全体の要約
- 丸山ゴンザレスと山田敏弘がフェンタニルの国際問題について議論し、フェンタニルの性質、国際関係、今後の日本への影響の3つをテーマに話を進めた。
- 武蔵野大学薬学部の阿部和穂教授が1960年合成の合成麻薬性鎮痛薬フェンタニルは、モルヒネの1/10の量で同等の効果を発揮し、副作用が軽減され医療現場で標準的に使用されていることを解説した。
- フェンタニルは中枢神経の活動を抑制し、適正量では痛みを和らげるが、過剰摂取やアルコールとの併用で致死的な危険性が増す。
- 山田は医療用フェンタニルの取引価格を説明し、2017年からアメリカでのフェンタニル流通問題の急速な深刻化を報告した。
- メキシコの麻薬カルテルが中国からの原料を用いて小規模で隠蔽可能な施設でフェンタニルを合成し、高利益を得ている状況を説明。
- フェンタニルの流通ルートは多様で不明瞭であり、合法輸入品からの抜き取りや背取り、ドローン・潜水艦を使った密輸も行われている。品質管理が困難で検出が難しいため、密輸規模が拡大している。
- 「ブラックフェンタニル」と呼ばれるヘロイン混合品が流通し、触れるだけでも致死リスクがあることを強調。
- メキシコからアメリカへの密輸は検査率が低く、地下トンネルなど巧妙な手口で捜査を困難にしている。
- 日本でも医療用フェンタニルのパッチが違法に乱用され、死亡事故や医療従事者の違法摂取事例があることを報告。
- フェンタニルは他の薬物やアルコールと併用すると死因判明が難しく、検出が困難で正確な統計作成に課題がある。
- 名古屋地域ではフェンタニル原料の化学物質を扱う企業への立ち入り検査が行われ、問題は確認されなかったが監視強化の必要性を指摘。
- フェンタニルの危険性を社会に周知することが重要であり、単に禁止を訴えるだけでなく薬物の実態を理解して注意喚起する必要があると結論づけた。
【ゾンビドラッグの脅威】丸山ゴンザレスが見た「フェンタニル」の恐怖、日本も無関係ではない理由とは《丸山ゴンザレス×スパイチャンネル山田敏弘》
■【ゾンビドラッグの脅威】丸山ゴンザレスが見た「フェンタニル」の恐怖、日本も無関係ではない理由とは《丸山ゴンザレス×スパイチャンネル山田敏弘》
丸山ゴンザレスと山田敏弘がフェンタニルの国際問題を論じる
丸山ゴンザレスと山田敏弘がフェンタニルを語り、山田はフェンタニルが国際情勢に深く関わっており、特にアメリカで広く知られている問題だと説明する。 山田は日本絡みの関与を指摘した日経新聞の記事を踏まえつつ、現在3つのテーマ――フェンタニルの性質、国際関係、今後の日本への影響――を中心に話を進めると明示した。
阿部和穂教授がフェンタニルの薬学的特性を解説する
武蔵野大学薬学部の阿部和穂教授はフェンタニルが1960年にベルギーの研究者によって合成された合成麻薬性鎮痛薬であり、モルヒネなど自然由来のオピオイドの欠点を改良した医療用の痛み止めであることを説明する。 教授はフェンタニルがモルヒネの1/10の量で同等の効果を発揮し、副作用の軽減もあり、世界の医療現場で末期癌患者の激しい痛みを和らげる標準薬として使われていると述べた。
阿部和穂教授がフェンタニルの作用機序と副作用を詳細に説明する
阿部和穂教授はフェンタニルの作用機序がモルヒネなどと同様に中枢神経の活動を抑制することであり、適正量では痛みを和らげるが過剰摂取すると意識喪失や呼吸不全、死に至ることを述べる。 また、フェンタニルはダウナー系薬物に分類され、アルコールと同じく中枢神経のブレーキとして機能するため、併用すると作用が強化されて危険になることを説明する。
