。

日本の高校化学は、これまでは熱化学方程式を使っていましたけれども、現行課程からは、[化学反応式]と[エンタルピー変化ΔH]を併記する、大学化学と同じ方式に変わっています。

無用の用語、あるいは、一般性のない計算方法などは、いつか廃止するべきであり、廃止にともなう混乱は、必ず起こるでしょう。 混乱を避けるために悪習を続けるのは、愚かしいことです。

日本の高校数学教科書では、項が一つだけの多項式のことを、単項式と名付けてありますけれども、この単項式という用語も、なくても困らない用語です。

数学や物理学、あるいは、理科系〔広い意味での自然科学系〕の科目に共通する美学は、[より少ない用語/要素で、より複雑な論理/構造を構築する美学]と言い換えることができるでしょう。 そういう意味からすると、同義語が多いことは、捨てるべきゴミを放置してある、乱雑な部屋のようなものに思えます。 用語を減らしたほうが、学習コストも下がると思います。

それから、単位に人名を付けるのは、学問の私物化であり、悪趣味だと思います。 ニュートン N

底/基数の世界で乗法であるものが、指数の世界では加法になる

  • 加法・減法の単位元は $0$ である。
  • 乗法・除法の単位元は $1$ である。
  • 底/基数の世界で乗法であるものが、指数の世界では加法になる。
  • $a^{0} = 1$ と定義する背景に[加法・減法の単位元]と[乗法・除法の単位元]との情報変換の考え方がある。
  • 底/基数の世界で除法であるものが、指数の世界では減法になる。
  • $a^{-n} = \dfrac{1}{a^{n}}$ と定義する背景に[加法・減法の単位元]と[乗法・除法の単位元]との情報変換の考え方がある。

$0^{0} = 1$ と定義する場合と、$0^{0}$ を未定義とする場合とがある|$0$ で割ることはできない

【0の0乗】定義するなら"1"になる理由、説明できますか?
0で割ってはいけない理由、知ってますか?
あなたはなぜ1になるか説明できますか?
1+1=2の証明が難しいって本当?(ペアノの公理)

  • 演算の一貫性などの都合から、$0^{0} = 1$ と定義する場合と、$0^{0}$ を未定義とする場合とがある。
  • その演算を行なっても、もとの数を変化させない特別な要素を単位元という。
  • 加法・減法の単位元は $0$ である。
    • 加法の単位元が $0$ とは、どのような数 $a$ に対しても、$a + 0 = 0 + a = a$ が成り立つことをいう。
      • 例:$7 + 0 = 7$,$-8 + 0 = -8$
    • 減法の単位元は $0$である。減法は加法の逆演算と考えられることから、減法の単位元は、加法の単位元と同じく $0$ であり、$a - 0 = a$ が成り立つ。
      • 例:$5 - 0 = 5$,$-9 - 0 = -9$
  • 乗法・除法の単位元は $1$ である。
    • 乗法の単位元が $1$ とは、どのような数 $a$ に対しても、$a \times 1 = 1 \times a = a$ が成り立つことをいう。
      • 例:$7 \times 1 = 7$,$-5 \times 1 = -5$
    • 除法の単位元は $1$である。除法は乗法の逆演算と考えられることから、除法の単位元は、乗法の単位元と同じく $1$ である。$a \div 1 = a$ が成り立つ〔ただし、$a \neq 0$〕。
      • $0$ による除法は定義されていない〔$0$ で割ることはできない〕ことから、〔ただし、$a \neq 0$〕という条件がついている。
      • 例:$7 \div 1 = 7$,$-4 \div 1 = -4$
  • 加法と乗法には可換性がある〔$a + b = b + a$,$a \times b = b \times a$〕けれども、減法と除法には一般的に可換性がない。
    • 減法には可換性がないので[$a - b = b - a$]は成り立たない。
    • 除法には可換性がないので[$a \div b = b \div a$]は成り立たない。

指数法則|指数が正の整数である範囲〔1〕

指数とは

  • 文字 $a$ をいくつか掛け合わせたものを、$a$ の累乗〔るいじょう〕といい、$a^n$ と書き表し、これを $a$ の $n$ 乗〔じょう〕と読む。
  • $a^n$ にかんして $a$ を底〔てい〕または基数〔きすう〕とよび、上付きの $n$ を指数〔しすう〕または冪指数〔べきしすう〕とよぶ。
  • 基本となる指数法則は、以下の三つである。ただし、$a$ と $b$ が $0$ 以外の実数、かつ、$n$ と $m$ が正の整数であることとする。
    • $a^{m} \times a^{n} = a^{m+n}$
    • $(a^{m})^{n} = a^{m \hspace{1pt} n}$
    • $(ab)^{n} = a^{n} b^{n}$

