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レミングの群れが川や湖に一斉に飛び込むがごとく電気自動車業界に飛び込む中国

中国EV世界一! 日産ホンダは滅ぶ運命か!? 池田直渡氏 No.207

EV用の充電スタンドが用意できる地域では、公共交通機関を充実させるのが本来的

[本来的な都市生活]の本質として、[歩いて行ける距離で生活のすべてがまかなえる利便性]を挙げる考えは、まさに都市型ライフスタイルの理想像の一つだといえる。 特に、首都圏や京阪神の私鉄沿線駅前エリアは、その特徴を強く体現している。

私鉄沿線駅前の魅力

  • 東京・神奈川・埼玉など首都圏や、京阪神エリアの私鉄沿線駅前は、住まいと商店街、スーパー、医療、学校、レストランなどが徒歩圏内に集積し、日々の生活がほぼ完結する。
  • こうした地域は鉄道路線の拡張と合わせて計画的に街づくりが進められた背景があり、[通勤・通学+日常生活の便利さ]を両立させていることが特徴である。

住みやすい地域の象徴

  • 私の[住みやすい地域・街]のイメージには、自動車というものは登場しない。
    • 自動車のない街こそ、住みやすい街である。
  • 首都圏私鉄沿線の[駅前]は住みたい街ランキングなどで常に上位にランクインし、利便性・安全性・文化性など都市生活の“美味しい部分”を象徴するエリアとされている。
  • 小田急小田原線・東急東横線・東武東上線・西武池袋線・西武新宿線など、多くの私鉄沿線エリアが[徒歩圏完結型]の都市生活を実現し、高い評価を得ている。
    • 要は個人商店の集合体として商店街が残っており、昔ながらの買い物が楽しめるのが私鉄沿線エリアである。
  • また東京の中央線の高円寺・阿佐ヶ谷・荻窪・西荻窪のあたりは、私鉄沿線エリアに近い駅前の様子が残っている。
    • とくに阿佐ヶ谷〔JR〕と南阿佐ヶ谷〔東京メトロ丸ノ内線〕との間は、長いアーケード街になっており、ここは大阪などのアーケード街と通じる雰囲気をもっている。
    • タワーマンションや高層ビルができると、こうした街並みが失われやすく、武蔵小山のアーケード街は、雰囲気が変わったそうである。
  • やっぱり、中央線沿線・西武新宿線・西武池袋線の23区の最も外側である杉並区や練馬区の駅前が、けっこう住みやすい。
    • 【西武池袋線】:椎名町・東長崎・江古田・桜台・練馬・中村橋・富士見台・練馬高野台・石神井公園のあたりの駅前は、庶民的な街並みである。
      • 大泉学園は、NOS VOS by PARCO 大泉学園が営業中であった頃と、現在とでは、様相が大きく変わってしまい、タワマンが何棟か建った。
  • 個人商店を中心にしたアーケード街に自転車で買い物に行って、そのまま自宅に戻り、買った物を冷蔵庫にしまう。
    • このライフスタイルこそが、ある種の理想なのである。
    • そもそも自動車を運転するとなると、酒を飲むことができない。これでは、大人に楽しみがないであろう。
    • やはり、おいしい食べ物と酒はセットだという人も多い。
    • 郊外・地方などの自動車社会が前提だと、この夜の外食〔酒あり〕が人生から消える。
    • そういう意味では、自動車社会というのは、QOLを下げるんだね。
    • 結局、人口規模が小さくて、鉄道を敷いてもペイしないような田舎だから、自動車社会になってしまうのである。
    • だから、自動車と電車の中間的な、軌道を走るバスのような公共交通機関があれば、それがよいであろう。
  • 子供の思い出としても、[電車とバスに乗って海水浴へ行きました]というのが、ある種、健全なのだと私は思っている。
    • 自動車で海辺のホテルまで直行し、ホテルから自動車で帰宅するとなると、[旅の道中の楽しみ]というものがない。
    • door to doorっていうのは、[旅の道中の楽しみ]を奪うんだよね。
    • 駅弁と冷凍ミカンを買うから旅なんだよなあ。
    • 崎陽軒のシウマイ、あるいは、シウマイ弁当を買って、列車で食べるからこそ、旅なのとちがうの? 
  • 高校の頃、夏になると、京浜急行の駅には、大磯ロングビーチの大きなポスターが貼ってあった。
    • 京浜急行は、逗子海岸や三浦海岸などには通じていても、大磯ロングビーチというのは、西湘バイパス〔箱根方面に行くための高速道路〕を使って自動車で行くところなんだよ。
      • 大磯ロングビーチというのは、海辺にある、西武系のホテル+プールの施設である。
    • それなのに、京急の横浜駅、黄金町駅などには、[OISO]と大きく書かれた、女性の水着姿のポスターが貼ってあった。
    • それが一つの夏の風景なんだな。
    • やっぱり、文明とは電車なんだよ。鉄道こそが、文明の象徴。
    • 自動車で移動するのは田舎という感じがする。

