岡本梨奈の 1冊読むだけで漢文の読み方&解き方が面白いほど身につく本
ハイスコア! 共通テスト攻略 国語 古文・漢文
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漢文に時間・手間をかけすぎない
●国語に投入する時間・手間を100%とします。
●漢文には10%の「重み」しかありません。
●現代文には30%の「重み」があります。
●古文には60%もの「重み」があります。
●そんな感じで時間・手間の配分をしないと、「点数がそろわない」感じになるという印象をもっています。
漢文の市販教材には良質なものが少ない
●学校で配布される、桐原書店、いいずな書店、尚文出版などの学習書のほうが、よくまとまっている側面があり、市販の学習参考書は、残念なものが目立つ。
●しかし学校で配布される、桐原書店、いいずな書店、尚文出版などの学習書は、入試に出ないことまで網羅している側面があることは否定できない。
●市販の学習参考書でも、三羽邦美先生と、飯塚敏夫先生の学習参考書は、とてもいいと思います。
大学入試ぶっつけセンター漢文―最短攻略!!必出句法86 (シグマベスト)|飯塚 敏夫|文英堂
●『大学入試ぶっつけセンター漢文―最短攻略!!必出句法86』は、中学生、高校生が、漢文句形〔句法〕を覚えるための決定版だと思います。 オリジナルの用例(句形を含む用例)が旅行というストーリー仕立てになっています。 どちらかというと、高校入試(中学生の漢文学習)に向いている感じがします。
■大学入試ぶっつけセンター漢文―最短攻略!!必出句法86 (シグマベスト)|飯塚 敏夫|文英堂|4578012425
漢文ヤマのヤマ パワーアップ版 (大学受験超基礎シリーズ)|三羽邦美|学研マーケティング
センター漢文までしか必要としていない人が大半だと思います。 しかし個別試験に漢文が出る人もいると思います。 そういう人には、『漢文ヤマのヤマ パワーアップ版|学研』が向いていると思います。 とにかく練習問題が豊富です。 センター漢文には、ここまで必要ありません。
■漢文ヤマのヤマ パワーアップ版 (大学受験超基礎シリーズ)|三羽邦美|学研マーケティング|4053040299
ガイダンス
漢字学習と漢文学習を並行させて、急いで訓読みの知識を大量に身につけるべし
(1)常用漢字表で「自分が訓読みを知らない漢字」について、徹底的に強化する。
以下のリンクのPDFファイルを利用してください。
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kakuki/14/pdf/jyouyou_kanjihyou.pdf
あるいは、以下のサイトのTagsを利用してください。
このサイト「Kngebra | かんじぶら」には、今のところ常用漢字しか載せていません。
そして、「Kngebra | かんじぶら」のTagsにおいて「ひらがな」で記述されている部分が「常用漢字の範囲で許されている訓読みのすべて」に該当します。
それで例えば、「あ-う」をクリックすると、「あ-う」に使われる漢字が3つ出てきますね。 「漢字の使い分けによって生じる意味の違い」(合う、会う、遭うなどの違い)がわからなかったら、国語辞典やネット検索で調べて、語彙力を増強していくようにしてください。 それによって、常用漢字の範囲で必要な「訓読みの知識」は身につくはずです。
その常用漢字の範囲で必要な「訓読みの知識」の外側に、漢文独特の「訓読の方法」があるわけです。
いいかえれば、「常用漢字を逸脱した漢字教育」を「漢文」を通じて行なっている。 だったら、「常用漢字」なんて制定しなくてもいいんじゃないの?
