【訓示全文】静岡県・川勝知事、新入職員へ複数訓示も「野菜を売ったり牛の世話をするのと違って知性が高い」職業優劣発言か
4/2(火) 18:39配信
ABEMA TIMES
川勝知事
静岡県の川勝知事が1日に行った新入職員への訓示で、「野菜を売ったり牛の世話をしたりするのとは違って皆さんは知性が高い」と発言。職業に優劣を付けたようにも捉えられ、物議をかもしている。以下、川勝知事の訓示全文。
【映像】川勝知事の「野菜を売ったり…」発言時の表情
「静岡県知事の川勝平太でございます。このたび、令和6年度4月1日をもって静岡県庁の職員として職に選んでいただいてありがとうございました。静岡県庁の職員、5800人ぐらいいるんですけれども、県庁の職員すべてを代表いたしまして、心からご歓迎を申し上げたいと思います。
難関だったんじゃないですか?そうでもないですか。聞くところによると、県庁の職員になるには、かなり高度な知見をマスターしないといけないと、かつその他の準備があるというふうに聞いております。こういう形で皆様方、同期になられた数は233人であります。
そして、今日本庁に配属になった方たちが77人いらっしゃる。残り156人の方たちは今日1日からそれぞれの出先機関で辞令をお受けになり、そして今研修を受けられているというふうに承知しておりますが、ともあれ、本当は全員にお顔を見せていただき、またお話をしたかったんですけれども、77人の方だけとはいえ、こうした形でお目にかかれ大変うれしい気持ちです。
今年はご案内のとおり、能登半島ですさまじい地震がございまして、また厳しい生活を送られている方がたくさんいます。一番最初に心得ておくべきことは危機管理です。静岡県はみなさまが生まれるはるか前、1979年、昭和でいうと54年になるでしょうか、そのころに東海地震説が唱えられまして、東海地震、確実に静岡県は被害を受ける。1979年のことでございましたが、それ以来、毎年危機管理のための防災訓練をして参りました。そのうち、東海地震だけで単発で起こるのではなくて、東南海地震と連動する可能性もある、いや、南海地震と三連動する可能性もあるということにもなりまして、今は南海トラフの巨大地震、これはプレートテクトニクスによって起こる地震ということですが、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込むときにずれて、起こる地震。この地震が仮に起こりますと、何もしなかった場合30万人ぐらいの方たちが犠牲になると言われています。そのうち、静岡県だけで10万人くらい犠牲になるというそういう数値が2013年ぐらいに出ました。静岡県では、もうその時からそれを0にしようということで、現在は8割ぐらいの人が、想定ですけれども、助かる形になっておりまして、ただし全員が助かるというわけにはいかない。ですから、能登半島の大きな地震というのは決して他人事ではありません。
従って、いつ何時そういうことが起こるかもしれない。私どもはパブリックサーバント、公僕ですから、まずは自分が元気でいなくてはいけませんので、自己の危機管理を最優先にしつつ、同時に人を助けるということですから、この人助けのために何をするべきか、それぞれの班なり部局で何をするべきかということが共通認識になっておりますので、また抜き打ちの場合によっては防災訓練が行われる可能性もあります。そのときに戸惑わないで落ち着いて人を助けるために、まず自分が何をするべきかということを心得ておかねばならないというふうに思います。
これがまず、静岡県の県庁として、360万人の人たちの生命と財産を預かっておりますので、これを守るという危機管理をしっかり胸の中に畳み込んで仕事をしてください。
それから公務員ですから、人の役に立つ、社会の役に立つということがとても大切です。なかなか自分でそういう気持ちを持っていても、それができるものではありません。そのためには、やはり職員の皆様方は立派だというふうに尊敬されていることがとても大切で、これからコンプライアンスといって法令遵守のこと、いろいろ言うかもしれませんけれども、基本的に公務員として「身に私をかまえない」と公務においては「身に私はかまえない」、大切なことですね。
それから公の仕事をしておりますから、「心は素直で嘘偽りを言わない」ということがとても大切なことです。それから、ちょっと難しいかもしれませんけれども、「上にへつらわない、下に威張らない」と言いましてね、下はいませんね。ですから、上にはへつらわないと、そういう気持ちが出てくると、逆にいばる人がいたら、こういうような上司にはならないと、反面教師にしてください。「上にへつらってはならない。下に威張らない」。
言葉遣いがとても大切です。ですから、ですます調というのが基本になるようにしていただければと思います。上司の方々もそれを心掛けていますけれども、年齢が離れていたり、責任が違いますので、場合によってはタメ口になるかもしれませんけれども、基本的に言葉遣いや礼儀正しくすることがとても大切です。
