再帰代名詞は[主格]として統語的主語になることはない

  • 【原則】:再帰代名詞〔myself、 yourself、 himself、 herself、 itself、 ourselves、 yourselves、 themselves〕は[主格]として統語的主語になることはない。したがって、再帰代名詞は実用上は[目的格だけをもつ特殊な代名詞]と覚えておく。
  • 【例外】:しかし、I myself V+X+Xのような、Iとmyselfとが同格になっている、ある種の強調、あるいは、ある種の同格構文では、注目している再帰代名詞が、主格位置にある名詞類と同格になり、結果的に主格相当と解釈される。
    • このとき、再帰代名詞は実用上は[目的格だけをもつ特殊な代名詞]という原則に対する例外が起こっているといえる。

再帰代名詞〔myself、 yourself、 himself、 herself、 itself、 ourselves、 yourselves、 themselves〕は、主格として統語的主語〔文の動詞の主体となる要素〕になることはありません。

再帰代名詞は、動詞や前置詞の目的語として、主語と同じ人物や物を指し示す場合や、強調の用法で用いられます。 以下に、再帰代名詞が主語として使えない例と、正しい用法を示します。

主語として使えない例〔非文〕

再帰代名詞を文頭に置いて、動詞の主体として機能させることはできません。

  • Myself is a big fan of classical music. -〔正しい表現:I am a big fan of classical music.〕
  • Themselves organized the whole event. -〔正しい表現:They organized the whole event.〕
  • Herself cooked dinner last night. -〔正しい表現:She cooked dinner last night.〕

正しい用法〔目的語・強調〕

再帰代名詞は、目的語〔再帰用法〕や強調の用法で使われます。

1. 再帰用法〔目的語として〕

主語が行う動作が、その主語自身に戻ってくる〔目的語が主語と同一である〕場合に使用します。 この場合、再帰代名詞は動詞や前置詞の目的語の位置に来ます。

  • She looked at herself in the mirror.
    • 〔彼女は鏡で自分自身を見た。〕 -〔Herself は動詞looked at の目的語です。〕
  • He blamed himself for the mistake.
    • 〔彼はその間違いについて自分自身を責めた。〕 -〔Himself は動詞blamed の目的語です。〕
  • The cat cleaned itself.
    • 〔その猫は自分自身をきれいにした。〕 -〔Itself は動詞cleaned の目的語です。〕

2. 強調用法

主語や目的語を強調するために使われ、文から削除しても文法的に成立します。

  • The President himself answered the phone.
    • 〔大統領自身が電話に出た。〕
    • 〔強調したい名詞The President の直後または文末に置かれます。〕
  • I built this house myself.
    • 〔私はこの家を自分自身で建てた。〕
    • 〔主語I を強調し、[他の誰でもなく自分で]という意味を添えます。〕

再帰代名詞は、文の主要な動作主〔主語〕を担うことはなく、常に他の要素〔動詞や前置詞〕の補足的な役割を果たしていると理解するとわかりやすいでしょう。

人称代名詞・who/whom〔whoever/whomever〕・one/one’s以外で、主格と目的格の形が明確に異なる〔=格変化を示す〕代名詞は存在しない

英語の[格変化]が実際に残っているのは、ごく限られた語だけである。

■主格=目的格が同形→格変化なしと見なされる

主格と目的格の形が同じため、[格変化している]とはいえない、そのような代名詞が大半を占める。

  • this / that / these / those〔指示代名詞〕
  • someone / anyone / nobody / each / everyなど〔不定代名詞〕
  • either / neither
  • one another / each other

■格変化があると見なせる代名詞

  • [目的格としての特別な語形をもつ]ことを、ここでは[格変化がある]とみなす基準とする。

1) 人称代名詞

  • 主格 - 所有格 - 目的格
  • I - my - me
  • you - your - you〔単複同形〕
  • he - his - him
  • she - her - her
  • we - our - us
  • you - your - you〔単複同形〕
  • they - their - them

2) who系の代名詞

  • 主格 - 所有格 - 目的格
  • who - whose- whom
  • whoever - whosever- whomever

3) oneという代名詞|※ただしoneは[目的格としての特別な語形はもたない]

  • 主格 - 所有格 - 目的格
  • one - one’s - one

■これら以外で[格の違いに固有の形]を持つ可能性のあるもの

  • 唯一の候補は再帰代名詞〔myself、 yourself、 himself、 herself、 itself、 ourselves、 yourselves、 themselves〕ではあるけれども:
  • 再帰形は原則として[目的格専用]であり、対応する[主格形の再帰代名詞]が存在しないため、[主格・目的格の対立としての格変化とは言えない]と扱われる。

◆最終回答

  • 人称代名詞・who/whom〔whoever/whomever〕を除くと、英語には目的格として固有の語形をもつ代名詞は存在しない。
  • ただしoneは[目的格としての特別な語形はもたない]けれども、one’sという所有格の語形をもつ。
  • 英語において、格変化に注意する必要があるのは、1) 人称代名詞、2) who系の代名詞、3) oneという代名詞|※ただしoneは[目的格としての特別な語形はもたない]の3点だけであるということになる。