財務省の時宜を得た景気低迷策が[功を奏して、失われた30年]が達成された
- 財務省は景気回復の兆しを見つけては消費税率を上げるという、逆噴射の経済政策を推進してきたように私は思っている。
- 景気が冷え込んでいるときに、プライマリーバランスをかたくなに守ることは、景気回復への道筋を断ち切る愚策であろうと思う。
- 積極財政派は、[国債の無限発行]を主張しているわけではない。
- この論者においても、積極財政派が[国債の無限発行]を主張しているかのような、誤った前提を用いて積極財政派を感情的に非難している感じがする。
意図的にミスリードする、建設的ではない論理立ての一例
- [積極財政派]は決して[国債の無限発行]を主張しているわけではなく、これはしばしば誤って拡大解釈されたり、対立的な議論の中で意図的にレッテル貼りの材料として利用されがちな論点である。
- 積極財政派の主張は、主に必要な経済刺激策の財源として一定程度の国債発行を正当化するものであり、債務や物価・金利・通貨の信認維持などの現実的な歯止めを前提としている。
- 現状、与野党問わず消費税減税や生活・生産コストの下支えを巡る議論が加熱しており、国債活用についても[経済状況や市場環境とバランスを取りながら機動的に対応すべき]という意見が大勢である。
- 実際、消費税の引き上げ論は依然存続しているものの、物価高や企業倒産増加の逆風下で慎重論や減税支持が国民世論の主流となっている。
- また、財務省や政府内で[プライマリーバランス〔基礎的財政収支〕]に固執し過ぎ、景気回復を妨げるケースについて、専門家からも[経済の実勢や物価・景気動向を無視して財政規律だけを強調するのは逆効果]として批判の声があがっている。
- 主要野党や多くの経済政策論者も、この点を問題視して積極財政の一定の必要性を認めている。
- よって、[積極財政派は国債無限発行を望む非現実的な集団]というレッテルは客観的根拠を欠いており、冷静な政策議論や論者の立場を捏造して感情的に否定する態度は、経済全体の実態や政策論争の多様性を損なうと言える。
- また消費税引き上げを景気回復局面で機械的に検討する姿勢自体も、必ずしも正統な経済政策とはみなされず、政策運営には景気や物価、国民の負担能力などへのきめ細かい配慮が不可欠である。
経済について
[国債の無限発行前提]に明白な誤りがある
- 現代貨幣理論〔MMT〕を含め、主流経済学においても[自国通貨建て国債ならいくらでも発行できる]という主張は事実と異なる。
- 極論すれば[いくらでも発行していい]のであれば、政府は無限に支出でき、世界中の財を買い占めることができることになる。
- しかし歴史的に見ても、無制限な国債発行がもたらすインフレや通貨価値の急減、大規模な経済混乱の危険性は証明済みである。
[デフォルト〔債務不履行〕を回避できれば財政破綻は起こらない]とする論理の歪曲
- 自国通貨建て債権が名目上デフォルトしづらいのは事実だが、[財政破綻=デフォルト]と単純化するのは誤った論理である。
- インフレ等で通貨価値が暴落すれば、実質的に債権者の購買力が失われ、これもまた市場の信頼喪失=財政破綻といえる。
- また、[財政破綻]を償還不能のみと結び付けて論を展開し、[市場で消化されなければ即破綻]という極端な前提も過度な単純化である。
日銀の役割や国債直接引受の違法性への誤解や誇張
- 日銀が一定範囲で国債を保有・金融緩和政策に資する可能性はあるが、それは要件・数量・目的・時限規定などの厳格な制約下で成立している。
- [日銀が国債直接引き受けを恒常化すればよい][その結果何も問題ない]的な主張は、通貨管理やインフレ抑制責任を軽視したものであり、金融政策の限界や金融システム全体への影響を無視する暴論である。
[市場消化失敗=直ちに財政破綻]とする断定的議論の危険
- 市場が国債買い手を見いだせなくなる可能性があるのは事実だが、極端な[一度でも消化しなければ直ちに破綻]と断じるのは論理の飛躍である。
- 実際の財政運営やマーケット運営には多岐にわたる対応可能性〔量的緩和、金利政策、短期調達、財政再建策など〕が存在し、単一事象で即断できるものではない。
日本円の国際的信用および[円経済圏]の条件的制約を無視
- [通貨価値が減っても円建て債務は返済できるから問題ない]論は、日本の外部との経常収支や円の国際的地位が根本的に損なわれれば自壊する前提である。
- [穴を掘って埋めるだけの公共事業ですら無限に続けられる]などの説は極めて危険であり、その持続性は幻想に過ぎない。
総論として、論拠の誇張・前提の単純化・実証無視の三重の誤謬がある
- [無制限発行が理論的に不可能]である理由は、インフレ、通貨選好転換、市場金利急騰など多層的リスクに起因する。
- 実証分析抜きで[発行≒償還問題のみ]とする独善的前提は、現実経済・金融システムの対策柔軟性と市場参加者行動を無視した結果である。
- 主観や思惑ではなく、歴史的事例やファンダメンタルの変化、各政策主体の権限・法的制約・市場行動まで尋常に考慮せねばならない。
【参考・直近の主流的論点】
- 国債を発行できる余地は拡大したが、際限なく発行することはできない。
- 上限をどこに設定するかや、支出管理の方法しだいで、国債発行の持続可能性やリスクが大きく変動する。
- もしもインフレや通貨危機が発生した場合には、金利が上昇するのを人為的に抑え込むことは困難になる。