学校教育において、現代の日本語以外に、漢文まで教えるんだったら、日本語教育の中に、「漢文で教えるような訓読み」を取り込めばいいわけですよ。
だいたい国語ってのは、教える内容が少ないんですね。 だから利権の拡大のために、漢文だの古文だの「日常生活に関係のない知識」まで取り込もうということなのです。
(2)『入試漢字マスター1800+|河合出版』で漢字力を強化し、「現代文の漢字の勉強」と「漢文の勉強」を兼ねる。
入試漢字マスター1800+ (河合塾シリーズ)|川野 一幸|河合出版
センター試験で漢字が出ます。 小さなところで得点を落とさないためにも、普段から漢字はやっておきましょう。 普段からの漢字学習が、漢文の力にもつながります。
■入試漢字マスター1800+ (河合塾シリーズ)|河合出版|4777211460
(3)『漢文ポイントマスター|河合出版』の1冊だけをボロボロになるまで覚え込む。
とくに「重要単語」と「句形・語彙索引」をうまく利用する。
『漢文ポイントマスター|河合出版』に取り組む際、時間が足りない場合には、「句形・語彙索引」を拡大コピーして、「読み」と「漢字」との間のスペースに折れ目を入れて、その拡大コピーされた紙を問題集にしよう。
この「句形・語彙索引」のレイアウトが「記憶チェックに不便だ」と思ったら、ルーズリーフをタテ2分割に折って、記憶のチェックノートを自分でつくるといいですよ。
時間がある場合には、1行ごとにきり離して、「カード」あるいは「ミニ6穴バインダー用のルーズリーフ(メモ帳)」にノリで貼り付けてもいいです。 そうすると、ランダムな記憶テスト(順番などがヒントとなってそれに頼ってしまわないように)が可能になります。
漢文学習の核心部分は語彙力(漢字を訓読みして意味を把握する力)なので、とにかく、『漢文ポイントマスター―入試必須の基礎知識 (河合塾シリーズ)』の「句形・語彙索引」を、徹底的に完璧に覚える。 この一点さえ突破できれば、あとは、概略、センター試験の対策書をやればいい。
「語彙力(漢字を訓読みして意味を把握する力)」を身につけて、「センター漢文の対策書」をやる。 これがセンター漢文の対策です。
漢文ポイントマスター―入試必須の基礎知識 (河合塾シリーズ)|三森 一彦・土屋 裕正|河合出版
以下の2つの部分が漢文における語彙増強〔vocabulary building〕のエキスになっています。 漢字を見たら訓読法と意味がわかるように練習を積んでください。
■漢文ポイントマスター―入試必須の基礎知識 (河合塾シリーズ)|河合出版|4777216373
上記(1)(2)(3)を先に固めてから、それ以降の工程へ進んでください。
漢文パッセージが載った問題集をやる前に、とりあえず上記(1)(2)(3)をやって、基礎を固めてください。
基礎が固まっていれば、問題演習をする期間は、1カ月とか2カ月とかで終わり、それでセンター漢文に対応できると思います。
大切なのは、上記(1)(2)(3)で、ここが漢文学習全体において8割方を占めるのだと思ってください。
上記(1)(2)(3)を蔑ろ(ないがしろ)にしたまま先へ進もうとしてもムダです。
(4)訓読みから漢字が書けるようにする」というトレーニングをすると負荷は高いけれども仕上がりが早いですよ。
Googleドライブとグーグルドキュメントを利用すれば、OCRをかけることができるよ。
「句形・語彙索引」を300dpiまたは600dpiでスキャンしてPDF化する。
そのスキャン結果をPDFファイル(複数ページが合体されているPDFファイルのほうが操作が1回で済むのでラク)にして、Googleドライブにアップロードします。 PDFファイルを右クリックし「アプリから開く」 → 「Googleドキュメント」とやると、PDFファイルに対してOCRが自動的にかかって、画像が文字化されます。 縦書きの日本語でも、かなり正確に文字化してくれます。
そのデータを整理して、LibreOffice(無料)のCalcなど、表計算ソフトで管理するわけよ。
だから、商業高校や工業高校でExcelとかVBAとか習うかもしれないけど、それは学校現場までMicrosoftに浸食されてしまっている、ということ。
特定企業の特定ソフトを、学校で教えるって、おかしくないか? ふつう、フリーウェアを使うよな? CADだったらJw_cadとか。
■「Jw_cad」定番の無料2次元CADソフト - 窓の杜ライブラリ
LibreOffice(無料)のCalcを使って、覚えた漢字と、そうでない漢字を仕分けしていくのさ。
■LibreOffice最新版 | LibreOffice - オフィススイートのルネサンス
それで、負荷は高いけれども、速攻で覚えられるやり方。
「まさに~べし」という「読み」から「応、当」が書けるように練習する。 そのほうが、負荷は高いけれども、誤って覚えることがないし、「正確で堅固な記憶」へと仕上げるスピードが速い。