都市生活の質の実例

  • 駅前の商店街やショッピングモールはお年寄りやファミリー、単身者などあらゆる層にとって利便性が高く、歩行者中心の快適な生活空間として認識されている。
  • こうした私鉄沿線地域が都市生活の理想モデルとして注目されるのは、長年にわたり都市インフラと住環境が一体的に整備されてきた歴史的背景も大きい。

以上のように、首都圏や京阪神の私鉄沿線駅前地域が、[歩いてすべてまかなえる都市生活]の象徴であり、その本質を最もよく体現していると言える。

都電が青梅街道を通っていた時期は、荻窪まで都電が通っていたようだ。 阿佐ヶ谷方面から荻窪に近づくときの跨線橋の坂道も、都電が上り下りしていたようだ。

とにかく、自動車が発達しすぎると、街の雰囲気が壊れる。

短い間隔で置かれた駅と、その駅前商店街の周辺に住宅が広がる。 そのような街作りをすることが、誰にとっても平均的に住みやすい街になることだろうと思う。

都会はタワマンだらけになり、住みづらくなる傾向があり、都会を捨てる人も増えている。

タワーマンションは、投資目的で購入された居室が、長期間空室状態となり、ゴーストタウン化する危険性をはらんでいる。 最終的には、タワーマンションの撤去費用を誰が負担するか、責任のなすり合いになる。 タワーマンションは、ババ抜きのジョーカー。 最後に所有していた人が負ける。

ハイブリッド車(HV)

  • トータルで考えると、ハイブリッド車〔HV〕は確かに非常にヴァーサタイル〔多用途・万能〕で無難な選択肢であるという評価が多い。

ハイブリッド車の特徴

ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせることで、燃費効率を向上させつつ、長距離走行や充電インフラの制約を気にせず使える。 日本では2025年時点で新車販売の約半数をハイブリッド車が占めており、実用性と経済性、環境配慮のバランスが取れた選択肢と認識されている。 プラグインハイブリッド車〔PHV〕という形で、EVの良さとハイブリッドの利便性を併せ持つモデルも普及しつつある。

EVとの比較

EVは環境性能では優れるがしかし、充電インフラや高速道路での電費問題、航続距離の制約、タイヤ摩耗といった課題が依然としてある。 ハイブリッド車はそうした課題をカバーでき、幅広い運用環境で安定した性能を発揮する。

まとめ

したがって、[トータルでの利便性や実用性を考えると、現状ではハイブリッド車がヴァーサタイルで無難な選択である]という見解は市場動向や技術面からも妥当であり、多くの専門家やユーザーも同様の評価をしています。

全体の要約

  • 結論:エコロジカル+エコノミカルを目指すならエンジン駆動の軽自動車が最強。
  • 軽にパワー不足を感じたらエンジン車のコンパクトカー〔リッターカー〕がよい。
  • EVだけはとにかくやめとけ。
  • ハイブリッド車は、トヨタの中古ならOK。

経済性・市場性

購入・維持コスト

  • 航続距離、充電時間、信頼性、トータルコストにおいて、EVはガソリン車〔とくに軽自動車〕に劣る点が多い。
  • リセールバリューを考慮すると、EVはガソリン車よりもトータルで損失となる場合が少なくない。
    • これはEVだけでなくハイブリッド車も同様。
    • 10万キロ走行の同一車種の中古車で比較すると、エンジン車とハイブリッド車との価格差は、ほとんどなくなる。
    • 電池劣化と電池交換費用の高さを考えると、EVやハイブリッド車は、相当な距離乗る人以外にとってはトータルで損失になりやすい。
    • チョイ乗りが多いなら軽のエンジン車が最強。
  • 中古市場におけるEVの維持費や利便性は、インフラ整備や補助金の有無に大きく左右される。

市場動向と需要

  • リセールバリューや信頼性を重視する購買層が多く、中古市場での懸念からEVは受け入れられにくい傾向がある。
  • 成熟した市場〔北米・EU・日本など〕においては、新興ブランドの低価格EVに対して慎重かつ消極的な層が根強い。
  • EVの受け入れ拡大には、バッテリーの耐久性、リセールバリュー、充電インフラ、価格の抜本的な改善が不可欠である。
  • また、EVの運用に伴う充電などの手間に辟易し、結果的に反EV姿勢へ転じるユーザーも存在する。
  • 富裕層は中国系EVのセキュリティリスクを敬遠する傾向にあり、その結果、中国系EVは低所得層向けに位置付けられる可能性がある。