指数法則|指数が正の整数である範囲|3-1|$a$ が $0$ 以外の実数、かつ、$m$ と $n$ が正の整数であるとき $a^{m} \times a^{n} = a^{m+n}$ が成り立つ

【$a$ を $m$ 回、掛け合わせた】:$a^{m} = \underbrace{a \times a \times \cdots \times a}_{m}$

【$a$ を $n$ 回、掛け合わせた】:$a^{n} = \underbrace{a \times a \times \cdots \times a}_{n}$

【$a$ を $m$ 回、掛け合わせた】のと、【$a$ を $n$ 回、掛け合わせた】のとを、掛け合わせるとなると、$a^{m+n}$ になる。

$a^{m} \times a^{n} = $ $(\underbrace{a \times a \times \cdots \times a}_{m} \hspace{2pt}) \times (\underbrace{a \times a \times \cdots \times a}_{n} \hspace{2pt}) = \underbrace{a \times a \times \cdots \times a}_{m + n}$

ゆえに、$a^{m} \times a^{n} = a^{m+n}$ が成り立つことが示された。■

【例】:$a^{2} \times a^{3} = aa \times aaa = a^{5}$

※ $a$ を乗ずる回数を数え上げることは、指数の加算によって可能になる。

※ 乗法の単位元が $1$ であることから、その指数が明記されていない $a$ とは、$a \times 1 = a^{1}$ が省略されて $a$ と表記されているのだと考える。
例えば、$aaa = a^{1+1+1} = a^{3}$ である。

指数と次数

  • 一つの数や文字が、それ自身と掛け合わされる回数を指数という。
    • 数の指数:数の指数とは、その数を何回掛けるかを表す〔例:$10^2 = 10 \times 10$〕。
    • 文字の指数:文字の指数とは、その文字を何回掛けるかを表す〔例:$x^3 = x \times x \times x$〕。
      • 文字はふつう変数を表すことが多いけれども、比例式を解くために置く定数 $k$ は[実数である定数]である。
      • こうした背景から、高校数学では、[文字]という用語を使い、[変数を表す文字][定数を表す文字]を想定しているようである。
      • 比例式の基本形は $y = kx$ と書き表され、このとき $y$ は従属変数、$x$ は独立変数、$k$ は比例定数である。
      • 物理学の力学の最初に登場するニュートンの第二法則[$F = ma$]において、$a$ は加速度〔単位:$\text{m/s}^{2}$〕、$m$ は物体の質量〔単位:$\text{kg}$〕、$F$ は物体に加わる力〔単位:$\text{N}$〕である。
      • [$F = ma$]は比例式の一種で、$m$ が比例定数の役割を、$a$ が独立変数の役割を、$F$ が従属変数の役割を、それぞれ果たしている。
      • このように、数学では、[定数を表す文字]も日常的に登場する。また、ある文字を変数とみる、あるいは、その文字を定数とみる、ということも、しばしば行なわれる。
      • このため、変数という言葉を使わずに、[文字]という広い意味をもつ言葉を使っているようにみえる。
  • 次数は、多項式の文脈で使用され、以下のように定義される。
    • 単項式の次数:単項式の次数とは、その項が含むすべての変数の指数の和を、その項の次数という。
    • 多項式の次数:多項式の次数とは、多項式を構成する項の中で、最も高い次数を、その多項式の次数という。
    • 文字を含まない項を定数項とよび、定数項の次数は $0$ である。
    • 高校数学の教科書では、定数項の次数は $0$ としながら、[定数項 $0$ の次数は考えない]としている。
    • 高校数学の制約を取り外すと、定数項 $0$ の次数は $0$ である。ただし、零多項式〔$0$ だけの多項式〕の次数は未定義または $-\infty$ とされることが多い。

指数法則|指数が正の整数である範囲|3-2|$a$ が $0$ 以外の実数、かつ、$m$ と $n$ が正の整数であるとき $(a^{m})^{n} = a^{m \hspace{1pt} n}$ が成り立つ

$(a^{n})^{m} = \underbrace{a^{n} \times a^{n} \times \cdots \times a^{n}}_{m} = \underbrace{a \times a \times \cdots \times a}_{m \times n}$

※[$12$ 個本入りの鉛筆の箱が $5$ 個あったら、ぜんぶで鉛筆は何本か]というのと同じ理屈。

指数法則|指数が正の整数である範囲|3-3|$a$ と $b$ が $0$ 以外の実数、かつ、$n$ が正の整数であるとき $(ab)^{n} = a^{n} b^{n}$ が成り立つ

