世界史探究の採択教科書に異変が起こっている〔Grok〕

世界史探究教科書の採択動向と原因

日本の高等学校では、2022年度から実施された新学習指導要領により、世界史Bが[世界史探究]という探究学習中心の科目に変更されました。 この変化が、従来の定番である山川出版社の『詳説世界史』〔コード:世探704〕の不評・採択減少を招き、帝国書院の『新詳世界史探究』〔世探703〕や東京書籍の『世界史探究』〔世探701〕の採択増加につながっています。 以下に主な原因をまとめます。

山川『詳説世界史』の不評・採択減少の主な原因

  • 探究学習への適合性の低さ:新指導要領では、単なる知識の暗記・通史学習から、テーマ別探究〔因果関係の分析、資料活用、多角的視点〕へのシフトが求められます。 しかし、『詳説世界史』は伝統的な通史型で記述が詳細すぎる一方、探究のためのテーマ設定や資料〔写真・地図・図解〕の統合が不十分と評価されています。 教師の現場声として、[探究で山川の『詳説世界史』を採択するセンスがない]との指摘も見られます。
  • 用語・内容の簡略化批判:2024年版では、帝国書院の教科書と比較して用語収録数が減少し〔例:文化・社会関連の詳細が薄い〕、探究のための[結びつく世界]視点が欠如。 結果、大学入試対策向きだが、授業の柔軟性が低いと不評です。 全国採択占有率は2022年の約50%から2024年で30%台後半へ低下。
  • 代替候補の増加:採択調査で、山川に加え帝国・東京書籍・実教出版が候補に挙がり、資料の視覚性やテーマ構成で他社が優位。

帝国『新詳世界史探究』・東京書籍『世界史探究』の採択増加の主な原因

  • 探究対応の強み:帝国書院は因果関係重視の本文、文化・社会視点の特設ページ、[結びつく世界]コーナーにより、探究学習に適応。 東京書籍は[気づく・見つける][調べる・解決する]などのステップ設計で、授業展開がしやすいと評価され、進学校〔例:横浜翠嵐、札幌南〕で増加。 2024年採択で帝国は占有率20%超、東京書籍は15%前後へ上昇。
  • 資料・視覚性の充実:写真・地図・図解が本文と連動し、グローバルヒストリー〔広域世界観〕を意識。 従来の山川依存から脱却する学校が増加。
  • 全体トレンド:歴史総合からの連続性で、テーマ別構成が好まれ、2025年度採択でも継続増加の見込み。
教科書 出版社 2022年占有率〔約〕 2024年占有率〔約〕 主な強み〔探究視点〕
詳説世界史 山川 50% 35% 通史詳細・入試対策
新詳世界史探究 帝国 15% 22% 因果関係・文化視点
世界史探究 東京書籍 10% 16% ステップ設計・資料統合

日本史探究の採択教科書に異変が起こっている

日本史探究教科書の採択動向と原因

同様に、日本史Bが[日本史探究]に移行した影響で、山川出版社の『詳説日本史』〔コード:日探705〕の採択が減少。 一方、実教出版の『日本史探究』〔日探702〕のシェアが拡大しています。 原因は世界史と共通する探究シフトですが、日本史特有の記述バランスも影響。

山川『詳説日本史』の不評・採択減少の主な原因

  • 探究適合性の課題:記述が詳細でバランス良いものの、テーマ別探究や多角的分析〔例:加害史・ジェンダー視点〕の柔軟性が低い。 太平洋戦争の加害記述が犠牲者数未記載で不十分との批判も。 占有率は2022年の40%超から2024年で25%台へ低下。

  • 流通・旧版問題:教科書の採用制度で旧版在庫減少が[売ってない]印象を生み、更新版の探究対応遅れが拍車。

  • 政治的・社会的圧力:過去の南京事件記述などで論争歴があり、現代の[真理省化]懸念〔例:関東大震災朝鮮人虐殺の扱い〕で慎重論。

実教出版『日本史探究』の採択増加の主な原因

  • 探究・テーマ設計の優位:テーマ整理が明確で、近現代中心の探究に適し、大学入試との連動性が高い。 歴史総合からの連続性で、2024年占有率15%超へ上昇〔山川の[高校日本史]を抜く勢い〕。
  • 過去のシェア拡大要因の継続:2017年頃の国歌・国旗関連記述削除でリベラル層支持を集め、探究版でも[不起立闘争]回避のイメージ。進学校〔例:北野、天王寺〕で増加。
  • 全体トレンド:2025年度採択で46万冊超、探究転換の恩恵大。
教科書 出版社 2022年占有率〔約〕 2024年占有率〔約〕 主な強み〔探究視点〕
詳説日本史 山川 42% 28% 詳細記述・バランス
日本史探究 実教 12% 18% テーマ整理・近現代重視

これらの変化は、新指導要領の[アクティブ・ラーニング]推進によるもので、教師の授業負担軽減や生徒の批判的思考養成が背景。 山川は入試対策本として残る可能性が高いですが、探究科目では他社優位が定着しそうです。 詳細は各教育委員会の採択資料を参照ください。