- インフレや通貨危機の際には、中央銀行はインフレ抑制や通貨価値維持のために通常、利上げ政策を採用する必要が生じる。
- このような状況下では経済全体の金利上昇圧力が強まり、市場の期待も高まるため、政策当局が人工的に金利の上昇を無理に抑制しようとすれば、市場の信認低下やさらなる通貨安、資本流出のリスクを招く。
- したがって、インフレや通貨危機が深刻化した局面では[金利を人為的に低く抑え込むのは現実的に困難である]と断言できる。
ゆうちょ資金〔旧・郵便貯金〕などを原資とした財政投融資
- ゆうちょ資金〔旧・郵便貯金〕などを原資とした財政投融資を通じて公共事業を推進すれば、理論上、景気刺激策と国民の安定的な生活の両立は一定程度可能である。
- ただし、実際の政策運営には多面的な利点と課題が存在する。
【利点】
- ゆうちょなどの安定した資金を原資として、インフラ整備・地域活性化・住宅・地⽅創⽣・産業支援など様々な公共・政策事業が可能となり、これが雇用創出や景気押し上げに寄与する。
- 民間金融が十分にリスクテイクできない長期投資や低利融資を政府が担うことで、国民生活の基盤〔住宅、教育、福祉、災害復興、安全インフラ等〕を下支えできる。
- 受益者の負担軽減が政策的に図られるため、中小企業や地域経済の持続性が増し、国民にとっても生活の安定感が高まる。
【課題・リスク】
- 巨大な財政投融資の規模拡大によって政府部門の債務残高が膨張し、その運用が非効率化・肥大化する恐れや、不採算事業への資金流用リスクが常に指摘されている。
- 財政投融資は国債等の[有償資金]を活用しているため、最終的には償還・運用益創出が原則であり、乱用すれば財政規律が保てなくなる。
- 公共投資は短期的には景気を刺激するが、過剰や非効率な投資が将来的な経済負担や税・保険料負担増をもたらす可能性がある。
- 旧来のような郵貯資金の大量動員は、現代の資本市場規律や金融自由化、国際基準下では制約や透明性要請が強くなっている。
【総合評価】
- ゆうちょ資金を財源とした財政投融資は、[景気刺激策]と[国民生活の安定]という双方の政策目標に一定の効果を発揮し得るが、資金の効率的配分・政策コストの徹底的分析・財政規律の維持・中長期的な責任ある運用が不可欠である。
- 政策効果が安定的な国民生活の向上につながるか否かは、事業の選定・執行・管理運営の透明性と合理性に大きく依存する。
[公共事業をお金で回し、元本+金利を償還する仕組み]
1.単純モデルでのお金の流れ
- 政府〔または公共主体〕がインフラ等公共事業を行うため、資金を調達〔借入・発行〕する。
- 調達した資金を使い、事業を建設・運営する。
- 事業の成果からあがる収益や、税収、利用料金等を使い、[元本+支払い金利〔利息〕]を返済〔償還〕する。
2.各手法の仕組みと誰の資産・負債か
手法 |
資金調達者 |
資金の出し手 |
誰の負債か |
誰の資産か |
■概要 |
通貨発行〔紙幣・日銀券〕 |
中央銀行 |
市中銀行・国民 |
中央銀行〔形式上〕 |
紙幣を持つ者〔国民〕 |
中央銀行が通貨〔現金〕を発行し、経済に供給。流通した時点で発行額が中央銀行の負債、持つ側の資産となる。 |
国債発行 |
政府 |
投資家・金融機関など |
政府 |
国債保有者〔主に民間・日銀〕 |
政府が借金し〔国債発行〕、調達資金で使途を賄い、将来[元本+利子]を返済する。 |
財投債発行 |
政府〔特会〕 |
投資家・金融機関など |
政府〔特会〕 |
財投債保有者〔民間等〕 |
政府の特別会計〔財政投融資特会〕が発行する国債類似債で調達。貸付先が返済し、財投債を償還。 |
■具体例:[公共事業でお金を回す]流れ
- 資金調達
- 通貨発行…中央銀行〔例:日本銀行〕が新たな現金を発行し、市中銀行などを通じて実体経済に資金供給。
- 国債発行…政府が国債を発行し、投資家や金融機関〔民間・日銀〕から資金調達。
- 財投債発行…政府〔特会〕が財投債を発行。
投資家・金融機関がこれを買うことで資金が集まる。
- 事業実施
- 政府や財投機関が調達資金で公共事業〔道路・港湾・教育施設等〕を実施。
- 償還と利払い
- 事業の成果〔利用料、収益〕、または税収や他の事業収入により、[元本+利息]を償還する。
- 貸し手や債券保有者は、その元利金を受け取る。
3.誰にとっての資産・負債か〔まとめ〕
手法 |
誰の負債か |
誰の資産か |
通貨発行 |
中央銀行〔帳簿上〕 |
通貨〔現金〕保有者〔国民・銀行〕 |
国債発行 |
政府〔国・財務省〕 |
国債保有者〔民間・日銀〕 |
財投債発行 |
政府特別会計〔財政投融資特別会計など〕 |
財投債保有者〔民間等〕 |
4.ポイント
- 負債とは調達側が後で支払う義務を持つもの、資産とはその受取請求権利を持つものである。
- 通貨発行は[中央銀行にとって現金は負債、国民など保有者は資産。]
- 国債・財投債の発行は[発行主体〔政府・財投特会等〕の負債、保有者〔金融機関・国民等〕の資産。]
- このモデルでは[お金を回す]とは、何らかの形で経済主体間に資金供給を行い、公共事業を実施し、その成果や税・料金・収益から元本・金利を返していくという流れになる。
債券発行の根拠となる資産
- 通貨発行の根拠となる、通貨発行主体が保有する資産は何か?