これは「英文解釈」ばっかりやっているより、「英作文」をしたほうが、英語を早く覚えられる、という原理に基づきます。
常用漢字の訓読みを覚えるときも、そうですよ。
それで例えば、「あ-う」をクリックすると、「あ-う」に使われる漢字が3つ出てきますね。
だったら逆に、「あ-う」と読める漢字が書けるように、そして、意味の違いがわかるように練習するわけです。
これは「再認記憶レベル(読みがわかって意味がわかる)」にとどまることなしに、「再生記憶レベル(読みが与えられたとき意味ごとに漢字を適切に使い分けられる)」という状態を目指す方式です。
試験本番では緊張してど忘れするんですよ。 どうしてど忘れするのか? 記憶レベルが浅いからですね。
「書ける漢字は必ず読める」わけです。
そして、「書ける漢字」のほうが記憶レベルが深く、「読めるだけの漢字」は記憶のレベルが浅い。
試験本番でど忘れするのは、「読めるだけの漢字」までしか学習していないから。
もっと深く、もっとちゃんと勉強しておけば、あと数点が加算できたのに。 この後悔をしたくないから、みんな自分に厳しく勉強しているのですよ。
(5)センター漢文以前の初歩的な漢文読解演習を積む
この(5)以降は、演習の段階に入りますので、いわば「離陸して楽な状態」になります。
演習は多ければ多いほど、センター漢文満点が確実になります。
チョコッとした時間に15分だけ時間をとって、マメに演習をしていってください。
実践演習基礎漢文 (実戦演習)|ピアソン桐原
■実践演習基礎漢文 (実戦演習)|ピアソン桐原|4342734133
標準漢文 (実戦演習)|桐原書店
マーク式基礎問題集 20 (20) 漢文|河合出版
「センター漢文の解法を学び取る」要素も入っていますけれども、基本演習という要素も入っています。
■マーク式基礎問題集 20 (20) 漢文|河合出版|4777202712
短期攻略センター漢文 (駿台受験シリーズ)|久我 正則|駿台文庫
「センター漢文の解法を学び取る」要素も入っていますけれども、基本演習という要素も入っています。
■短期攻略センター漢文 (駿台受験シリーズ)|久我 正則|駿台文庫|4796123180
(6)センター漢文の解法を学び取る
センター漢文 8本のモノサシ (大学受験合格請負シリーズ)|三羽 邦美|ブックマン社
「センター漢文の解法を学び取るための印刷教材」としては、『センター漢文 8本のモノサシ|ブックマン社』は、やや初歩的すぎます。 (6)より前の過程を積み重ねてきた人にとって、『センター漢文 8本のモノサシ』は必要ないと思います。 『センター漢文 8本のモノサシ』は、時間がなくて、理系で、「センター漢文は必ずしも満点でなくてもよい」という漢じの人に向いています。
■センター漢文 8本のモノサシ (大学受験合格請負シリーズ)|三羽 邦美|ブックマン社|4893088688
(7)センター漢文のための演習
漢文ナビ (大学受験ナビゲーション)|日栄社
基礎がためとセンター漢文対策の問題集が日栄社から出ました。
■漢文ナビ (大学受験ナビゲーション)|日栄社|4816814213
私なりに漢文について思うところ
漢文も語学である以上、語彙増強(ボキャブラリー・ビルディング)が最重要
漢文を攻略するときの時間・手間の80%程度を占めるのが「漢字を見たとき、その漢字をどう訓読み(日本語読み)するか」という知識を増やす作業だと思う。
80%というのは、感覚的なもので、実測値ではありません。
だから『寺師の漢文をはじめからていねいに』のように、句形〔句法〕ごときに分厚い学習参考書を作るというのは、生徒・受験生の時間・手間をあたら奪い取ってしまう悪書といえるかもしれない。
句形〔句法〕も、漢文語彙も、その漢字が訓読できれば、「覚えた」ことになる
ただし漢文語彙のうち漢文常識語(大丈夫とか、小子・二三子とか)については、訓読という概念はありません。
漢文の試験で、「漢字を書け」とかないから、結局、「漢字の読みを覚えりゃいい」というのが漢文の本質だ。
100均でカードを
ぶっちゃけ、カードのオモテに漢字を書いて、ウラに訓読(くんどく)法と意味を書いて、この漢字を何と訓読(くんどく)するという「漢字の訓読み(とその意味)の知識」を短期間に高速で詰め込めばいいんですよ。
以下のような一問一答集を自作してもいい。 結局、漢文の学習参考書ってのは、この一問一答集の形式が「合理性の極まったかたち」なのであって、それ以外は効率が悪いのです。
実際に一問一答集を作るには、縦長の単語帳がいいかもよ。
一問一答集の各行(各レコード)を、並べ替え・分類可能にしたものがカードです。
こうして考えてみると、漢文ってのは、漢字の読み方の暗記ゲームなのだから、先生は必要ないんだよ。
漢文というのは、ひとさまに教わるほど複雑な科目ではない。 だって、読み方を覚えるのに、いちいち先生が絡んできたらうぜぇだけだよな?