EV拒否層

  • 北米、EU、日本においては、それぞれの地域で独自の理由からEVに対する偏見や抵抗感が根強く存在している。
  • EVに抵抗感や慎重姿勢を示す層は、中高年層、地方居住者、商用車ユーザー、中古車購入層、低所得層が中心である。

技術・バッテリー

バッテリー技術と将来性

  • 全固体電池は安全性と耐久性に優れ、次世代バッテリーとして最も有望視されている。
  • LFP電池を超えるバッテリー技術〔全固体電池など〕が普及すれば、BYDのような現行中国メーカーの競争力は低下する可能性がある。
  • 各種バッテリーのリサイクル性や発火リスクは異なるが、全固体電池が最も安全であると考えられている。

航続距離と利便性

  • 航続距離や充電時間の問題は、EVがガソリン車に比して劣るとされる主要な要因である。

政治・社会・環境

インフラ整備と公的支援

  • EVの普及には充電インフラの整備が不可欠であるが、充電インフラへの投資コストやリスクが高いため投資は進んでいない。
  • EVは一時的な普及を見せたあとに、急激に陳腐化して忘れ去られる存在だろう。
    • かつて流行した電動バイクは短期間で故障し、エンジンバイクに顧客が戻ってきた実例がある。
  • EVは特に都市圏以外〔郊外・田舎〕での普及は困難である。
  • 充電インフラの整備には公的補助が重要であり、公的支援なしにEVが広く普及することは極めて困難である。

環境負荷

  • 資源採掘から生産、使用、廃車、再資源化までのライフサイクル全体で考えた場合、ハイブリッド車やEVはガソリン車よりも環境負荷が大きい可能性がある。
  • EVは走行中に排出ガスを出さないため環境に優しいとされるが、経済的には必ずしも合理的ではないのが現状である。

セキュリティと地政学

  • 中国系EVや太陽光パネルや通信機器には国家的な意図が潜んでいると疑念が持たれ、セキュリティリスクが指摘されている。
    • EV・ハイブリッド車・エンジン車も含めて、中国の[SDV]〔Software Defined Vehicle〕にはバックドアからの不正制御を疑う必要がある。
    • 日本を敵対国としている国からの製品には、高い関税をかける、あるいは、輸入禁止にする必要がある。
  • 世界的には中国に対する強い不信感が存在し、EVが中国製と見なされることでインフラ整備が進まないなど、間接的にEVが拒絶される可能性がある。

EV〔特に新興ブランドの低価格EV〕に対して慎重/消極的な層が、成熟した自動車市場では根強く存在する

EV〔特に新興ブランドの低価格EV〕に対して慎重/消極的な層が、成熟した自動車市場では根強く存在することは多くのデータと現地調査で確認されている。

■1.成熟市場における[リセールバリュー=信頼性]の壁

✅中古車価値が重要視される理由:

  • 購買層が保守的・経済合理的
    • 特に米国、ドイツ、日本、オーストラリアなどでは、[10年乗ったあとでもそれなりに売れる]ことが重要な購入動機。
    • EVはまだ歴史が浅く、[10年後の下取り価値]が読みにくいため、資産価値としての車を求める層には受け入れにくい。
  • EVの中古市場が不安定
    • バッテリー劣化が大きく価格に影響。
    • モデルチェンジサイクルが早く、2〜3年で“陳腐化”しやすい〔旧型車はOTAやソフト更新も打ち切られる場合がある〕。
    • インフラ・補助制度の変化で中古EVの維持費が不確定

例:

  • 日本では日産リーフ〔初期型〕の中古価格がわずか数十万円まで下落し、[バッテリー交換コストが車両価格を上回る]という状況もあった。

■2.[使い勝手]の進化不足:まだガソリン車の壁は厚い

✅成熟国で求められるEVの進化ポイント:

項目 EVがまだ劣る/不安がある点
航続距離 現実の使用環境〔冬季、高速、荷物あり〕では公称値より30~40%短くなる。満充電でもガソリン車の半分以下という印象が残りやすい。
充電時間 急速充電でも20~40分かかる。自宅充電設備がない層〔都市部・集合住宅〕は極めて不便。
インフラ 充電ステーションの場所、混雑、整備不良。特に郊外・地方では[不安感]が大きい。
信頼性・メンテ 修理拠点・部品供給・整備士不足。バッテリー起因のトラブルが高額化しがち。
トータルコスト 補助金がなければ本体価格が高い。中古時の残価率を含めた[ライフサイクルコスト]で損と感じるケースがある。

■3. EVに否定的な階層の正体:どんな人たちか?

