中国経済の崩壊からの世界不況|2025-07-16|中国経済は典型的なデフレスパイラルに突入
中国経済のデフレスパイラルが世界経済にデフレ不況をもたらす仕組みについて
- 中国経済で現実に起こっている主な流れ
内需不足と供給過剰:
- 中国は不動産バブル処理の遅れなどにより内需が深刻に低迷しています。
- 一方で雇用維持や生産拠点稼働の優先から、企業は工場の稼働率を高めに維持し続けています。
価格競争の激化と利益圧迫:
- 需要不足にもかかわらず生産は止まらず、激しい価格競争〔いわゆる価格破壊〕が発生。
- 工業製品・製造業品は市場で低価格でしか売れず、企業収益が大幅に悪化しています。
雇用と賃金の悪化、購買力の低下:
- 企業業績悪化から雇用や賃金が下落。
- これにより家計の購買力が低下し、内需をさらに冷やします。
在庫の積み上がりと輸出依存へ:
- 捌ききれない低価格の余剰在庫が積み上がり、これを輸出に回す動きが強まっています。
- 世界経済へのデフレ伝搬のメカニズム
現象 | 結果・波及経路 |
---|---|
中国からの割安製品の輸出増加 | 世界市場での価格下落圧力 |
先進国・新興国の生産者 | 中国製に対抗、値下げ・競争激化 |
競合企業の収益悪化・倒産増加 | 雇用悪化・消費意欲低下・GDP低迷 |
世界全体のデフレ傾向強化 | デフレスパイラルの波及と悪循環 |
中国から輸出される低価格製品が、世界全体の物価水準を押し下げます〔いわゆる[デフレの輸出]〕。
各国の企業は中国製品との価格競争に巻き込まれ、自国産業の倒産や失業増加を招きやすくなります。
- これが内需低迷と物価下落に波及し、デフレ傾向が他国へも連鎖します。
特に欧米などの大市場では輸入製品のシェアが高く、自国の消費財価格の下落や国内産業への打撃が顕著になります。
この負の連鎖〔デフレスパイラル〕は消費や投資の更なる手控えを招き、世界経済の低迷や不況の長期化を引き起こします。
- トランプ政権の高関税政策の役割
米国などでは、こうした中国発のデフレ的低価格輸出に対して関税引き上げなどの保護主義政策で国内市場を防衛する動きが出ています。
これにより一部の輸出余剰は第三国〔新興国など〕にシフトする形となり、世界全体の価格下落圧力が分散される場合がありますが、その副作用として貿易摩擦や一層の経済分断も生じつつあります。
- 補足・留意点
[工場は生産すれば政府からお金をもらえる]との記述は、政府による補助金や政策的受注、優遇融資などの形で一部正しい側面があるが、恒常的ではなく企業業績悪化や民間部門の資金繰りには大きな苦しさが表れています。
デフレスパイラルの根本的な要因は内需の弱さと過剰生産能力の組み合わせにあり、このモデルは1990年代以降の日本経済の不況構造とも類似点が多いと指摘されています。
- まとめると、中国経済のデフレスパイラルが世界経済に与える最大のリスクは[構造的な供給過剰による低価格輸出]の波及です。
- これが国際価格の下落、各国産業の利益圧迫、雇用悪化を招き、最終的に世界的なデフレと長期不況を引き起こす仕組みとなっています。