高校課程・世界史探究・日本史探究において、[詳説世界史][詳説日本史]の採択が減っている背景

  • 背景:
    • 学習指導要領改訂〔[歴史総合]導入、[探究]科目創設〕により、高校の歴史教科書内容・構成が大きく変化。
    • この変化に対する現場教師の不満が蓄積している。
  • 世界史の課題〔山川離れ〕:
    • 山川『詳説世界史探究』:
      • 同時代比較を無理に入れすぎた結果、地域ごとの通史〔縦の流れ〕が分断され、把握しにくい。
      • 年表や地図が減り、特に中堅以下の生徒には理解が難しい。
      • 長年の[鉄板]であった山川の信頼が失墜し、2024〜2025年度採用で[もう使えない]との声が急増。
    • 現場の動向:山川から東京書籍や帝国書院の『世界史探究』への乗り換えが加速。
  • 日本史の課題〔実教の猛追〕:
    • 山川『詳説日本史探究』:
      • 2022年改訂で文化史が大幅にカットされ、各単元に分散し内容が希薄化。
      • 難関大〔共通テスト、早慶・旧帝など〕で頻出の文化史に対応しづらくなった。
    • 現場の動向:対抗馬の実教出版『日本史探究』は文化史が充実しており、近現代の記述も丁寧。
    • 2025年度採用では特に首都圏・近畿の難関大志望校を中心に実教の指定が増加し、山川を猛追している。
  • 教科書選択の結論〔2025年現在〕:
    • 世界史:東京書籍または帝国書院の探究の方が通史が把握しやすく、評価が高い。
    • 日本史:文化史重視なら実教優勢。バランスなら山川も戦えるが、実教が優勢の流れ。
  • 総評:山川出版社は[絶対王者ではなくなった]状況。
  • 次回検定〔2026〜2027年頃〕に向け、世界史の[同時代比較の別冊分離]や日本史の[文化史別冊改訂版]を検討中とされる。

世界史探究の選択者が選択するべき検定済教科書

  • 東京書籍または帝国書院または実教出版の『世界史探究』を採択するのが順当な判断である。
    • [2 東書 世探701 世界史探究]またはその改訂版
      • 理由:探求の授業のしやすさから、進学校で採択されている率が高い。
    • [7 実教 世探702 世界史探究]またはその改訂版
      • 理由:評判のよい[7 実教 歴総703 詳述歴史総合]と[7 実教 世探702 世界史探究]の記述内容・執筆者が共通している〔一貫性・効率性〕。
    • [46 帝国 世探703 新詳世界史探究]またはその改訂版
      • 理由:旧課程・世界史Bの時代から、川北稔先生を中心とする執筆者が世界システム論的な視点から世界史を記述する教科書として有名であったし、川北稔先生が退かれた現行課程の版でも、その伝統が引き継がれている。
  • 学習者・受験生は、旧課程の[81 山川 世B310 詳説世界史 改訂版]とその関連教材を使うことも検討するとよい。

日本史探究の選択者が選択するべき検定済教科書

  • [7 実教 日探702 日本史探究]またはその改訂版を採択するのが順当な判断である。
  • 受験対応できる日本史探究の検定済教科書は、[81 山川 日探705 詳説日本史]と[7 実教 日探702 日本史探究]の2つしかない中で、[7 実教 日探702 日本史探究]は文化史の記述が大幅削減されて受験では戦えないため、[7 実教 日探702 日本史探究]は受験生から忌避されている。
  • 消去法で[7 実教 日探702 日本史探究]だけが残ったかたちである。
  • 学習者・受験生は、旧課程の[81 山川 日B309 詳説日本史 改訂版]とその関連教材を使うことも検討するとよい。

少なくとも、世界史・日本史ともに、初学の段階で検定済教科書を使うのは自滅するやり方

世界史探究・日本史探究の場合、世界史B・日本史Bの印刷教材を使っても、ほぼ問題ない

  • 1冊の印刷教材だけで完結させようとすると、いちばん詳しい印刷教材、いいかえれば、いちばん中途挫折しやすい印刷教材を選ぶことになる。
  • [詳細・難解な印刷教材を選んで、不要な情報を削り落とす方式]は、きわめて失敗しやすい。
    • 知る必要のない余計な情報は、最初から削除してある印刷教材を選ぶことがきわめて重要な失敗回避のコツとなるであろう。
    • 数学でいえば、[青チャート]ではなく[黄チャート]のほうが安全策、[黄チャート]よりも[白チャート]のほうが安全策、ということである。
    • どの科目でも、難度が一段階低いものを意図して選んだほうが安全策ということである。
    • 最初から[黄チャート]に取り組むよりも、[白チャート]を経由してから[黄チャート]に取り組んだほうが、総合的な所要時間を短縮できることが知られている。
    • これは[一冊に絞れ][多くの教材に手を出すな]という勉強の古典的なアドバイスに、真っ向から逆らう現実である。
    • つまり、[一冊に絞れ][多くの教材に手を出すな]という勉強の古典的なアドバイスには、重大な欠陥があるのだということになる。
  • [簡潔・平易な印刷教材を選んで、問題演習・過去問演習を通じて、必要な情報を書き加えていく方式]のほうが、失敗率が低い=成功率が高いものと推定される。
  • 『[センター試験/共通テスト]までしか対応できない』とされる印刷教材を意図的に選び、そこに必要な情報を付け加えていく、[肉付け型の勉強スタイル]を意識することによって、順調な勉強を実現しやすくなる。