取引価格とフェンタニルの流通形態を山田敏弘が説明する
山田は医療用フェンタニルの取引価格を1mgの貼付剤が約240円、8mgで約1600円とし、医療用では比較的高価だが市場の想像よりは安価であると述べる。 彼は2017年にニューヨークでフェンタニルの流通問題を知り、オピオイド問題が急速に深刻化していると報告した。
山田敏弘がメキシコの麻薬製造と捜査状況を報告する
山田はメキシコの麻薬カルテルの大規模なフェンタニル製造施設を取材し、フェンタニル製造は化学物質の合成であり、施設は小規模で隠しやすく、捜査機関が発見困難であることを伝える。 彼はフェンタニルがメキシコカルテルにより中国から輸出された前駆体を合成し、ほぼ原産地に近い形で広く流通し裏社会で高い利益を上げていると述べた。
山田敏弘がフェンタニルの流通ルートと検出困難性を詳細に説明する
山田はフェンタニルの流通ルートが多様で不明瞭であり、合法的な書類上の輸入品からの抜き取りや背取り、ドローンや潜水艦を用いた密輸が行われていることを説明する。 彼はフェンタニルの非常に微量な有効成分のため品質管理が困難であり、検出が難しいことから密輸の規模拡大が可能と述べた。 さらに、現地捜査官は覚醒剤に比べフェンタニルの捜査は困難であると話した。
山田敏弘がフェンタニルの併用薬物による致死リスクと危険性を説明する
山田はフェンタニルとヘロインが混ぜられた[ブラックフェンタニル]が流通しており、微量の摂取で致死する非常に危険な薬物であると述べた。 彼はフェンタニル自体が触れただけでも吸収し死に至る可能性がある強力な薬物であり、知らずに接触するリスクが高いことを強調した。
山田敏弘がメキシコ・アメリカ間の密輸実態と麻薬トンネル構造を報告する
山田はメキシコからアメリカに向かう密輸ルートの一部が車両検査の対象が少なく、ほとんどが通過していると述べた。 彼は麻薬運搬用の地下トンネルの存在を具体的に示し、土地を合法的に取得して地下に高技術のトンネルを掘り、捜査当局の発見を困難にしていると説明する。 密輸組織が徹底して隠蔽と巧妙な手口を用いていることを強調した。
山田敏弘が医療用フェンタニルの乱用と日本での事故例を説明する
山田は医療用フェンタニルのパッチが日本でも違法に使用され、パートナーへの悪用による死亡事故が報告されていることを述べる。 彼は医療従事者が疲労や労働過多により摂取し違法行為を繰り返す事例が2年に一度程度発生していると報告し、これは日本におけるフェンタニル乱用の現状であると説明した。
山田敏弘がフェンタニル検出の難しさと死因調査の課題を述べる
山田はフェンタニルによる死因がアルコールや他の薬物との併用により判別困難であることを述べ、正確な死因統計の作成が難しい現状を指摘する。 彼は検査でフェンタニルの検出が困難であるため、死因が不明または誤認される場合が多いことも説明した。
山田敏弘がフェンタニル対策として名古屋に対する監視と検査の実態を説明する
山田は名古屋地域でフェンタニルの原料となる化学物質を扱う20数社に対する立ち入り検査や捜査が実施され、問題は確認されなかったことを報告する。 彼は今後も監視を強化し、国際的な薬物問題の背景を踏まえた継続的な対策の必要性を強調した。
山田敏弘がフェンタニル周知の重要性と日本社会への警鐘を解説する
山田はフェンタニルの危険性を広く周知させることが重要であり、単純な禁止の訴えだけでは効果が薄いと述べる。 彼は社会全体で薬物の実態を理解し、適切な注意喚起を行うことが必要であると説明し、今回の情報公開が日本の一般市民にとって意義あるものと評価した。