それから何よりもですね「人の艱難(かんなん)はこれを見捨てない」人が困っているときに助けるというのが我々の仕事です。ただ、それぞれ預かっている部局によって、これは自分の担当ではないということがあるかもしれません。だけど、静岡県庁に来られる人たちは何か助けを求めて来る人、援助を求めて来る人がいますから、どうしたらこの人の力になれるか、それを一緒に考えるということが大事ですね。そういう癖を持つ。これは先例がない、前例がないとかということでなく、どうしたらこれを解決できるかというように考えると、皆さんもこれから60すぎぐらいまでお仕事をされるわけですけれども、さまざまな部署に行かれると思います。そのときにどういうふうにすると、一番いいかなということ、仮にその決定権を持っていなくても考えるということが大切ですね。もし可能なら、その担当部局の方に紹介して差し上げるということも、それをできる勇気を持っていれば、大したものです。「人の艱難はこれを見捨てない」ということですね。
それから我々は「ふじのくに静岡県」と言います。富士山、これは2013年6月22日に世界文化遺産になりました。信仰の対象、また、芸術の源泉ということで、品格のある姿、その姿を自分の心の姿にしていただければと思いますね。富士山に向かって恥ずかしいことをしない。つまり、自分、天知る地知る、己が己のことを知ってますから。天知る地知る、そして自らも知っているということで、そこにですね、富士山を鏡として恥ずかしいことはしないということです。
それから、皆さん優秀ですから、なかなか思いが分かってくれない人がいるかもしれない。そういうときに情理を尽くすということが大切です。理屈ではわかってても、腹にすとんと落ちないところがあります。ですから、HEART TO HEARTで、心からこうすると本当にいいというように言って差し上げると、すとんと落ちる場合がある。ですから、情と理、情理を尽くして自分が正しいと思う信念を貫くということが大切です。
そしてですね、そのためにはやっぱり勉強しなくちゃいけません。実は静岡県というのを県庁というのは、別の言葉で言うとシンクタンクです。毎日毎日、野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたりとか、あるいは物を作ったりとか、ということと違って、基本的に皆様方は頭脳、知性の高い方たちです。ですから、それを磨く必要がありますね。それは磨き方、いろいろあります。知性を磨くということ。それからですね、やっぱり感性も豊かにしなくてはいけない。体がしっかりしてないといけませんね。ですから、文武芸、三道鼎立と。文武両道で言うでしょう。しかしですね、美しい絵を見たり、いい音楽を聞いたり、映画を見たり、演劇を見たりした時に感動する心というものがあると望ましい。ですから、自分の知性があの人におよばないなと思っても、知性というものを大切にするということが大事ですね。そのためには勉強しなくちゃいけません。
それから体を鍛える。しかし、スポーツが苦手な人もいらっしゃるでしょう。スポーツを楽しむことはできますね。無芸大食の人もいるでしょう。しかし、芸術を愛することができますから、文武芸、三道鼎立ということで、豊かな人間になっていただきたいと思います。
人に情けをかける、物の憐れを知ると昔から言われますけれども、人に情けをかけることは、情けは人のためならずという言葉がありまして、つまり人のために助けるんですけれども、結果的には自分のためになっているということが多いのです。
ですから、人に情けをかけるという、困っている人を助けるということ、こうしたことをやってください。
私は今、実は8つぐらい言ったわけです。「身に私を構えず」、「上にへつらわない」、「正直である」、「上にへつらわず下にいばらず」と「人の艱難見捨てない」「情理を尽くす」「恥ずかしいことはしない」そしてですね「心理を貫く」「情理を知る」、「人に情けをかける」ということを言いましたが、富士山ですから、末広がりで8つということですが、私が自らに課していることもついでに言っておきますと、「来るものを拒まない」。知事室にお越しになる可能性があるとも思いますけれども、開けっ放しです。東館の5階にあります。私の知事室は16年前までは開かずの扉で、部長さん、あるいは副知事さんしか入らなかったそうですが、私は就任の日から、観音開きの扉は開けっ放しです。ですから、いつでも入れるようにしてあります。来るものを拒まないというそういう気持ちを表してるんですね。
それから助力を惜しまない。そのために存在してるのだと思っていますから。大事なことは次です。「見返りを求めない」ということです。とても大切なことですね。助けてやる代わりに、これこれ見返りをって絶対にいけません。来るものを拒まず、助力を惜しまず、見返りを求めず。これを実際にしてきました。
今、静岡県も注目されています。移住希望地の日本一が4年連続です。同時に移住してくる人が毎年増えているんですね。2020年に1300 人ぐらい、2021年に1800人~1900人くらい。2022年では2600人いる。昨年度どうなるかちょっとまだ数字が出ませんけれども、その実際に移住してくる方々の年齢構成もわかっておりまして、30代前後の人が8割を超えております。驚くべきことでした。つまり、2020年で81.4%の30代前後。2021年で82.数%。それは2022年で83%、つまりちょうど30前後になりますとお子様ができたりですね、結婚したり。一番お金がかかる時ですね。その人達がですね。静岡は食材も豊富だし、自然も綺麗だし、これからのように家の中で巣ごもりしなくても外に出てですね、動かせるということもあるかもしれません。恐らく、お子さんのためではないかと思います。それと同時に、仕事もオンラインでできるようになったということもあって、交通の便もいいですから。したがって移住が増えているのではないかというふうに思っていますけれども、ですから選ばれる県になっているんですね。