以下のような層が[EVに慎重、あるいは拒否反応を示す層]である。

主な特徴
中高年の既存オーナー層 長年ガソリン・ディーゼル車に慣れた人々。給油・整備・感覚などが身体に染みついている。新技術への適応コストが心理的に高い。
郊外・地方の居住者 長距離通勤/ドライブが多く、航続距離・充電インフラへの不安が特に強い。軽・SUV・ピックアップが主力で、EVの選択肢が少ない。
商用・実用ユーザー 走行距離や稼働時間が重要な商用車ユーザー〔タクシー、配送、建設業など〕。充電時間がロスになり、[止まっている=損]という明確な経済合理性がある。
中古車購入層/低所得層 新車EVは高額・補助金頼り、中古EVは不安定という状況で、[買えるEV]が少ない。中古でも長持ちするガソリン車を選ぶ。

■4.普及の壁を越えるには[大きな進化]が必要

あなたの言う[EVが大きく進化しない限り受け入れられない]というのは極めて妥当で、以下のような方向でのブレイクスルーが求められている。

✅今後、必要な[進化]とは:

  1. バッテリーの耐久性/劣化制御の進化
    • [10年使っても80%残る]が、実地でも保証されること。
    • 固体電池や高エネルギー密度+低劣化技術の実用化。
  2. リセール価値の担保
    • [バッテリー健康状態の証明書〔Battery Health Certificate〕]の普及。
    • メーカーによる残価保証/バッテリー交換サブスクリプション。
  3. 充電インフラと速度のブレイクスルー
    • [5分充電で300km]級の急速充電+どこでも使える充電網。
    • V2G〔Vehicle-to-Grid〕で家庭・社会インフラとの接続性向上。
  4. 価格の低下と性能の安定化
    • 本体価格がガソリン車と並ぶ、または安くなる。
    • 走行性能・品質の[地に足がついた]信頼性向上。

■結論

見立ては非常に妥当で、特に成熟市場では、以下のような状況にある。

  • EVは[安くて便利な移動手段]として、まだ信頼されていない
  • リセールバリューの低さ=EVを[高くつくギャンブル]と見なす層が厚く、購買を抑制している
  • EVが受け入れられるには、[コスト・利便性・信頼性]において既存のガソリン車を超える明確なブレイクスルーが必要

EV〔電気自動車〕は、リセールバリュー〔中古として売る際の下取り・買取価格〕がガソリン車と比べて低くなりやすい

  • EV〔電気自動車〕は、リセールバリュー〔中古として売る際の下取り・買取価格〕がガソリン車と比べて低くなりやすい傾向が示されている。
  • その主な要因は、バッテリー劣化への懸念、技術進化のスピード、中古EV需要の限定性などである。

EVのリセールバリューの現状

  • EV全体で見るとガソリン車よりリセール価格が安定せず、[5年後の残価率は約33%]などガソリン車よりこれが約11%低いという例もある〔日産サクラとルークス比較〕。
  • 特に初代日産リーフや三菱アイミーブといった旧世代EVは、中古車市場で著しく安値となる傾向が顕著である。

例外と条件

  • バッテリー保証やブランド〔例:テスラ〕によっては比較的高めのリセール価格を維持できるケースもある。
  • テスラ・モデルYの場合、人気車種・状態が良ければ新車価格の70~85%程度の残価となることもあるが、しかし、市場供給量や値下げの影響で数年後は大きく下がる可能性が強調されている。

トータルコストの観点

  • EVはガソリン代やメンテナンス費用が安いためランニングコストで得する側面があるものの、将来のリセール価格まで含めて総合的に比較すると[ガソリン車より損〔出費が多くなる〕]に感じるケースが少なくない。

以上から[EVはリセール価格とセットで考えればトータルで損になる]という見方には、現時点で一定の根拠がある。

中国系企業への不信感

  • メガソーラーに仕込まれた通信機器によって、大規模停電を起こすのが、CCPの狙いである。
  • そこから類推するに、EVはソフトウェアのバックドアを通じて、任意に事故を起こすことができる。BYDおよびCCPの狙いは、そこにあるのだろう。
    • リスク管理の面から、お金持ちは中国製のEVを選択しないであろう。
    • 中国製のEVは、貧者が乗る危険な車になる可能性がある。