- 国債発行の根拠となる、国債発行主体が保有する資産は何か?
- 財投債発行の根拠となる、財投債発行主体が保有する資産は何か?
1. 通貨発行〔日本銀行券・貨幣〕の根拠となる通貨発行主体〔日本銀行〕が保有する資産
- 日本銀行は、通貨〔銀行券・日銀券〕を発行する際、同額の資産〔主に国債や貸出金などの有利子資産〕をバランスシートの資産側に保有している。
- 銀行券の発行は、銀行等金融機関が日銀に預けている[当座預金]を引き換えに行われる。
日銀は、その預金を背景に銀行券を発行し、結果として銀行券発行額相当分の資産〔たとえば国債、貸出金、外貨準備等〕を保有する。
- この資産から得られる利息収入等が日銀の利益〔通貨発行益〕の源となる。
2. 国債発行の根拠となる国債発行主体〔政府〕が保有する資産
- 国債発行の直接的な根拠となるのは、政府の将来の歳入〔税収等〕、および国としての信用力である。
- 国債は、政府が将来の税収やその他の財源をもとに返済能力があると見なされることで発行できる。
発行時点で特定の[資産]を保有している必要はないが、政府が国有財産〔政府保有土地、株式等〕を有している場合は間接的な裏付けとなりうる。
- 実務上は[将来の税収・財政余力]が最大の根拠となる。
3. 財投債発行の根拠となる財投債発行主体〔財政投融資特別会計等〕が保有する資産
- 財投債の発行主体〔財投特会〕は、財投債によって調達した資金で政策的融資・投資を行い、その貸付金や投資先などの[将来の返済資産〔貸付債権・運用債券等〕]が返済・償還の根拠となる。
- 財投債は、[政策金融機関や地方公共団体、政府系機関への融資などからの今後の返済金・利息]が償還原資であり、バランスシート上はこれらの貸付債権その他投資資産が裏付けとなる。
表:各主体の[発行根拠となる主な資産]
発行の種類 |
発行主体 |
根拠となる資産・要素 |
主な中身 |
通貨発行 |
日本銀行 |
保有資産〔国債・貸出金・外貨準備等〕 |
国債、貸出金、外貨預金・債券など |
国債発行 |
政府 |
将来の税収・財政余力・国有財産 |
税収見通し、国有資産、国全体の信用 |
財投債発行 |
財投特別会計等 |
融資・投資により生じる返済請求権 |
貸付債権、投資債券、政府系融資先からの返済等 |
要点:
- 通貨発行:発行主体は現実に国債や貸出金などの資産を保有している。
- 国債発行:発行主体〔政府〕は主に[将来の税収見通し]等の信用力に基づき発行している。
- 財投債発行:発行主体〔財投特会等〕は、政策融資等の貸付債権など[返済可能な資産]が実質的な根拠となる。
通貨発行〔紙幣や日銀券〕の根拠となる[発行主体が保有する資産]
通貨発行〔紙幣や日銀券〕の根拠となる[発行主体が保有する資産]について、歴史的背景と現行制度の両面から説明します。
参議院議員選挙後の国会議員の保守勢力は大同団結して[政権の安定]と[投票しやすさ]を早期に確保せよ!
■参院選後の日本には『暗黒の時代』が待っている…私は産経新聞の阿比留瑠比氏の意見に同意せざるを得ません…|竹田恒泰チャンネル2
今回の選挙結果では日本の現状は改善しない
日本において今回の選挙で状況が大きく好転することはないと評価できる。
本選挙を契機として日本社会が急激に変わるとは言えない現実が存在する。
日本社会は依然として困難な方向へ進みつつあり、選挙による短期間での回復は困難である。
日本は戦後暗黒時代への移行が危惧されている
自民党の近年の動向に対し複数の論者が戦後の暗黒時代の到来を警戒している。
特定の政党や政策の一時的な盛衰だけでなく、構造的な危機が日本社会に及んでいる。
根本的な変革には教育を通じた長期的な取り組みが不可欠であるという認識が示されている。