『寺師の漢文をはじめからていねいに』は、「先生」が前面に出すぎているので、うぜぇって思わない?
主役が「先生」になっちまってる。
いや、こういう一問一答集があれば、先生なんていらないんですけど。
『寺師の漢文をはじめからていねいに』とか、実況中継シリーズ(語学春秋社)とかで、「いちいち解説の文章を読まされる」って、特に理系のキミ、うぜぇって思わないかい?
冗長な説明は、うざいだけでなく、実際、効率がものすごく悪い。
それから、スタディサプリとかで動画授業を受けているキミ。
授業を受けるってこと自体、めっちゃ効率が悪いよ。
印刷教材のほうが効率的だ。
「講義録みたいなダラダラした冗長な説明」をしていない、内容がぎゅっと詰まった印刷教材を1冊だけしっかりやる。 この方針のほうが手堅いよ。
漢文のシンタックス(語順の文法)
●漢文に語形変化はない。漢文はモーフォロジィ(語形変化の文法)というものをもたない。
●漢文の文法とは、シンタックス(語順の文法)だけである。
●句形〔句法〕は、英語構文(文単位の定型表現)である。
●漢文学習では、漢文語彙を覚えることが重要である。
●漢文に時制はなく、語順はほぼ英語(英語の基本5文型)と同じである。
●漢文には前置修飾(形容詞相当―修飾→名詞類)という語順しかない。後置修飾(こうちしゅうしょく)は漢文にはない。
●後置修飾とは「名詞類←修飾―形容詞相当」という語順。英語では関係代名詞〔who、which、that、what、as、than、but〕が導く節、準動詞が導く形容詞句が、後置修飾の代表的なもの。
●部分否定・全部否定は、英語と同じ語順である。
●結局、漢文学習とは、句形〔句法〕という「英語構文集」の知識が問われることがほとんど。あとは漢文語彙の知識が必要。したがって、漢文学習の総量はきわめて少ない。また少なくしなければ科目間のバランスが狂う。
漢文の先生のための本
全訳漢辞海 第四版|三省堂
漢文訓読入門|明治書院
日本近代史を学ぶための文語文入門: 漢文訓読体の地平|古田島 洋介|吉川弘文館
■日本近代史を学ぶための文語文入門: 漢文訓読体の地平|古田島 洋介|吉川弘文館|4642080937
これならわかる返り点―入門から応用まで― (新典社新書)|古田島 洋介|新典社
■これならわかる返り点―入門から応用まで― (新典社新書)|古田島 洋介|新典社|478796125X
これならわかる漢文の送り仮名――入門から応用まで―― (新典社選書46)|古田島 洋介|新典社
■これならわかる漢文の送り仮名――入門から応用まで―― (新典社選書46)|古田島 洋介|新典社|4787967967
これならわかる復文の要領―漢文学習の裏技― (新典社選書 83)|古田島 洋介|新典社
■これならわかる復文の要領―漢文学習の裏技― (新典社選書 83)|古田島 洋介|新典社|4787968335
先生のための漢文Q&A102|山本 史也|右文書院
■先生のための漢文Q&A102|山本 史也|右文書院|4842107855