EV用充電スタンドの設置事業はハイリスク/ノーリターン

  • EVが本当に普及するには充電スタンドが充実する必要がある。
    • しかしEVは、スマホ/PCなどと同様の[一種のデジタル家電]であるから、栄枯盛衰が激しいため、充電スタンドへの投資リスクがきわめて高い。
    • 充電するバッテリーに応じて、充電を制御するやり方も異なるであろう。
    • そのような危険なインフラ投資は、誰も行なわない。
    • ソフトウエアを入れ替えれば、充電パターンをカスタマイズできる、汎用充電スタンドが普及すればいいけれども、その前にEVそのものが拒絶されているのが現状である。
  • そもそも自動車は、インフラのない地域であっても、燃料さえあれば利用できる点にこそ、その最大のメリットがある。
  • EVは、充電インフラのない地域には普及しない。
  • いいかえれば、都市圏内に充電インフラを整備することが、EVが普及する鍵になる。
  • 充電インフラの整備費用は誰が出すのか? 
  • それは公的補助に頼らざるを得ない。
  • しかし、誰がBYDのために充電スタンドを整備するか? そんな国・自治体は存在しないだろう。
  • 結局、充電スタンドの整備を拒否することによって、BYDの躍進を阻止する国・自治体が続出することになり、EVそれ自体が、完全に特殊用途車を除き、

都市圏における充電インフラの整備がEV普及の鍵となる

自動車がインフラのない地域でも燃料があれば使える点が最大の利点である一方、EVは充電インフラがない地域には普及しにくい。 そのため都市圏における充電インフラの整備がEV普及の鍵となる。

充電インフラ整備費用の負担先

  • 充電インフラ整備には充電設備の設置費用や関連工事費が必要となる。
  • 普通充電器の設置費用は設置場所や工事内容によるが、充電器本体が30万円程度、工事費用が30~40万円程度が一般的な相場である。
  • 急速充電器の場合は本体価格が200万円以上、さらに高圧設備の設置に400~500万円の工事費がかかる場合もあり、総額で数百万円規模となるケースが多い。
  • これらの費用負担は、設置主体によって異なる。
  • 個人〔住宅・マンション〕、事業者〔商業施設、工場〕、自治体、公共団体などが負担する場合がある。
  • 国や自治体からの補助金や助成金が制度化されており、充電器本体費用の50%程度、工事費用の100%が補助されることも多い。
  • 近年の政策では、公的資金を活用して急速充電器の設置を促進し、民間や公共のインフラ整備を後押ししている。
  • 補助金の利用により、実質的な設置負担は低減されている。

まとめ

  • 都市圏の充電インフラ整備がEV普及の鍵である。
  • 充電インフラ整備費用は個人・事業者・自治体など設置主体が負担し、国の補助金制度がその負担を軽減している。
  • 急速充電設備の設置は高コストだが、補助金を活用することで大幅に費用が抑えられるため、公的支援が核心的役割を果たしている。
  • いくらEVが先進機能を有していたとしても、充電インフラ整備費用がボトルネックとなり、EVは嫌われ者になる可能性が高い。

北米とEU圏には、すでに反EVの偏見が根付いている

北米、EU圏、日本の反EVの偏見の原因を地域ごとに分析すると以下のようになる。

北米の反EV偏見の原因

  • 高額なバッテリー修理費や購入価格が最も大きな懸念材料となっている。
  • 多くの消費者はEVの初期費用の高さを購入躊躇の理由とする。
  • 充電インフラの不足や長距離走行への不安が根強く、特に広大な地域では充電施設不足がEV利用の大きな壁となっている。
  • 政策面では補助金制度は整っているが、地方や一部の州で反発や不信感も存在し、公的支援への疑念も偏見の一因となっている。
  • 共和党の一部や保守層を中心に、EV推進が経済的負担や自由の侵害と捉えられ、政治的対立の構図も形成されている。

EU圏の反EV偏見の原因

  • 環境規制の厳格化に伴うガソリン車廃止計画に対し、市民や事業者側に[急激すぎる変化]との反発がある。
  • EVに必須の充電インフラ整備は進むものの、都市以外の地域での普及遅れや料金負担等の経済的懸念が消費者心理に影響している。
  • 一部では、電池原材料の環境・人権問題に対する懸念も反EV感情の背景にある。

日本の反EV偏見の原因

  • ハイブリッド車〔HV〕技術が成熟しているため、EVへの切り替えに対して合理的な疑問や懸念が多く、HVを支持する声が根強い。
  • 充電インフラの都市集中と地方・田舎での利用困難が普及のネックとなっている。
  • ガソリン車に比べて高い初期費用やバッテリーの交換費用への不安がある。
  • 政府の支援政策が限定的で、民間もEV普及に慎重な姿勢が評価され、これが偏見形成に寄与している。

まとめ

北米はコスト負担や充電環境、政治的対立が主な原因、EUは規制や環境倫理への懸念、そして日本はHVとの競合や充電インフラ課題が主因である。 これらの偏見は地域ごとの事情や文化、政策の違いに根差しており、取り除くのは非常に困難である。 北米、EU、日本における反EVの偏見の原因は、地域ごとに次のように異なっている。