去年、皆さん方も大変だったと思いますけれども、ようやく5月に感染症が5類になって、またマスクされている人は大事なことです。また、感染病のリスクに用心することがとても大切ですけれども、基本的にですね。正常にだんだんなりつつあります。そんな中で昨年、文部科学大臣からですね。静岡にも東アジア文化都市の日本代表になってください、と。日本・韓国・中国、その各国から一つの自治体が選ばれまして、その国のその年の文化の顔になって、それが去年だったんです。2023年でした。そして、それまで9つの自治体がやってきたんですけど、その記録を全て塗り替えました。数字を上げますと、大体参加している人の数の最高が360万人ぐらいだったんです。1,000万を超えまして1,378万でしたかね。ものすごい人たちがですね、その文化活動に参加したんです。そして、いろいろな認定された事業というのではあるんですけども、これもですね、そういうことで300件ぐらいだったと思いますけれども、静岡県で1000件近くになりました。
それからこれは経済波及効果というのがあります。経済波及効果というのは、それまでの最高が九十数億円だったんですが、345億円といったそういう報告書が出ていますので、ご覧になればいいと思いますけれども、全ての記録を塗り替えてですね。言ってみればなんというんでしょうね、日本の本当に顔、文化首都ですね。もう自他共に許すと言ってもいいぐらいになりました。
それから、これからパリオリンピックが開かれますけれども、富士山が世界遺産になったのが11年前の6月でした。それからですね。お茶畑が世界農業遺産になったり、ワサビが世界農業遺産になったり、とうとう世界クラスの地域資源と人材、オリンピックで金銀銅メダルを取るとか、先生のようにノーベル賞をとられるとか、そういう世界クラスの地域資源と人材源がですね、今150件を超えております。ちょうど11年後、11年というと、月数に直すと132カ月、11年で。1カ月に1件以上の割合で世界クラスが降ってくるんですね。そういう県です。数字がそれを示したわけですね。
ですから、今、ウクライナであるとか、あるいはガザの人たち、人を殺めるという本当に悲惨なことが起こっていますけれども、一方で国際連合というのが戦後つくられまして、そして世界を平和にしていこうと、そしていろいろなプロジェクトを起こしているんですけども、その中に「サスティナブル ディベロップメント ゴールズ」いわゆる「SDGs」というのがあります。17のゴールが書かれているんですけども、190数カ国あってですね。一番近い理想に近いところはどこの国かというと、観光客がたくさん増えていることもあって安全だからですね。きれいな日本ではないかと思います。完成形はありませんけど、生まれて死んでいく会社が潰れるといろいろなことがありますから、完璧な姿というのは、これは理想を追い求めなくてはいけませんけれども、完璧ではないとはいえ、一番理想に近いところに日本はいると思います その47都道府県の中で、一番理想に近いのはどこかといった時にですね、ふじのくに静岡県といってもですね、そう当たらずとも遠からずというふうに思いますね。いい時に入って来られました。今はブームですね。
3月23日から浜松の浜名湖畔、そこに「フラワーパーク」というのと「ガーデンパーク」というのがありまして、フラワーパークは市に管理されているんですけど、塚本こなみ先生が美しい花を展示されています。そして4月6日、今週末にはガーデンパーク、静岡県が管理しておりますガーデンパークもオープンいたします。6月の初めまでですね、花の祭典、2004年に花博がありまして、ちょうど20周年ということで「花博2024」というのが開催中です。ガーデンパークの見どころを言っていきますと、世界で最も美しい庭を作れる人。これは世界で最も歴史の古い「チェルシーフラワーショー」っていうロンドンにあるんですけれども、20世紀初めからあります。それのロイヤル ホーティカルチャー ソサエティーのトップはこないだまでエリザベス女王でした、今はチャールズ3世ですね。そのエリザベス女王が自分の息子のように、すごく「この人は緑の魔術師だ」と言った人がいます。その人が石原和幸さんと言いますけれども、石原和幸さんが花博2024のためにですね、翡翠ナントカという富士山と浜名湖を2つを一体にしたものを作った。それから、「のたね」食堂というのがあります。そこに若い学生さんたちがデザインした「のたねデッキ」というのがあります。そこを登ってみるのもいいでしょう。それから一番奥に、花の美術館があります。そこも見どころです。ほかにもたくさんありますけど、そういうところを巡られて、静岡県は花の都なんだなという風に思ってもらう。浜松というのはものづくりの商工さんの街かと思っていたら、こんな綺麗な所がある。
実は食べるものもたくさんあるんですよ。食材は439あります。2位の所は、どこの県とは言いませんけど218です。食材の王国です。花の数もいわゆる品種としては704あります。花の都ですね。食の都、花の都ですね。そういう自然豊かなところでありますので、そこで生産量を定率して明るく、富士山に向かってこういう仕事をしたと言えるようなですね。そういうこれからの公務、そして素晴らしい人生、充実した人生を送ってくださるようにお祈り申し上げます。改めて皆様方をお迎えできたことを大変光栄に思っております。以上です」
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ABEMA TIMES編集部