$a$ と $b$ が $0$ 以外の実数、かつ、$n$ が正の整数であるとき $(ab)^{n} = a^{n} b^{n}$ が成り立つことへの指数法則〔この後に学ぶ内容〕を用いた証明

  1. $n$ が正の整数の場合〔ただし$a \neq 0$ かつ $b \neq 0$〕
    $(ab)^{n} = \underbrace{(ab) \times (ab) \times \cdots \times (ab)}_{n\text{個}}$
    $= (\underbrace{a \times a \times \cdots \times a}_{n\text{個}}) \times (\underbrace{b \times b \times \cdots \times b}_{n\text{個}})$
    $= a^{n} \hspace{1pt} b^{n}$

  2. $n$ が負の整数の場合〔ただし $a \neq 0$ かつ $b \neq 0$〕※ $0$ で割ることができないので、この〔〕内の条件は、とくに明記しておく必要がある。
    $(ab)^{n} = \dfrac{1}{(ab)^{-n}} = \dfrac{1}{a^{-n}\hspace{1pt}b^{-n}} = \bigg(\dfrac{1}{a}\bigg)^{-n} \cdot \bigg(\dfrac{1}{b}\bigg)^{-n} = a^n b^n$

  3. $n = 0$ の場合〔ただし$a \neq 0$ かつ $b \neq 0$〕
    $(ab)^0 = 1 = a^0\hspace{1pt}b^0$

以上より、$a$ と $b$ が $0$ 以外の実数、かつ、$n$ が整数であるとき $(ab)^{n} = a^{n} b^{n}$ が成り立つことが示された。■

指数法則|指数が整数〔0や負の整数も含む〕である範囲〔2〕

  • 以下の三つの指数法則は、$a$ と $b$ が $0$ 以外の実数、かつ、$n$ と $m$ が正の整数であることとしてきた。
    • 【1】$a^{m} \times a^{n} = a^{m+n}$
    • 【2】$(a^{m})^{n} = a^{m \hspace{1pt} n}$
    • 【3】$(ab)^{n} = a^{n} b^{n}$
  • 以下の三つの指数法則は、$a$ と $b$ が $0$ 以外の実数、かつ、$n$ と $m$ が $0$ や負の整数である範囲まで拡張したい。
    • $n=0$ のとき指数法則【1】が成り立つとすると、$a^{m} a^{0} = a^{m + 0} = a^m$
    • ゆえに $a^{0} = 1$
    • $m = -n$ のとき指数法則【1】が成り立つとすると、$a^{-n} a^{n} = a^{-n + n} = a^{0} = 1$
    • ゆえに $a^{-n} = \dfrac{1}{a^{n}}$
    • 以上より、次を定義する。
      • $a^{0} = 1$
      • $a^{-n} = \dfrac{1}{a^{n}}$

$a$ と $b$ が $0$ 以外の実数、かつ、$n$ と $m$ が整数であるときの指数法則

  • 以下が定義された。
    • $a^{0} = 1$
    • $a^{-n} = \dfrac{1}{a^{n}}$
  • この定義のおかげで、以下の三つの指数法則が、$a$ と $b$ が $0$ 以外の実数、かつ、$n$ と $m$ が整数であるときにも成り立つこととなった。
    • 【1】$a^{m} \times a^{n} = a^{m+n}$
      • 【1$'$】$a^{m} \div a^{n} = \dfrac{a^m}{a^n} = a^{m} \times a^{-n} = a^{m - n}$
      • 【1$'$】$a^{m} \div a^{n} = a^{m - n}$
    • 【2】$(a^{m})^{n} = a^{m \hspace{1pt} n}$
    • 【3】$(ab)^{n} = a^{n} b^{n}$
      • 【3$'$】$\bigg(\dfrac{a}{b}\bigg)^{n} = (ab^{-1})^{n} = a^{n}(b^{-1})^{n} = a^{n}b^{-n} = \dfrac{a^n}{b^n}$
      • 【3$'$】$\bigg(\dfrac{a}{b}\bigg)^{n} = \dfrac{a^n}{b^n}$
  • 数文和訳
    • 【1】同じ文字どうしの掛け算は、指数の足し算になる。
      • 【1$'$】同じ文字どうしの割り算は、指数の引き算になる。
    • 【2】$a$ が $m$ 個入っているタマゴを $n$ 個集めたら、$a$ は全部で何個? それは指数をかけ算すればいい。
    • 【3】括弧内に文字や数がある場合、文字や数の種類ごとに、指数が分配される。
      • 【3$'$】括弧内が分数でも、指数の分配則が成り立つ。