北米の反EV偏見の原因

  • EVの高い購入価格やバッテリー修理費用への懸念が強い。
  • 消費者の多くが初期投資の高さを購入を躊躇する理由として挙げている。
  • 広大な地域で充電インフラが不足し、長距離移動への不安が根強い。
  • 政治的対立の影響も大きく、特に保守層で経済負担や自由の制限といった懸念が反EV感情を助長している。

EU圏の反EV偏見の原因

  • 厳しい環境規制やガソリン車廃止計画に対する反発がある。
  • 充電インフラの整備遅延や充電料金の負担も普及への心理的な壁となっている。
  • 電池の原材料であるリチウムやコバルト採掘に伴う環境・人権問題への懸念も反EV感情の一因となっている。

日本の反EV偏見の原因

  • ハイブリッド車〔HV〕の技術成熟がEVへの切替抵抗感を強めている。
  • 都市部に充電環境が集中し、地方や農村部での利用の難しさが普及を阻害している。
  • EVの高い初期コストやバッテリー交換費用への不安が根強い。
  • 政府支援の限定的な姿勢や民間の慎重な対応も偏見形成に影響している。

総括

これらの反EV偏見は、地域特有の経済的・社会的・政治的背景、技術インフラの状況に根ざしており、解消は極めて困難であることが共通している。

リン酸鉄リチウム〔LFP〕イオン電池を超える新たなバッテリー技術が主流となれば、BYDの競争力は大きく揺らぐ可能性がある

  • リン酸鉄リチウム〔LFP〕イオン電池を超える新たなバッテリー技術が主流となれば、BYDの競争力は大きく揺らぐ可能性がある。
  • BYDの最大の強みは、LFP電池のコスト競争力と垂直統合型生産体制にある。
  • しかし、LFP電池のデメリットであるエネルギー密度の低さなどを克服し、コストや安全性の面でも優れた次世代バッテリーが普及すれば、BYDの優位性は大きく低下することになる。

次世代バッテリー技術の動向

  • 現在、LFP電池の次世代技術としてさまざまなものが開発されている。
  • その主な技術と特徴は以下の通りである。

〈1〉リン酸マンガン鉄リチウム〔LMFP〕イオン電池

  • LFP電池にマンガンを加えることで、エネルギー密度を向上させる技術である。
  • LFP電池の製造工程を大きく変えずに生産できるため、既存のインフラを活用できる利点がある。
  • 中国メーカーなどが実用化を進めており、今後ミドルクラスEVへの搭載が拡大していく見通しである。

〈2〉全固体電池

  • 液体電解質を固体に置換することで、安全性やエネルギー密度、充電速度の向上が期待される。
  • しかし、現時点では製造コストが高く、大量生産技術の確立が課題となっている。
  • 日本の自動車メーカーも開発に注力しており、今後の量産化が期待されている。

〈3〉ナトリウムイオン電池〔SIB〕

  • 希少なリチウムの代替として、安価かつ豊富なナトリウムを用いる電池である。
  • エネルギー密度はLFP電池に劣るものの、原材料コストや供給安定性で優れる。
  • 現在は定置型蓄電池や二輪車などへの普及が進みつつあり、EV向けへの展開には今後の技術進展が求められる。

BYDの対応と今後の戦略

BYDも上述の次世代バッテリー技術の動向を注視し、競争力維持のために複数の戦略を講じている。

  • LFP電池の技術革新として、独自の[ブレードバッテリー]によってエネルギー密度や安全性の向上を図っている。
  • 垂直統合の深化を進め、電池、半導体、モーター、車体までを自社で一貫して開発・生産することでコスト削減とサプライチェーン安定を実現している。
  • さらに、5分間の充電で400km走行可能な高速充電技術の開発など、充電インフラ面の革新にも取り組んでいる。

BYDはLFP電池を軸とした技術革新と垂直統合を一段と強化し、次世代バッテリーが主流となるまでの間、競争優位を維持しようとしている。

しかし、全固体電池のような根本的に異なる技術が普及すれば、BYDもバッテリーサプライヤーの切り替えや新技術の自社開発へと、大きな戦略転換を迫られることになるであろう。

全個体電池が最強

【1】充電時の火災リスク

〈0〉リン酸鉄リチウム〔LFP〕イオン電池

LFP電池は他のリチウムイオン電池と比較して、熱暴走を起こしにくく安全性が高い。 過熱や過充電への耐性が強く、火災リスクは比較的低いとされている。

〈1〉リン酸マンガン鉄リチウム〔LMFP〕イオン電池

LMFPはLFPの改良版であり、エネルギー密度を向上しつつも安全性はほぼ同等か若干向上している。 従って火災リスクはLFPと同程度かそれ以下と評価される。

〈2〉全固体電池

全固体電池は液体電解質を固体電解質に置き換えており、可燃性のない構造のため充電時の発火リスクは極めて低い。 安全性は現行リチウムイオン電池の中でも最も高いと期待されている。

