古文・ナ変動詞[死ぬ]の活用形と用例

用言の活用

古文・上一段動詞[見る]の活用形と用例

1. 未然形:み

通釈:夜はよく見えそうにないけれども。
用例:夜はよく『み』えずとも。出典:『竹取物語』〔かぐや姫の昇天〕

2. 連用形:み

通釈:若紫を覗き『見』て、とてもかわいらしいと〔源氏の君は〕お思いになる。
用例:若紫をのぞき『み』て、いとをかしと〔源氏の君は〕思ほす。出典:『源氏物語』若紫

3. 終止形:みる

通釈:〔宮の様子を〕少し『見る』。
用例:すこし『みる』。出典:『枕草子』

4. 連体形:みる

通釈:その光は、この世に二つとないほど美しい人の姿を『見る』ようである。
用例:その光、世にたぐひなく美しき人の姿を『みる』やうなり。出典:『竹取物語』〔かぐや姫の生ひ立ち〕

5. 已然形:みれ

通釈:この女の姿を『見』ると、〔女の〕顔の色つやは桜の花のようである。
用例:この女の姿を『みれ』ば、顔の色つや、桜の花のやうなり。出典:『竹取物語』〔かぐや姫の生ひ立ち〕

6. 命令形:みよ

通釈:この様子を、皆で『見よ』。
用例:このさまを、みな『みよ』。出典:『竹取物語』〔かぐや姫の昇天〕

古文・下一段動詞[蹴る]の活用形と用例

1. 未然形:け

通釈:鞠を『蹴』ろうと〔して〕。
用例:鞠を『け』んと。出典:『大鏡』〔道長が権力を握るまで〕

2. 連用形:け

通釈:〔あの典薬の助は、以前家来たちに〕『蹴』られたのが原因で、病気となって死んでしまった。
用例:かの典薬の助は『け』られたりしを病にて死にけり。出典:『落窪物語』巻四

3. 終止形:ける

通釈:鞠を『蹴る』。
用例:鞠を『ける』。出典:『今昔物語集』

4. 連体形:ける

通釈:〔鞠を〕『蹴る』時。
用例:『ける』とき。出典:古典文法用例

5. 已然形:けれ

通釈:〔鞠を〕『蹴』っても、〔地面につかない〕。
用例:『けれ』ども。出典:古典文法用例

6. 命令形:けよ

通釈:〔鞠を〕『蹴れ』。
用例:『けよ』。出典:古典文法用例

古文・カ変動詞[来〔く〕]の活用形と用例

1. 未然形:こ

通釈:〔私が〕来ると、大和の男が言った。
用例:大和人、『こむ』と言へり。出典:『伊勢物語』二三段

2. 連用形:き

通釈:秋が来たのは目にははっきり見えないけれど。
用例:秋『き』ぬと目にはさやかに見えねども。出典:『古今和歌集』巻四〔秋上〕

3. 終止形:く

通釈:草を枕にする旅の辛さを無理に我慢して、立ち去る。
用例:草枕旅の憂へをさし忍びて立ち『く』。出典:『万葉集』巻十六

4. 連体形:くる

通釈:やはり人にも知られずに〔宮中から退出して〕参上する人〔女房〕。
用例:なほ人にも知られずまかり『くる』人。出典:『源氏物語』若菜上

5. 已然形:くれ

通釈:御車持の命〔みこと〕が、走り上がって見てみると...。
用例:御車持の命、走りあがりて『くれば』...。出典:『竹取物語』〔かぐや姫の昇天〕

6. 命令形:こ

通釈:こちらへ来い、来い、と言うので走り寄ったけれど。
用例:こち『こ』、と言へば走り寄りたれど。出典:『宇治拾遺物語』巻十四

古文・サ変動詞[す]の活用形と用例〔訂正〕

1. 未然形:せ

通釈:〔男が〕日記をしない、ということを。
用例:男も日記をせずといふことを。出典:『土佐日記』

2. 連用形:し

通釈:〔男が〕するということになっている日記というものを、女も『し』てみようと思って『する』のである。
用例:男もすなる日記といふものを、女も『し』てみむとてするなり。出典:『土佐日記』

3. 終止形:す

通釈:男も『する』ということになっている日記というものを、女もしてみようと思って『する』のである。
用例:男も『す』なる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。出典:『土佐日記』

4. 連体形:する

通釈:男もするということになっている日記というものを、女もしてみようと思って『する』のである。
用例:男もすなる日記といふものを、女もしてみむとて『する』なり。出典:『土佐日記』

5. 已然形:すれ

通釈:『する』けれども。
用例:『すれ』ども。出典:古典文法用例

6. 命令形:せよ

通釈:『せよ』。
用例:『せよ』。出典:古典文法用例

古文・ナ変動詞[死ぬ]の活用形と用例

1. 連用形:しな

通釈:どうして『死な』ずにいられようか、〔いや、死ぬほかない〕。
用例:いかで『しな』でか『あら』ん。出典:『源氏物語』賢木

2. 連用形:しに

通釈:やがてこの男も『死に』。
用例:やがてこの男も『しに』。出典:『伊勢物語』二四段

3. 終止形:しぬ

通釈:炎の中に入ってたちまちに『死ぬ』。
用例:炎にまぐれてたちまちに『しぬ』。出典:『方丈記』

4. 連体形:しぬる

通釈:『死ぬ』者は数十人。
用例:『しぬる』者数十人。出典:『平家物語』巻六

5. 已然形:しぬれ

通釈:またこのように『死ぬ』と、〔魂はどこへ行くのか〕。
用例:またかく『しぬれ』ば、〔魂はいづくへかゆく〕。出典:『落窪物語』巻四

6. 命令形:しね

通釈:この仇を討たずに、『死ね』るものか。
用例:この仇を討たで、『しね』んものか。出典:『太平記』

古文・ラ変動詞[あり]の活用形と用例〔訂正〕

1. 未然形:あら

通釈:〔この家には〕たしかに美しい人が『いる』はずである。
用例:まことによき人『あら』ん。出典:『源氏物語』末摘花

2. 連用形:あり

通釈:祇園精舎の鐘の音には、諸行は無常であるという響きが『ある』。
用例:祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響き『あり』。出典:『平家物語』巻一

3. 終止形:あり

通釈:祇園精舎の鐘の音には、諸行は無常であるという響きが『ある』。
用例:祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響き『あり』。出典:『平家物語』巻一

[補足]ラ変動詞は終止形が[り]で終わるという点が、他の四段・上二段・下二段活用動詞〔終止形が[う]段音で終わる〕との大きな違いです。