〈3〉ナトリウムイオン電池〔SIB〕

ナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池に比べエネルギー密度は劣るが、安全性は高く、火災発生のリスクは低いとされている。 液体電解質を用いるがLFPに近い安全性の特性を持つ。

【2】衝撃による発火リスク

〈0〉リン酸鉄リチウム〔LFP〕イオン電池

LFP電池は構造の安定性が高く、衝撃に強いためショートや熱暴走を起こしにくい。 衝撃による発火リスクは比較的低いとされている。

〈1〉リン酸マンガン鉄リチウム〔LMFP〕イオン電池

LMFPもLFPに近い構造であり、衝撃に対する耐性は高い。 したがって衝撃による発火リスクも低いと評価される。

〈2〉全固体電池

固体電解質の採用により衝撃で内部短絡を起こしにくく、発火リスクは非常に低い。 衝撃安全性においては現状のリチウムイオン電池を凌駕する安全性が期待される。

〈3〉ナトリウムイオン電池〔SIB〕

ナトリウムイオン電池は比較的新しい技術であるが、構造的に衝撃に対して安定しており、発火リスクは低いとされる。

まとめ

バッテリー種類 充電時の火災リスク 衝撃による発火リスク
〈0〉リン酸鉄リチウム〔LFP〕 低い 低い
〈1〉リン酸マンガン鉄リチウム〔LMFP〕 低い〜やや低い 低い
〈2〉全固体電池 非常に低い 非常に低い
〈3〉ナトリウムイオン電池〔SIB〕 低い 低い

全固体電池が最も安全性が高く、LFP系電池は十分に安全であるものの液体電解質ゆえのリスクが存在する。

ナトリウムイオン電池も安全性は高めであり、4種ともに火災や発火リスクに対して各種の安全対策が講じられている。

5年後のバッテリー劣化について

5年後のバッテリー劣化について、以下の4種類のバッテリーを評価する。

〈0〉リン酸鉄リチウム〔LFP〕イオン電池の劣化

LFP電池はサイクル寿命が長く、3000~4000回の充放電サイクルを耐えられるとされるため、5年程度の使用では容量劣化が比較的少ない。 安定性が高く、正極材としてのリン酸鉄が劣化しづらいことから長寿命である。 また、非破壊劣化診断技術の開発により劣化状態の正確な把握も進んでいる。

〈1〉リン酸マンガン鉄リチウム〔LMFP〕イオン電池の劣化

LMFPはLFPの改良版で、マンガンの添加によりエネルギー密度が向上しているが、劣化速度に関してはLFPと同等かやや劣化しやすい傾向がある。 ただし、安定性は高く大きな劣化問題は現時点では報告されていない。 2030年に向けて量産拡大も見込まれているため、耐久性も改善されると予測される。

〈2〉全固体電池の劣化

全固体電池は固体電解質を用いるため液体電解質劣化に起因する問題が少なく、劣化が遅いと期待されている。 ただし現状は量産体制が整っておらず、実使用での長期劣化データは限定的であるが、理論上は耐久性に優れている。

〈3〉ナトリウムイオン電池〔SIB〕の劣化

ナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池に比べてサイクル寿命やエネルギー密度で見劣りするが、コスト面や材料安定性の利点から普及が進んでいる。 劣化に関しては実証が進んでおり、用途によっては5年程度の使用に耐える性能を見込むことが可能である。

まとめ

バッテリー種類 劣化の傾向〔5年後〕
〈0〉リン酸鉄リチウム〔LFP〕 長寿命、容量劣化は少ない
〈1〉リン酸マンガン鉄リチウム〔LMFP〕 LFPと同等か若干劣化しやすいが概ね良好
〈2〉全固体電池 理論上は遅いが実証データは限定的
〈3〉ナトリウムイオン電池〔SIB〕 用途により異なるが5年程度は耐えうる

LFP系電池はすでに長寿命が実証されており、LMFPもほぼ同等の耐久性を持つ。

全固体電池は実用化が進めば高耐久が期待でき、SIBはコスト面も含めて用途に応じた適用が進む見込みである。

自動車が廃車になった後のこと

〈0〉リン酸鉄リチウム〔LFP〕イオン電池

リサイクリング技術:

  • リサイクリング技術:LFP電池は比較的安全でリサイクルも進んでいる。
  • 正極材のリン酸鉄はリサイクル後も資源回収がしやすい。
  • 主に物理的破砕後、化学的処理で金属資源を回収する方式が一般的である。

費用:

  • 費用:一般的に中型~大型のリチウムイオンバッテリーは処分費用として数万円から十数万円が相場である。
  • 小型は自治体や回収業者で無料回収も多い。

発火リスク:

  • 発火リスク:液体電解質を用いるため、処理時の破損やショートによる発火リスクは存在する。
  • 適切な絶縁と管理が重要である。

〈1〉リン酸マンガン鉄リチウム〔LMFP〕イオン電池

リサイクリング技術:

  • リサイクリング技術:LFPに近い成分構成のため、同じ技術でリサイクル可能とみなされている。
  • マンガンを含むものの、回収工程での大きな違いはない。

費用:

  • 費用:LFP同様、一般的なリチウムイオンバッテリーの回収・処理費用が適用される見込みである。

発火リスク:

  • 発火リスク:LFPと類似し、適切な管理があれば処理での発火リスクは低い。

〈2〉全固体電池

リサイクリング技術:

  • リサイクリング技術:液体電解質が無いため安全性は高いが、固体電解質の複雑性からリサイクル技術はまだ発展途上にある。
  • 研究開発が進んでいる段階で、専用の分離・回収技術の確立が求められている。

費用:

  • 費用:現段階では高額になる可能性があり、量産技術やリサイクル工程の効率化で低減が期待されている。

発火リスク:

  • 発火リスク:液体電解質がなく、発火リスクは非常に低いと考えられている。

〈3〉ナトリウムイオン電池〔SIB〕

リサイクリング技術:

  • リサイクリング技術:リチウムイオン電池に比べ新しい技術であるため、リサイクル施設は限定的だが、基本的には同様の物理・化学的処理が可能とされている。
  • エネルギー密度が低いため経済性に課題がある。

費用:

  • 費用:まだ普及段階のため高コストになる傾向があるが、将来的な技術確立によって改善される見込み。

発火リスク:

  • 発火リスク:液体電解質使用だがLFPに近い安全性であり、適切管理によって処理時のリスクは低い。

まとめ

バッテリー種類 リサイクル技術の成熟度 処理費用の目安 処理時の発火リスク
〈0〉リン酸鉄リチウム〔LFP〕 高い 中~高〔5~15万円程度〕 低い〔適切管理で抑制可能〕
〈1〉リン酸マンガン鉄リチウム〔LMFP〕 LFPと同等 LFPと同程度 LFPと同程度
〈2〉全固体電池 まだ発展途上 高い〔今後低減期待〕 非常に低い
〈3〉ナトリウムイオン電池〔SIB〕 研究段階/限定的 高いが改善の見込みあり 低い

処理時には端子絶縁や破損防止などの管理が必須であり、適切な処理が行われることで火災リスクは最小限に抑えられる。

公的支援なしにEV普及は極めて困難である

結論としては、「公的支援なしにEV普及は極めて困難である」という見解が妥当である。

理由

  • 世界各国、日本を含む先進国ではEV普及のために公的補助金・助成金が導入されている。 購入補助金、充電インフラ整備の補助、税制優遇など多面的な支援が不可欠とされている。
  • 充電インフラの整備には巨額のコストが伴い、民間単独では普及ペースを加速しにくい。 負の循環〔インフラ不足でEVが普及せず、EVが普及しないとインフラ整備が進まない〕を断ち切るためにも、政府や自治体の積極的な支援が必要である。
  • 自治体による公用車や地域向けカーシェアリングの電動化推進、普及啓発も、公的支援策の一環として重要な役割を果たしている。
  • また、次世代バッテリーや充電技術の研究開発支援も政府主導で強化され、技術革新を後押ししている。

このように、EVを社会的に普及させるためには、公的支援が[必要不可欠]であると結論できる。 民間の自助努力だけでの普及推進は限界がある。

EVはエコロジカルではあっても、エコノミカルではない

EVは確かにエコロジカル〔環境面での優位性〕は高いが、エコノミカル〔経済面でのコスト効率〕には必ずしも優れているとは言い切れない側面がある。

エコノミカル見地からの課題

  • EVはバッテリーコストの高さが依然として車両価格の大きな割合を占めるため、初期購入コストはガソリン車に比べて高いケースが多い。
  • 充電インフラの整備費用や維持費、公共の急速充電料金の高さもユーザーの経済的負担となっている。
  • 一方で、燃料費〔電気代〕はガソリンより安価であり、メンテナンスコストも低減可能であるため、長期的にはコストメリットを享受できる可能性はある。
  • 近年はバッテリー技術の進歩により価格は急速に低下しており、2025年には一部のEVの価格がガソリン車を下回るとされているが、依然として普及の障壁となる初期費用の高さは残っている。

まとめ

EVは環境面で優れた特性を有しているものの、経済面では初期投資の高さやインフラ整備費用が課題として残るため、[エコロジカルだがエコノミカルとは必ずしも言えない]という評価が妥当である。